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BtoBのWebサイトのユーザーインタビューで気がついたこと

こんにちは!TAM UX/UIチーム デザイナーの杭原です。主にUIデザインを担当しているのですが、最近ではUX設計をする機会も増えてきました。

先日、BtoBのWebサイトの改善のために、ユーザーインタビューを実施しました。インタビューをすることで、ユーザーが商品・サービスに関してどのような行動を取るのかの理解を深め、現状のWebサイトがユーザーのニーズにフィットしているかどうかを確認し、改善点を見つけます。今回はBtoBの中でも専門性の高い商品が対象だったこともあり、インタビューの難易度が高かったのですが、その中で気がついたBtoBのユーザーインタビューの特徴や、効果のあった質問の仕方をピックアップしてご紹介します!


1.BtoBのユーザーインタビューの特徴

一般的にBtoBの商品・サービスは、BtoCと比べるとユーザーの幅が狭く、日常生活を送る中で購入したり、意識的に使用する機会は少ないです。加えて、商品・サービスを購入・利用する流れや選定するポイントなどの知見は、各々の業界や企業に閉じている傾向にあり、実際に聞いてみないと分からないことが多いと感じました。
一方で、インタビュー対象者のリクルーティングの難易度は高く、市場がニッチになればなるほど、専門性が上がれば上がるほど、困難さが増していきます。今回は専門性が高かったのですが、運良く対象の商品を使用している知人がいたので、3人の方にインタビューをさせてもらえました。自分で探せない場合、クライアント(自社であれば営業など)に顧客を紹介してもらったり、リクルーティングの会社にインタビュー対象者を探してもらう方法もあります。

2.効果のあった質問の仕方

今回は、既存サイトの改善点を探すリサーチであり、ユーザーが商品に関してどのような行動を取るのかの理解を深める必要があったため、1対1で個人の意見を深く掘り下げられるデプスインタビューを実施しました。その中で効果のあった質問の仕方をご紹介します。

2-1.会話の流れで質問する
インタビューの前に質問事項を用意しておくのですが、一問一答形式で進めるのではなく、あくまで会話の流れに沿って、臨機応変に質問の変更や追加を行います。前職の時ですが、新卒採用で社員面談(就活生が不安解消のために社員に質問する場)を担当していたことがあります。初めの頃は、一問一答形式で就活生の不安が解消されたかどうか分からないうちに淡々と面談が終わってしまうことが多かったのですが、途中で会話形式に切り替えてからは、会話の中で実は不安に感じていそうなことが見えてきたり、本来聞きにくいであろう残業や給与などの質問も増えました。インタビューでも同様に、会話の中で気になる内容を掘り下げることで思いもよらない深い知見が得られたり、話しやすい雰囲気を作ることができます。

2-2.質問の切り口を持っておく
会話の流れに沿って、臨機応変に質問の変更や追加をする時は、質問の切り口を持っておくと進めやすいです。内容を掘り下げる時は「行動」「思考・感情」を切り口に質問していくことで、その人が意識している知見や意識はしていなかったが行動に表れる知見を聞き出すことができます。また「行動」「思考・感情」は時間と共に変化するので、「時間軸」をズラしながら掘り下げられるとよいです。

2-3.インタビュー対象者に合った質問をする
質問には「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンと、自由な回答を求めるオープンクエスチョンがあります。デプスインタビューでは基本的にオープンクエスチョンを使って、インタビュー対象者の言葉を引き出します。しかし、実際に質問をした時に自由な回答どころか、回答に詰まってしまうことがありました。どう回答しようか考えている場合は少し待てばよいのですが、質問の意図を汲み取れていない場合には対策が必要です。インタビューの目的を詳細に伝えることで解消することもありましたが、そもそもオープンクエスチョンが苦手という方もいました。その場合は、例えば「商品を購入したときのことを教えてください。」ではなく「商品を購入したとき、メーカーをどのように決めたのか教えてください。」のように質問の内容を少し具体的にすることで話を引き出しやすくなりました。
また、誘導するような質問になっていないかどうかも気にしておく必要があります。例えば「普段、どのように商品の情報を収集しているか教えてください。」と、普段から情報収集している前提で質問されると「してないです。」とは言いにくく、正しい情報が得られない可能性があります。それに、インタビュー対象者が見栄を張ってしまうタイプかどうか判断する視点も大切です。

2-4.気持ちよく話をしてもらう
思いもよらない深い知見を得るためには、インタビュー対象者にとって話しやすい雰囲気を作ることが大切です。例えば、インタビューの前にアイスブレイクで雑談をしたり、相づちを打って共感や回答を真摯に受け止めていることをアピールしたり。特に、専門性の高い商品やサービスの場合、事前にある程度の知識を持っておくと効果的だと感じました。ある程度知識を持った状態でインタビューしていると分かった後の方が、話をするモチベーションが高かったです。また、質問の精度も上がってより深い知見を得ることができます。

まとめ

ユーザーインタビューはインタビュー対象者のリクルーティングこそ大変なのですが、実際にインタビューをしたからこそ得られた知見が結構あります。ユーザーインタビューをしようか迷っている方の判断材料になれば幸いです。

参考文献
デザインリサーチの教科書 木浦幹雄著 2020年 ビー・エヌ・エヌ新社

TAM はWebサービス、業務アプリなどの新しい価値を作り出すサポートしています!お気軽にご相談ください。
https://www.tam-tam.co.jp/ux/

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杭原 加菜子 / Kanako Kuehara
デザイナー
2016年より在籍。TAMに来る前は、メーカーでソフトウェアの品質評価を担当し、日々ユーザーにとって使いやすい/魅力的な商品になっているかを考えながら、仕様提案/指摘や不具合報告を行なっていた。企業の商品やサービスに対する想いをカタチにするところに関わりたいと考え、TAMへ転職。

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