一人一人が自分で選び学び生活する自律した個人を育てる学級経営を目指して

僕が想うクラスの一年間のゴールは、僕がいなくても生きていける子供達に近づいていることだと思っています。

子供たちは学校という特殊な空間を出ると、一人で判断し生きていかなくてはなりません。

そして、来年僕が彼らの担任をしていることは保証できません。

もちろん、それぞれの先生に良さがあると思っています。

ただ、僕の教育観として、自分で判断し、学び、行動できる自律的な存在を育ていきたいと思っています。

だからこそ、この一年間で自分で選ぶ経験を、自分で作り変える経験をできるだけさせてあげてたいと思っています。

ある日、うちのクラスで話題を掻っ攫っていったのは練り消しだ。

誰もが一度は作ったことがあるであろう練り消し。

うちのクラスでもブームになっていて、お金をかけて練り消しを買い出す者も現れてきた。

そんな中、僕のクラスに講師で入っている先生から相談があった。

「ずっと練り消しを触っていて、話を聞いてないんです。なんとかなりませんか?」

確かにずっと練り消しを触っているし、練り消しでのトラブルも増えてきてはいた。

さて、うちのクラスでは決め事やルールはみんなで決めます。

そこで、みんなで話し合いました。

まず、練り消しに対してどうするのか、完全禁止とルールを作る、今まで通りルール無しの3つの選択肢からまずは選んでもらいました。

結果、クラスの八割が何かしらのルールを設けることを望んだために、ルール作りに話が進んでいきました。

まず、授業中に触らないこと。

これに関しては誰からも異論は出ませんでした。

次に、休み時間はいいのかという問いに関しても同様にOKになりました。

しかし、朝と帰りの準備の時間に関しては意見が分かれました。

準備が遅い人が注意が逸れてしまうことや、帰り道に触ってしまうことが出てくることを危惧している子が多かったです。

ただ話し合いはいつまで経っても平行線のままでした。

そこで今回は多数決からの少人数の意見を聞くスタイルで決めました。

その時間をダメとする人が多数決でほとんどだったために、その時間をOKだとする少数だった人に「どうしてもの理由がある人」と尋ねました。

すると、どうしてもの理由は出てこなかったので、朝と帰りの準備の時間はダメになりました。

次に、もしルールを破ってしまった際に、どうするかということで、没収と捨てるアイデアの二択になりました。

これも同じやり方でやりましたが、ほとんどの人が捨てていいということになりました。

ただ没収がいい人の中で、どうしてもの理由がある人がいました。

その子は、

「お金をかけて練り消しを買っているのに捨てるのはあんまりじゃないか」

と言ってきました。

これに対してみんなで解決策を考えていきます。

この件に関しては、

「無くなったら困るようなものを学校に持ってこなければいいのではないか」

という意見によって、本人も納得したために解決となり、練り消しはルールを破った際には捨てられることになりました。

最後に、テストが早く終わった人や、作業が早く終わった人が練り消しをするのはOKなのか議論になりました。

最終的には、早く終わった人の権利なので、OKなのではないかという意見にまとまりました。

こんな感じで、学び方を、係を、ルールを作り、選び、変えていける経験をさせてあげたいと思っています。

もちろん、作り方も変え方も知らないあの子達だからこそ、作り方と変え方を教えてあげなきゃいけません。

でも、そこから先はあの子たちに任せていい。

彼は意志のある人だから

もし、彼ら一人だけじゃ進めない時は、友達と手を取り合って進めばいい。

それでもダメなら、僕が共に考えて、相談して、彼らが自分で決めて進めばいい。

例えば、「勇気の出し方」

僕が担任しているのクラスの子から相談があった。

「先生。いつも友達に何かされた時に先生に言ってもらっていたけど、それだとダメだと思うからさ、自分でやめてって言えるようになりたい。」

と、相談がありました。

心の底からその子のことを尊敬し直しました。

そして、その上で背中を押したいと思うようになりました。

「何かされた時にどう感じるの?」

「痛いとか、怖いって思う。」

「やめて欲しいって気持ちはあるの?」

「あるけど、言葉が出てこないんだよね。」

「言った方がいいとは思ってるの?」

「思ってるし、言いたいな。」

「何かされた時に、何があったら言えるようになるの?」

「う〜ん、、、勇気かな〜」

「じゃあ、勇気ってどうやったら手に入れられる?」

「わかんない。」

「じゃあ、今から先生が言う方法の中から一番勇気が出そうなものを選んでみて。」

「うん!!」

そんな感じで、いくつか選択肢を出した中で選ばれたのは、ブレスレットでした。

「それを見たら勇気を持って言えそう。」

と言われたので、一日かけて作ってみました。

こんな様に、その子の背中を押してあげるだけです。

僕なりに尊敬するその子のためにできることを精一杯やるだけです。

誰しもが一歩を踏み出すためにお手伝いをする。

いずれ僕がいなくなっても歩けるように

そんなことを描きながら僕は今、学級経営をしています。

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小泉しのぶ(小学校教諭×起業家→教育委員会×起業家 )
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