43.短期アルバイトを長期化させるための工夫

短期アルバイトを長期化させたいと思うなら、「すぐに辞めるのは仕方ない」という考えを捨てることです。実際、短期のつもりで始めた人でも、「ここならもっと続けたい」と思わせることはできます。そのためには、短期の間に成功体験を提供するという視点が鍵になります。

短期アルバイトが辞めやすい理由の一つは、「やりがいを感じる前に期間が終わるから」です。多くの人が、仕事の流れをようやく覚えたタイミングで辞めてしまいます。そこで重要なのが、早い段階で「自分でもできた」という感覚を持たせることです。人は成功体験を得ると、その場所に居心地の良さを感じやすくなるからです。

初日の研修では、あれもこれも詰め込むのではなく、まず一つだけ「短期間で達成しやすい目標」を設定しましょう。例えば、飲食店なら「今日の勤務中に、お客様から2回以上『ありがとう』をもらうこと」を目標にしてみる。単に「笑顔で接客する」といった曖昧な指示ではなく、具体的に「お水を出すときに一言添える」「注文を聞くときに目を見てしっかりうなずく」など、小さな行動の工夫を伝えます。そして、それができたときにフィードバックすることで、充実感が生まれます。

また、仕事を覚えたことよりも「お客様に喜んでもらえた」という経験のほうが、働く意味を感じやすくなります。接客業では、お客様の反応がダイレクトに返ってくるため、「ありがとう」と言われた回数が増えるほど、仕事のモチベーションも上がりやすいのです。この積み重ねが、「短期のつもりだったけど、もう少し続けてみようかな」と思うきっかけになります。

短期アルバイトを長期化させるには、ただ仕事を教えるのではなく、「この仕事をすると気持ちがいい」と感じられる瞬間を早い段階で作ることが大切です。そのための成功体験をデザインすることで、「せっかく慣れてきたし、続けてもいいかな」と思うスタッフが増えていくはずです。