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東京の大企業に憧れる地方大学の学生さんへ

そろそろ、2024年度入社組の就職活動の足音が近づいてきましたね。
今日は、「東京」の「大企業」に憧れる地方大学出身の学生さんに向けてのメッセージです。


わたしは昔、地元の地方大学の理系学部の女子でした。
どうしても入りたい会社があったけど、学部三年生のときに落ちました。本当は大卒で就職したかったけど、その会社にリベンジするため大学院に進みました。(詳細はこちら



たぶんそこから、「意識高い系」になりました。

「地方大学の、ましてや女子学生には誰とも被らない武器が必要だ」
「院卒は後がない。必死でやるしかない」

誰も聞いてないのに鼻息荒く就活論をしゃべり、誰も頼んでないのに業界内で箔がつくような活動を続けてきました。研究そっちのけでね。都内の友人宅に2週間居候して本命会社のインターンシップに行き、お酒も飲めないのに夜は毎晩宴席に赴き、コネクションを作りました。

本命に内定をもらうためならと、やれるだけのことは全部やりました。使えるものは何でも使いました。


東京で働く社会人たちのポジショントークを真正面に受け止め、東京への憧れをどんどん高めていきました。





でも、結局、また落ちました。だめでした。
学部のときと同じ、最終面接の一つ手前の段階で落ちました。


ふしぎなことに、前回ほど感情が揺さぶられませんでした。きっと、やれることはやりきったからだと思います。それでだめなら仕方がないと諦めがついたのでしょう。

本命落ちたのは仕方ない。
でも、内定貰うまでは就活は続きます。もはや、絶対に外せない条件は「東京」と「大企業」。これでした。


憧れの東京と大企業

まず東京。

「都市でしかできない仕事をしたい」とか言っていましたが、もうひとつの理由は田舎から出ることでした。田舎特有の閉鎖的な空気がいやでいやでたまらなくて、誰もわたしを知らないところに行きたいと思っていました。

週末はなんとなくイオンに行って、なんとなく流行りの映画を観て、そしたら地元の知人にばったり会って、目撃情報をシェアして・されて。また、実家は飲食店をやっているため「○○(店名)のむすめ」というタグがついて回って。

別にいいんですけど、本当にいいんですけど、心底うんざりしてたんでしょうね。



次に大企業。問題はここからです。

本当は、もっと偏差値の高い大学が第一志望でした。でも受験に失敗して、結局すべり止めとして受けた地元の大学に落ち着きました。この失敗を逆転するなら、大企業に内定貰うしかない、と真剣に考えていました。
とにかく、ヒエラルキーの長者になりたかったんです。これまで散々負け越したのに、最後の1円まで最終レースにつぎ込み、一発逆転を狙っていたんです。



結果、希望のとおり条件のそろった大企業から内定をいただき、気付いたら中堅社員になりました。いっちょまえにOB訪問とか受けたりしています。


今ふりかえって思うこと


あんなに憧れだった「東京」へのこだわりも、今では熱が冷めました。東京暮らしを楽しもうと背伸びして六本木に行ったところで、値段の高さに手が出せませんでした。どこにどんな店があるか分からないし、徒歩移動ばかりだし、結局はイオンに行くようになりましたよ。

きっとね、「東京」じゃなくてもよかったのかもしれません。地元以外のどこかであれば。

あ、そういえばね。新入社員のころはよく、東京では田舎者扱いされ、地元に帰ると都会人扱いされましたね。そして「わたしの居場所ってどこなんだろう」と不安になりました。自分から逃げたくせにね。


でも、逃げた先には何もなかったです。逃げることが目的だったから。ここが東京であろうが、そうでなかろうが、きっと同じような虚しさを感じていたんだろうなと思います。



悪く言えばからっぽ


え?「大企業」としてはどうでした、って?
そうですね、福利厚生はいいですよ。あと、給料もそれなりです。都内で暮らすには共働きはマストですけどね。

けど、社内人脈・調整に長けた人が生え抜きとして出世していく背中を見て、なんだかなぁとモヤる一方で、自分自身は胸を張って言えるスキル・経験も乏しく、ああ、この会社に一生勤めていかないといけないのかなあとしばしば不安になっています。正直、全然キラキラしてません。


きっとね、就活してた当時から、自分の中身がなかったんですよね。


「本当は、もっと偏差値の高い大学が第一志望でした。」
「受験に失敗」
「逆転するなら、大企業に内定貰うしかない」
「とにかく、ヒエラルキーの長者になりたかった」


偏差値って高い方が偉いのか。
有名な企業だから何なのか。
それは誰が決めたヒエラルキーなのか。
お金を多く貰う人ほど偉いのか。
お金があれば本当に幸せになれるのか。
偉ければ幸せなのか。


自分が本当は何を望んでいるのか、なにも知らない・いや知ろうともしないくせに、そのなんだかよく分からないヒエラルキーという山に登ってきちゃった感じです。

良く言えば素直、悪く言えばからっぽだったんですね。いちばん大切なはずの自分がスカスカだから、世間(の一部)が言う価値観に染まったんでしょう。



もちろん、東京とか、大企業とかを選んでもいいと思いますよ。
けど、その選択はあくまでなんらかの目的を叶えるための手段であってて、わたしみたいにゴールにしないほうがいいですよ。

あ、そんなこと当たり前ですよね。釈迦に説法でした。すみません。

以上、先輩からのメッセージでした。



おしまい

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