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ホテルに泊まれず、パスポートを失くし、一人ロビーで泣き崩れた初海外
現在の時刻は12月18日午前5時。ワシントンのホテルでこの記事を書いています。
ワシントンにいる理由は、国際会議で採択された論文を発表するためです。(詳しくはこちらから。)
本日は国際会議の最終日ですが、早い時間に目が覚めてしまったのと、今回の旅行では本当に衝撃的な出来事がたくさん起こったので、忘れないうちに文字にしたいと思い、パソコンに向かっています。
この記憶が薄れないうちに、振り返りも含めて書き起こしたいと思います。
クレジットカードを持っていないためにホテルに宿泊できなかった初日
高速バスと飛行機に揺られながら約20時間の移動を終え、心身ともに満身創痍の状態で、予約していたホテルに着いたのが23時過ぎでした。
そこで思わぬ事態が起こります。
なんと、クレジットカードを実物を持っていないため、ホテルの支払いができないと言われたのです。
※アメリカには、ほぼ全てのホテルでチェックインの際にクレジットカードの提示が求められる規定があり、カードを提示できないと事前予約があってもチェックインをさせてもらえないとのこと。
私自身、クレジットカードを所持しておらず、チェックイン時のカード決済には父親のカード番号を使用していました。
この時ばかりは、背筋に薄ら寒いものを感じたのを覚えています。
これだけでもやばいですが、ここで追い打ちをかけるように更なる問題が起こります。
今回私は、1日1GBのプランでポケットwifiを借りていたのですが、なんとこのタイミングで容量を超え、通信制限になってしまったのです。
ロビーでは幸いホテルのwifiが通っており、(本当はよくないですが)それを使用することで、ホテル内ではスマホが使えました。
しかしこの時点で時刻は日を跨ぎ、深夜0時過ぎ。
周知の事実として、深夜に1人で街を歩けるのは日本ぐらいであり、この時間にホテルから出ることはすなわち死を意味します。
加えてwifiが使えない鬼畜仕様。
文字通り詰んでしまいました。
家族とともに、必死で作戦を考える
至急家族に電話をし、現状の説明をして解決策を考えました。
度重なる議論の結果、最善案として出たのは"フロントマンに事情を説明して同情を誘い、朝日が昇るまでロビーに居候させてもらう作戦"です。
私は慣れない英語でフロントマンに話しかけ、現状を涙ながらに説明し、助けを懇願しました。
フロントマンの返答は、真顔でNo。
本当に詰んでしまいました。
スタッフに常に舌打ちされ、睡魔と闘いながらロビーで耐える地獄
しかし、前述した理由で今ホテルから出ると本当に死んでしまいます。
そこで改めて家族に相談し、次案として出たのが"フロントマンに追い出されるまで、無礼を覚悟でロビーに居座る作戦"です。
限りなくマッチョな作戦ですが、もうこれしかありませんでした。
この時点で時刻は午前1時。調べたところワシントンの日の出は7時ごろ。
バスと飛行機での20時間の移動中、一睡もできずに疲労困憊だった私は、あと6時間、フロントマンに睨まれながらロビーで耐えなければならないということです。
盗難の被害を避けるために寝てはならず、加えてホテルのロビーには客用のトイレがなく、便意とも戦わなければなりませんでした。
清掃で通りかかるフロントマンにはその度に舌打ちをされ、夜遊びを終えて帰ってくる客達には数奇な目で見られる。
しかし、深夜にwifiなしで1人でアメリカの街を徘徊するよりはマシだと言い聞かせ、必死に耐え続けました。
地獄に耐え抜き、会場につき、トイレで着替える
満身創痍のまま地獄を乗り切り、ついに朝日が昇りました。
しかし、なんと本番はここからなのです。
そう、何を隠そう私の発表日は会議の初日であるこの日だったのです。
私はフロントマンにこれ以上ない鋭角でお辞儀をし、フラフラになりながら歩いて30分ほどの今回の国際会議の会場につきました。
そこで参加者登録を終え、トイレに駆け込み、キャリーケースを開いて用意していた登壇用のスーツに着替えました。
シャワーを浴びておらず、身だしなみが全然きまっていないですが、もはやそんなことを考えている暇はありません。
コンディション最悪の中、なんとか発表を終える
2日間寝ておらず、前述したような極限の状態にいたこともあり、もはや呂律が回らない状態でしたが、やるしかありません。
身体が原稿を記憶するぐらいまで練習した甲斐あり、なんとか発表を乗り切ることができました。
数日前はこの発表に向けて可愛い緊張していたはずなのですが、もはや疲労が極限を超えていたため、自分がどんな発表をしたかの記憶がほぼないです。
ですが、なんとか発表を終えることができました。
しかし、ホッとするのも束の間、今晩宿泊するホテルを改めて探す必要がありました。
調べたところ、エクスペディアではクレジットカードの現物が必要ないかもとのことで、早速予約をし、宿泊できるかの確認をしにホテルに向かいました。
しかし、ここで更なる悲劇が襲います。
なんと、パスポートがないのです。
パスポートを失くし、再び絶望に沈む
それに気づいたのは、予約したホテルでフロントマンに本人確認のためのパスポートを求められた時です。
どれだけポケットやバッグを探しても、そこにあるはずのパスポートが無いのです。
私は半ばパニックに陥ってしまい、一旦ホテルから出て会議の会場で預けていたキャリーをもらい、トイレの個室でバッグとキャリーを隅から隅まで探しました。
しかし、どれだけ探してもパスポートは見つかりません。
その後、会場内や会場に来るまでの道を戻ったり、フロントマンに落とし物について聞いて回ったりし、3時間ほど調べ尽くしましたが、やはりパスポートは見つかりませんでした。
もしクレジットカード不要でホテルに泊まれたとしても、本人確認のためにパスポートは必ず必要になります。
つまり、正真正銘本当にホテルに宿泊する手段を失ってしまったのです。
親に詰められ、一人ロビーで泣き崩れる
この時点で疲労はとうに限界を超えており、もはや何が何だかわかりませんでした。
毎度のことながら親に相談したところ、向こうは早朝の5時ということもあり、"自己責任"という言葉とともに激詰めされました。
もはや絶望を通り越し、自然と涙が出てきました。
この時の私は泣きながら「どうして…」と独り言をつぶやいており、周りから見たら完全にヤバいやつだったと思います。
日本人の方に助けを求め、ホテルを予約していただけることに
調べたところ、パスポートを紛失した際には「紛失一般旅券等提出届」を提出するために大使館に行く必要があるとのことでした。
しかし、この日は日曜日で大使館は開いておらず、現状どうすることもできません。
もはやこれしか手段はないと腹を括り、会場にいる日本人の方に助けを求めました。
事情を説明したところ、その方は快く協力していただき、クレジットカードを立て替えていただくことで、4泊分のホテルを予約していただきました。
その方には本当に感謝しかありません。
ホテルに移動後、パスポートの所在が分かる
ついに念願のホテルに移動した後、更なる衝撃のニュースが舞い込んできます。
パソコンに、見慣れない外国人の方から一通のメールが届いていました。
そのメールには、"Your Pasport"の文字が。
なんと、そのメールの送り主は初日の宿泊できなかったホテルのフロントマンであり、内容を要約するとこう書いてありました。
そういえばあなたのパスポートを返してなかったわ笑 ごめん笑
そう、なんと失くしたと思っていた私のパスポートを、そのフロントマンが持っていたのです。
当時は疲労困憊で気付かなかったのですが、ホテルで本人確認のためにパスポートを渡してから、カードの実物がないといういざこざがあり、その後に私のパスポートを返してもらっていませんでした。
ここまでの苦労はなんだったのか…と思った一方で、パスポートの所在がわかり本当にホッとしたのを覚えています。
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総括:日本では絶対にできない経験ができてよかった
あくまで結果論ですが、ここまで死を身近に感じた経験は初めてであり、このような日本では絶対にできない経験ができてよかったと思っています。
もちろん、もう2度と経験したくはないですが、おかげで精神力が一回りも二回りも強くなった気がしますし、今後のあらゆる事に対して"あの時に比べれば"と思える体験ができました。
今ではこの出来事を笑い話にできて本当によかったと思っています。
そんなこんなでもう朝なので、私はこれからホテルの朝食を食べ、国際会議の最終日の準備をしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。