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ワクワクリベンジ読書のすすめ~『言語の本質』今井むつみ・秋田喜美著~
ん~、やはり新書版はその道の専門の方が書かれるので難しい。が、一方で学びが多いのも事実。本書は、いわゆる言葉を深く研究されている方の著書であり、いい意味で読みごたえがあった。
著書でさかんに出てくる「オノマトペ」という語。知らなかった。擬音語・擬態語・擬情語(「わくわく」などの内的な感覚・感情を表す語)を含む包括的な用語とのことで、ひっくるめると、「感覚イメージを写し取る、特徴的な形式を持ち、新たに作り出せる語」という意味になるらしい。
しかし、ここでいう感覚イメージとは形容詞や副詞のことではない。
例えば、「ワンワン」「ニャー」「ニコニコ」など、その言葉から対象となるものの大枠を理解できるというのようだ。つまり、「ワンワン」と言えば「犬」、「ニャー」と言えば「猫」。そして「ニコニコ」は「笑顔」と、だいたい想像がつく。著書では、このオノマトペの性質を「アイコン性」としている。あらわすもの(音形)とあらわされるもの(感覚イメージ)に類似性があるとして、非常にわかりやすいキーワードであると感じた。
ただ、著書の狙いはもっと深いところにある。要はなぜヒト(人間)だけが言語をもつか、ということ。それを理解するためにも、人間とは何かを考えることが重要であり、そのカギを握るのが「オノマトペ」と「アブダクション(仮説形成)推論」という、人間特有の学ぶ力にあるとしている。
感覚イメージをコミュニケーションできるように形づけようと努力する能力、と言えようか。
特に新しい事象が次々を生れる昨今。それをどうあらわすか、そしてそれをどう「正しく」「生きた知識」としてつなげるかは、簡単なようで案外難しいのかもしれない。
著書の中で紹介されている『ゆる言語学ラジオ』というYouTube番組がある。
ゆるく楽しく言語の話をするラジオとして身近なトピックから、コトバの奥深さを感じようとするもので、「言語学の二歩くらい手前の知識が身につくラジオ」というコンセプトである。
「オノマトペ」しかり『ゆる言語学ラジオ』しかり。
生活の中で楽しく有意義に言葉を使っていくためには、実はこのように学問的な部分から少し離れたところにヒントがあるのかもしれない。