島みたいな組織図って?リーダーは源泉?|読むPodcast「田中健士郎の働き方ラジオ」#132-2
こんにちは。「読む働き方ラジオ編集室」の藤本ゆう子です。
髙木ビル社長でBIRTH代表の髙木秀邦さんゲスト回、第2話は「新しい組織図のカタチ」。髙木さんが描いた組織図は、どんなカタチだったのでしょう。
パーソナリティの田中健士郎が、お会いしたその日にファンになってしまったエピソードも明かされます。
前に進みたい人、どうやって人生を歩めばよいか迷っている人は、最後の「91°の人生を歩もう!」まで読み進めてみてください。
1話はこちら。
プロフィール
組織図は丸くて島みたい?
髙木:僕の役割は何だろうと考える中で、表現するってすごく大事だなと思います。
新しいものや利益を生み出すことはもちろんですけど、うちの会社で働くメンバーのワクワクや楽しさが大事なんです。
会社のメンバーにとって、僕は「源泉」であることを求められているんじゃないかと思うんですよ。
ビジネスやプロジェクト、それに対する思いとか熱量も必要なんですけど、源泉が湧くように、生み出すことが僕の役割なのかなって考えています。
田中:実は「源泉」の話は、この前、お会いしたときに、「絵」を見せていただいたんです。僕、それにすごい感動して。
髙木:うちの組織は、もちろん会社なので正社員が中心ですけど、BIRTHのような新しいプロジェクトは、メンバーの半分くらいがフリーランスや外部の会社の方なんです。
それで、マネジメントするにあたって、いわゆる組織図を作ろうとしたら、まったく作れなかったんですよ。
田中:ツリー型やピラミッド型の、一番上が代表取締役みたいな組織図ですね。
髙木:そうです。ツリー型の組織図だと、関わるメンバーのことをどうしても表現できなくて。
田中:この人は社外だけど、社内の人よりむしろコアみたいな。
髙木:社員もいろんな部署を掛け持ちして、グラデーションのようにワークが重なり合っていて、表現ができなかったんです。
困ってしまって、僕の頭の中を絵にしてみたら、円のようになりました。中心に僕がいて、いろんな人が円状に広がっていく。盆踊りみたいな、島みたいな感じになったんです。それを組織図にしちゃえばいいやと思いました。
そんな話を社内でしたら、デザイナーさんが作ってくれました。それをこの前、田中さんにお見せしたんですよ。
田中:上下関係というより、同じ島で共に生きている仲間のような。その島に行き来する人もいるんですか?
髙木:そうですね。いろんな島があって、橋がかかっていたり、たまに船で乗りつける人がいたりしますね。
まるで熱い源泉がわき出る温泉街
髙木:温泉街みたいなイメージもあるんですよね。源泉が中心にあって、いろんなお湯がポコポコ湧き出してるような感じ。髙木ビルを旅館だとすれば、そこで経済圏を作るんです。でも温泉街って日帰り入浴で来る人もいるでしょう?
髙木ビルの価値に日帰りで来てくれて、プロジェクトに参加してくれる人もいる。なんなら、足湯もあるじゃないですか。
田中:足湯ありますね。よりラフにできるやつですね。
髙木:もしかしたら、田中さんもBIRTHのイベントで足湯に浸かったのかも。
田中:あはは(笑)僕、足湯にしっかり浸かって、ファンになりました。「また、この足湯来ようー」と思って!
髙木:そういうメンバーも僕にしたら、同じ温泉に浸かってくれた仲間なんですよね。一緒に今、ラジオやったりして。
田中:本当にそうですよね。
髙木:この前、家族で草津温泉に行ったら、顔湯っていうのがあったんですよ。源泉から筒が出ていて、のぞき込むと湯気と匂いがふわーっと出て、湯気と匂いで温泉を楽しむっていう。湯にすら浸からない(笑)
田中:湯気だけで感じて、ああいい匂いだなとか。
髙木:ノータッチで温泉を楽しむっていうね。髙木ビルの顔湯ってなんだろうって考えると、今日の話を聞いてくださっているリスナーの方々かもしれません。
田中:湯気くらいは多分届いていますね。
髙木:熱い熱気の。
田中:源泉の熱気はすごいですからね。
髙木:今日は顔湯を浴びていると思って、話を聞いてくださるとうれしいなぁ。
温度の伝導は雑談から
田中:僕もこのラジオで、温度は高いところから低いところに伝わるというテーマで話したことがあるんです。
リーダーがすることは、マネジメントとかいろいろあるんですけど、一番欠かしてはいけないことは、熱をちゃんと伝えることかなと。
コミュニティも一緒ですね。僕が運営しているコミュニティの話なんですが、自律型になったほうがいいと思って、ちょっと他のことをやっていたら、温度が下がった瞬間があったんです。これはいけないと思って、任せることと温度を低くすることは違うって気づきました。
温度と源泉の話はつながりますね。リーダーが自分のところで源泉を「追い炊き」して、チームの中でプロジェクトを動かしたり、源泉を島中に巡らせたりするんですね。
髙木:エリアによって生まれる芽がまた違うんですよね。僕の源泉が、その土地にたどり着いたとき、土と混ざって違う作用が起きるんですよ。いろいろな木とか果物が生まれますが、根っこは一緒。栄養分の元は一緒なんです。
田中:元は一緒だけど、いろんな変化があって、それは違ってもいいってことですね。全部が同じじゃなくてもいい。
髙木:自分が想像できないものが生まれることが面白いんです。まわりのみんなが、いろいろやってくれるんですよ。
田中:源泉を出してるけど、各プロジェクトのオーナーシップや意思は、それぞれのメンバーが持っているんですか?
髙木:おっしゃる通りで、僕よりもプロフェッショナルな人がそのプロジェクトを動かしています。だけど、多分全部に行き届いてるのは僕だけかもしれません。僕、どこにでも出没するんです。
田中:手放すことと源泉を届けることを、ある程度コントロールしなきゃいけないと思うんですが、源泉を行きわたらせるためのバランスはどんな工夫をしてるんですか?
髙木:1on1でよく話しています。タスクとして処理したくないんですよね。
ビルオーナーでも、誰よりも裏の非常階段のゴミとかが気になるタイプなんですよ。だから、自分のビルの巡回で、エレベーターに乗らずにとりあえず階段から攻める。普段誰も通らないところに不具合を見つけると、「よっしゃ」みたいな感じです。
そんなことをやりながら、いろいろな人と話をするのが楽しいんです。仕事は任せているけど、関わっているみんなとコミュニケーションを取りたいんですよね。
田中:定期的に取らなきゃいけないというより、取りたいっていう。
髙木:1on1と言うと、それすら硬く感じます。雑談しに行く感じで話したいですね。
田中:自分の源泉を使っていろいろやってくれてる人と、話したいに決まってるって感じですね。
91°の人生を歩もう!
田中:髙木さんはいい意味でお兄ちゃん感があって、人が集まってくるように見えましたが、若いころからそうでしたか?
髙木:そうだったかもしれませんね。でも、冒頭に話した、ミュージシャンをやってたころは熱くなり過ぎて、うまくいかなくて。
メンバーとも別れてバラバラになっちゃって。あんなに同じ思いで熱を持ってたのに、いまだに悔しく思うし、反省もしている。
そういうこともあって、長い軸で自分の人生も社員の人生も、一緒に働くプロジェクトのメンバーやなんなら友達の人生も、どういう何十年にするのかというのを考えたくなります。
目の前のことを一生懸命やりながら長い先を見るって、なかなか難しいんですよ。それが今僕のテーマだったりします。
90°直角で立っていると動きませんが、「1°」でも傾いたらずっと前に行けるじゃないですか。
でも、「1°」って目で見てもわからないんですよ。ほぼ直立のように見えるんですが、「1°」を先まで広げると、ものすごく広がるじゃないですか。
「91°の人生を歩もう」と考えています。身近なことを一つひとつやることが、遠い未来を作るんですよね。
田中:若いころは近くで自分のエネルギーを集中して、熱々だったけれども、今は長い距離で考えるからこそ、いい温度で島に巡りわたるんですね。
髙木:やっぱり、長湯したいじゃないですか(笑)
田中:長湯したいですよね(笑)
2023年8月13日放送の、髙木ビル社長でBIRTH代表の髙木秀邦さんのゲスト回をお送りしました。
働く仲間を大切に思う髙木さんの思いが伝わってきました。
私はフリーランスで仕事をしていますが、自分がとてもちっぽけに感じることがあります。
「本当のメンバーにはなれない」「1人でできることは限られている」と、組織に対して少しネガティブな気持ちになることがありました。
ところが、髙木さんの組織はどうでしょう!組織図が丸いんですって。
肩書ではなく、その人や、その人がする仕事を見てくださっているんですね。いろいろな働き方が尊重されていると感じて、パーソナリティと同じように私も感動しました。
「前に進めているかな」と不安になったら、また聞きたいお話です。
顔湯をあびたら、「1°」だけ傾いて進めばいいんだと再確認できそうです。
音声で楽しみたい方はこちらからどうぞ。