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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『老後破産 長寿という悪夢』NHKスペシャル取材班~

<<感想>>
超高齢社会を背景とした様々な事例が記載されている。『老後破産』というタイトルが示すように、いずれもショッキングな、想像を絶するものばかりだ。深く考えさせられた。
誰にも「老後破産」となる可能性がある。それを理解した上で、自分なりに問題点を整理してみた。
 
大きく「情報」と「つながり」の2つについて指摘したいと思う。
まずは「情報」の問題。社会保障制度についての情報が正しく伝わらないため、「勘違い」「理解不足」「無知」が数多く発生している。それが特に単身で貧困を抱える高齢者の生活のしずらさにつながっていると考える。
例えば、生活保護制度。意外と多いのは「持ち家に住んでいるから生活保護を受けられない」というもの。あきらかに勘違いである。確かに生活保護は税金で支払われるものであるため、資産を持っていると対象から外れるといわれている。しかし例外もあることが知られていない。「家の財産価値が小さければ、家を手放さなくても生活保護を受けることのできる可能性もある。
また同様になかなか知られていないのが全国各地にある「無料低額診療所」である。年収の分かる税金の書類などを提示すれば、医療費が免除あるいは減免される診療所である。これは法律に基づいて設置されており、本来、年金収入だけで暮らす人にとっての駆け込み寺となるはずである。
しかしその認知度は非常に低い。
 
また「つながり」という問題。
著書の中にも「本当に辛いのは、人や社会とのつながりを失い、誰のために、何のために生きているのかわからなくなってしまうことにあるのではないだろうか」とある。
しかし現実には高齢者をとりまく環境はいよいよ厳しくなっている。特に都市部においては、地域における個人との関係性が希薄になっていることはすでに社会問題化している。
私の住んでいる地域でも、町内会が解散することになった。そんなにさかんな町内会ではないにしても、単身高齢者の方が多くいる中で、いよいよ接点が少なくなってきている。単身高齢者にとって、結局頼りになるのは「顔見知り」くらいになってしまう。

ただここにきて各地でNPOなどを中心に「場」づくりの動きが出てきているのは幸いである。同じ高齢者やボランティア、職員などとのふれあいの中から生きる意欲や希望を感じることのできる場。さらには困ったことがあれば相談にのることのできる場。そして何より適切な情報提供のできる場。
そんな「つながり創造型NPO」こそ、これからの時代に求められていくのだろう。

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