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教員一年目の僕が3ヶ月で全校生徒参加のリモート交流集会を公立小学校で実現した舞台裏

リモートで集会??

1年生が朝教室に入ると、大型ディスプレイには、いつも見えるはずのない6年生の教室の様子がそこには広がっていました。

学校響き渡る歓声

子供の笑顔が各教室に広がり、温かな空間が、そこにはありました。

先日、児童主体の委員会活動の一環で、zoomのブレイクアウトセッションを用いたリモート交流集会を実施しました。

学校の環境的に、パソコンで音声を拾うことや映像を撮ることはできないので、書画カメラを用いて映像だけ他のクラスと繋ぐことにしました。

そして、2つクラスで1つのビンゴカードを使って、放送でビンゴの数を言い、数があった時やビンゴをした時にするポーズを決め、放送でタイミングを他のクラスと合わせて、交流するという内容でした。

学校が再開されてから、全校生徒で集まることもなく、日々が進んでいました。

そのため初めての学年を超えたイベントだったこともあり、朝から子供達のテンションは高く、集会が終わるまで子供の笑顔を絶えることはありませんでした。

何より校長先生が嬉しそうでした。

集会後校長先生からも、

「よくやってくれたね。」
「ありがとう。」

と言って頂けました。

振り返りの時の子供達の顔は、とても満足そうで、やり切ったって想いが伝わってきました。

そんな素敵な舞台の裏側には、教員一年目の僕の血の滲むような努力がありました。

今日はどうして僕がzoomを使って、全校生徒参加の集会をすることができたのか、その舞台裏を話そうと思います。

四月 

学校全体を見渡した際に、周囲の先生との今後の関係性を考慮した上で、オンライン化を無理に進めることが善ではないと考えました。無理に校長に直談判して嫌われでもしたら、その後やりたいことができないと考えたのです。

然るべき時が必ず来る。

そう考えた僕は、教員がオンラインツールを使えるようになること、オンラインツールを知ることができるようになることを第一の目標にし、数少ない学校に出勤するタイミングで、ICTが使えることをアピールしました。

友達とのzoom飲み会の話や、パソコンを用いて他校が行っている実践、うちの学校の設備面の話など日常の色んなところで散りばめました。

そんなことをしていると、休校期間中の4月末、学校に着くと、先生たちがオンラインを用いた課題の出しかたや、動画配信のやり方を模索していました。ただ双方向のコミュニケーションが取れるものは、まだ手をつけられていないような状況でした。

そこで、動画をあげた経験があることや、zoomができるので、必要なら呼んでくださいと、管理職にアピールしてみました。

その後、お昼休憩の際に、急遽zoom勉強会がスタートし、管理職の先生も巻き込んでzoomのやり方を教えるとその手軽さを知ってくれた。しかも無料なことを伝えると、前向きに検討してくれることが決まり、とりあえず職員会議をzoomでやってみて、できたら朝の会をzoomでやってみたいね。となりました。

そして、それを教員が使えるようにやり方とかまとめておいてくれると頼まれました。

zoomできるアピールを続けていたからこその結果です。

次の日徹夜で、zoomの使い方をそれぞれの端末ごとにまとめた資料と、オンラインサロンメンバーに頼んで作ってもらったグラフィックレコーディングでまとめたzoomの資料を用意しました。

そしたら、次の日にはzoomの利用は延期になったことを伝えたられました。

理由は色々ありますが、これもタイミングです。

僕はその資料を学校で保管して、来るべき時を待っていました。

五月

そこからしばらくして、五月末にある大きなイベントが開かれました。

僕もお世話になっている蓑手さんや庄司さん、そして僕が主催してるオンラインサロンのメンバーの登壇した大きなイベントです。

https://unportalism.com/education/educate/3kenjinn/

僕の学校の先生が、このイベントに参加していて、その話を僕にしてくれたタイミングで、ゲストの人達と繋がっていることを伝えると、何かあったら声をかけると言ってくださいました。

そして、この翌日職員会議の中で、校長先生からこんな素敵な話があった。

「今年はチャレンジの時です。授業時数のためでなく、子供たちのために色んなことに先生がチャレンジしなければなりません。そういうチャンスが来たと思って頑張りましょう。」

うちの校長先生は素敵です。

そんなこともあってか、お世話になってる先生に、

「教員同士でzoomで遊びたいね」

と言われ、他の先生からも

「zoomについて、中長期的に考えた時に必要なんだと思うんだよね。そん時は任せたよ」

と言われたので、zoomの資料等の準備が終わっていることを伝えると、そのまま校長先生のところに連れて行かれて、あれよあれよと僕が以前に用意した資料が全教職員に配られることになりました。


その後校長先生とお話をさせて頂くと、

「これから中長期的に見た時に、GIGAスクールが進み、1人1台準備された時に、そういった取り組みは絶対必要になってくる。だからこそ、今のうちに教員がzoomを出来るようにしておきたいんだよね。だからこそ、周囲の先生に教えてあげて欲しい。」

あっという間にzoom担当大臣(自称)に就任することが決まりました。

そのあと、資料を職員室のみんなでコピーしたものを、冊子にする作業をすると

「えっこれやるの!」

と、一人の先生が叫ばれた。

「今すぐではなくて、何かあった時の資料としてです。」

と他の先生が説明してくれたので、その場は収まりましたが、

何かを始める時に生まれる抵抗の強さを肌で感じました。

そこで、校長先生に頼んで、今日配るのではなく、後日校長先生から意図を説明をした上で配布してもらえるようお願いした結果、次の職員会議で配布意図を説明した上で、資料を配って頂けるとことになりました。

誰が言うかが大事です。

また三密を避けながらどうやって集会をするか、集会委員会の先生がどうやって集会をするか悩んでいました。そこで、zoomを用いた集会の方法を提案したら、好感触で、急遽集会委員会に引き抜かれることが決まりました。

六月

それから月日が経ち、僕以外の先生が職員会議をzoomでやってみようとするも、設備面の壁で阻まれます。

学校のパソコンを使って、書画カメラを用いたzoomの実験には成功していたものの、パソコンにマイクがないことが判明し、また一つ新しい壁にぶつかったのです。

その試行錯誤の裏側で、僕は一人学校のパソコンを使って外部と繋がることを試していました。

オンラインサロンメンバーから学校現場の先生のリアルを情報交換する大学の授業に参加することをお願いされたので、校長先生に情報交換という目的で勤務時間中に参加することをお願いし、参加しました。

その際に、ただzoomを繋いだだけだと、進歩が学校的にないので、敢えてクラスに一台あるテレビに繋いでzoomを行いました。

そこで判明したのは、マイクで音は拾えないものの、書画カメラという学校にある機器を使えば映像を送り合うことができることが明らかになったんです。

その姿を校長先生に見せ、「これは可能性あるかもね」と新しい選択肢を認識してもらいました。

そして、集会委員会を仕切っている先生にコロナの状況下でもこれならできますをアピールしました。

すると、その先生伝いでその方法ができることを子供達が知り、集会委員会の子が動き出します。

リモートでビンゴをする集会をしよう!!

委員会が始動してから二週間でこの集会が開催されることになり、その準備に僕の休み時間はほとんどなくなりました。

子供の話し合いにアドバイスや、クラスに配るお便りの作成、打ち合わせ等の日程調整など、マネジメントに日々追われます。

そんな中でも子供主体で作っていくことが大事です。

ビンゴカードをどうすれば交流しながら作れるか、音の無い中でどうやって交流するのか、アイデアを出し合い、まとめていくプロセスを見守ります。

そうやって集会の中身はできました。

この部分に関しては、集会委員会をまとめている先生の力が大きかったです。僕はほとんど何もしていないと思います。

ただ僕がメインで担ったのはハードの部分です。

これまでzoomを使ったこともない先生達に、Chromeをダウンロードしてもらい、zoomに入る練習をしてもらいました。

子供がやる委員会活動の一環なので、他の先生もやらざるを得ません。

教員一年目が職員会議で、zoomのやり方を書いたレジュメを配り、他の先生方が都合のいいタイミングで、一人一人やり方を教えていきます。

前日の夜には、学校が閉まるまで、全教室の書画カメラ及びその他機器のセッティングをしてから、zoomのレクチャーを他の教員に行った後に、通常のクラスの授業の準備と丸つけに追われる地獄のような時間を過ごしました。

色んな先生に手伝えることがあれば、とは言われるもののハード面で僕以外にできる人がいない現状なので、僕が走るしかありませんでした。

なんとか前日夜にzoomを少し使うことができる先生が何人か出てきました。

それでも当日朝までzoomに入ったことがある先生が半分くらいだったので、不安しかありませんでした。

そして、当日の朝

7時からスタンバイして、来た先生から順番にzoomに入ることをお願いします。

パソコンの電源が落ちる人、書画カメラが使えない人、パスワード忘れる人

本当に色んなトラブルが最初から最後まであり続け、その都度走り続け、気づけば階段を10往復していました。

それでも、やってよかったと思えています。

子供が達成感に満ち溢れ、教員も興奮を隠せない様子でした。

最後に


以上が、教員一年目の僕がzoomを使って、全校生徒参加の集会をすることができたのか、その経緯を書かせてもらいました。

人にはタイミングがあって、それは自然と訪れるものです。

その時にチャンスを逃さないように、来たるべき時に備えて着実に蓄え、そして待つ。

その努力が花開いたのは本当に嬉しかったです。

こんな時代だからこそ、初任者でもできることをこれから全力で取り組んでいきたいです。

この実践報告が誰かの力になっていたら幸いです。


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小泉しのぶ(小学校教諭×起業家→教育委員会×起業家 )
サポートして頂いたもの、全て教材の作成費用等の子供たちのために使わせて頂きます。