『坂道と転び方』 -4- 私を呪った坂道と私を救った転び方 (4/4章) / 小説 【#創作大賞2024】 《完結》
-4-「私を呪った坂道と私を救った転び方」
不思議と眠れない夜はいつだって唐突に訪れる。あんな夢を見たからだと僕は自室のベッドから天井を眺めた。時計を見ても深夜を超えたばかりで、朝まで程遠い。
岬のリハビリを終えて自宅へ戻り、他愛もない両親との会話を終えて眠りに就く。いつもと変わらない夜だった。
僕と岬はなぜか海辺にいた。暗い砂浜で打ち寄せるさざ波が、白い泡を浮かべては消えるのを眺めている。
赤く重たい月が夜空に浮かび、ぬらりとした黒い海はどこまでも広がってい