バーベキュー場を運営する私たちのプライベートキャンプスタイル。
私は河川敷のバーベキュー場「タマリバー」を運営していますが、夫婦で同じ仕事をしているので、連休や週末は必ずどちらかが仕事になります。
特にゴールデンウィークは夫が出ずっぱりで、子どもは大きなフラストレーションを抱えていました。
「なんでお休みなのにお父さんいないの?寒い時はずっと家にいたのに!」
と主張してきます。
冬にお父さんがずっと家にいたのは、バーベキューのお客さんが来なくて暇すぎたからです。
つまり、別に喜ばしいことではないんです。むしろ私たちのような零細企業にとっては普通に焦ることなんです。
そんなことは子どもには通じず、さらに「お父さんばっかりバーベキューしてずるい!」と、かなり実態と乖離のある主張をするため、先日久しぶりに一家でお休みを取り、関東圏のとあるキャンプ場に行ってきました。
GW明けの平日ということもあり、全部で50以上あるキャンプサイトのうち、なんとお客さんは私たちだけ。若干怖いくらいの貸切状態でした。
キャンプ場についたら、まずはテント設営から始めます。
元ガチキャンパー(キャンプ歴30年超)である私の両親から引退品として譲り受けたテントを組んでいきます。
仕上げのペグ打ちを夫にお願いして待っていると・・・
「えっ、うそ!」
という悲鳴にも似た声が。
ケガでもしたのかと思い、「どうしたの?」と聞くと、
「うそだろ・・・この地面、やわらかい!」
と狂喜していました。
タマリバーがあるのは河川敷なので、地面はごろごろした石だらけ。
土がないためとにかく地面が固く、ペグを打ち込むのも一苦労。
タマリバー開場以来、何本のペグが犠牲となったかわかりません。
かつてタマリバーの地面に単管パイプを打ち込んだ時は、地面の下にある巨大な石に突き当たるたび、スタッフは「THE・絶望」みたいな顔をしながらパイプを抜きます。
そして場所を少しズラしてまたパイプを打ち直す・・・といった具合で、それはそれは大変な作業でした。
その際私は「地面に大きな石がありませんように」と母なる大地に祈るという大切な仕事をしていました。つまり、完全なる戦力外でした。
日々そんなことをやっているため、夫は「普通の地面ってこんなにやわらかいんだ」と感動していました。
無事にテントをたて、ひととおり遊んだら、いよいよ夕ご飯のしたくです。
日々バーベキュー場を運営している私たちの腕が鳴り・・・ません。
タマリバーで設営→片付けという無限ループをしている夫は、「休みの日にまでBBQコンロの片づけなんて絶対しない。絶対にだ!」という強い意志を持っています。
その結果、私たちが使った調理器具は、
カセットコンロです。
写真の背景が草でなければ、「家かな?」と思う構図です。
そしてお肉があるとやっぱり欲しくなるのが、お米です。
飯盒と焚き火でご飯を炊く。キャンプっぽくて素敵ですよね。
私たちのご飯はこちらです。
写真の背景に関係なく、もう「家だよね」と思う構図です。
そしていよいよ、お肉と野菜を焼いていきます。
キャンプに向かう前日に「何をもっていこうかな」と考えたとき、ふと思い出したことがありました。
タマリバースタッフは、実は過去に「バーベキューインストラクター」検定を受講したことがあるのです。もちろん全員ぴっかぴかの初級です。
普段はシェードをはったり、油まみれのコンロを拭いたりしているので、この検定で学んだことをまったく生かせていません。
キャンプでなら「ここで得た知識をフル動員できる!」と確信し、数年前に学んだ内容を必死で思い出しました。
そのかいあって、今回のバーベキューはとても満足度が高かったのです。
バーベキューインストラクター検定で学ぶ中で、でとくに参考になったことをふたつご紹介します。
一つ目は、お肉を家から持っていく方法です。
スーパーで買った状態(お肉が発泡トレーに入った状態)でクーラーボックスに入れて行く方が多いと思いますが、その方法だと現地で出るゴミの量が増えますし、作業の手間も増えます。
そこで、事前に発泡トレーから出して、ラップに包んでジップロックに入れて行きます。
こうするとクーラーボックスの中もすっきり、現地でのゴミも最小限、何よりすぐにお肉を焼き始めることができます。
二つ目は、野菜の焼き方です。とくに、ピーマン。
ピーマンって、バーベキューではやたら雑な扱いをされますよね?
だいたいピーマンはお肉の端っこに申し訳程度に添えられていて、「本当にバーベキューでピーマンを食べたい人なんているの?」といつも思っていました。
でも、この検定で習ったやり方だと、段違いにおいしくなります。
「切らずに丸ごとオリーブオイルを塗って焼く」と、驚くほどジューシーになるのです。
かつては「このジューシーさをみんなに教えなければ!」という謎の使命感にかられ、タマリバーのインスタグラムで紹介したくらいです。
ピーマンに限らず「野菜は極力切らない」が美味しく焼くコツです。
「ジューシー」で思い出しましたが、最近子どもの食事の感想のバリエーションが増えてきて、「とろけるね~」や「ジューシーだね~」など、食レポ的なセリフをよく言うようになりました。
最近作ってほめられたのは、豆腐の味噌汁でした。
「おかあさん、このおとうふ、すごくやわらか~い!」
うん、豆腐だからね。
豆腐がやわらかいと絶賛してくれたわが子ですが、あんなにバーベキューを楽しみにしていたはずなのに、いざキャンプ場でお肉をすすめると「いらな~い」のオンパレード。
理由を聞くと、
「こういうお肉、かたくて嚙み切れない」と言うのです。
そこで私は、
「大丈夫!いつも買っている激安激硬なお肉じゃないから!今日はなんと黒毛和牛だよ?あ、和牛って知ってる?普段はトリさんとブタさんしか食べないからよく知らないかもしれないけど、これは牛さんのお肉でしかも日本で品種改良された牛さんが(以下略」
と懇切丁寧に伝えたのですが、「分厚い肉=嚙み切れない」という印象はそう簡単に変わらないようで、ほぼ食べませんでした。
その代わりに子どもがものすごい勢いで食べていたのが、日清のカップヌードルでした。
一口すすると「ナニコレおいしい・・・!」と衝撃を受けたようで、そこから完全にキマッた顔つきになり、一心不乱に食べていました。
今回のキャンプを通して私が学んだのは、「アウトドア×カップラーメンは最強である」ということでした。