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あざとさ出してみました、春。
あくまで凡人的な生活を送っている私ですが、稀にフィクションのような出来事もある。
ずっと友達だった年下の男の子とセックスした。(よければ前回記事もどうぞ!)普通の女の日常にも、こんなキラッとした瞬間があるんだな、世の中ってちょっと面白いかも。そう思ってもらえれば本望です!
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カジュアルなビストロでバンビ君と落ち合う。
その日私は仕事帰りにオフィスから直行していて、袖がふわっとしたボリュームのある白シャツに、胸元がベスト型に開いた黒のワンピースを重ね着していた。ヒールも履いている。
「え〜いつもそんな服着ていないのに…!」
開口一番にバンビ君が言う。
バンビ君と私はお家が近いこともあり、私の普段の装いと言えばストレートジーンズにざっくりニットを合わせたり、大きめのワークジャケットを羽織っていることもある。しかも身長差を勝手に気にしているため、概ねスニーカー。
流行りのメンズライクというより、まるでメンズだ。
『そっかあ、バンビ君も以外と意識しているのね』
その日はそんな気づきがあって、次の会合では思いきり女っぽくしてみる。襟と袖がくしゃっと萎んでいて華奢なデザインのシャツに、腰からお尻のラインが引き立つニットのスカート。一度帰ってわざわざヒールにも履き替える。
「雰囲気違う!どうしたの〜!」
すぐさまリアクションしてくれる。その反応、100点。
「そうかな?ちょっと出かける予定があったから」
とぼけるけど、内心はニヤニヤが止まらない。
その日のディナーはいつになく盛り上がる。バンビ君がいつもより饒舌に自分の話をしてくれる。とても楽しそうで、私も嬉しくなり、お互いによく笑う。イタリア通の店員さんが勧めてくれるワインがぐいっと進む。
バンビ君とはすっかり友達だと思っていたけど、あなたも意識しているのね。女っぽさ出すことでこんなにテンション上げてくれるんだね。相手の反応を素直に反映してみることも大切だと実感する。
「…この後予定あるの?」
「なんもないよ」
「もうちょっと一緒にいよう?」
あざとい装いを言い訳にして、少し照れるセリフも言ってみる。バンビ君は私のお家に到着すると、いつものようにくつろぐかと思いきや、力強く私を押し倒してきた。
身長差を縮めたくて、避けていたヒール。
効果は真逆だったよう。
思い返せば、バンビ君は口数こそ少ないけど、買い物の荷物はいつも全部もってくれるし、お会計も一旦してくれることが多い。雨の日に会う約束があるとわたしの近所まで出向いて来てくれる。
行動に意味を込めるひとに対して、行動に意味を込めてお返しするのは重要なのだ。相手が思う共通言語でお返事しないと、わかってもらえないこともある。
バンビ君の生態に少し詳しくなって、LINEの連絡が少ないとか、好きと言ってくれないとか、そんなことでイライラすることも少なくなった。
それに、ひとりの時間を楽しめれば、ふたりの関係も更に楽しい。ハマってる本屋さん巡りやゲームの話し、お気に入りの漫画やアニメや音楽、仕事でこんなことがあったとか、そんなたわいのないお互いの話が、いっそう輝く。
バンビ君にとって、ずっと良き話し相手でありたい。
そんな気持ちが自然とふくらむ。引き続きこの気持ちは型にはまらないけど、やっぱり彼が好きで、大切で。でも独占したらよくない気がする。そんな確信が深まる。
ところで先月、私は長らく受験に奮闘していた大学院に無事合格した。そして、おめでたいことにバンビ君も、無事志望大学院に合格した。
2人は秋から大学院生。
バンビ君は働きながらオンラインで受講するけど、
実は、私は海外へ渡航する。
「今日はお祝いだからね」
ある日、バンビ君はそう言って、たっぷり優しくしてくれた。わたしもいつもより、甘えさせてもらう。
明るい日がさす。春。
でも、季節はめぐる。
バンビ君とは、秋になったら一旦さよなら。
夜に一人で想像すると、勝手にセンチメンタルになる。
二人は相変わらず何の関係にもないのに、おかしなものだ。
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今日はここまで!拙い文章を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。気に入ってもらえたらスキ・シェアしていただけたら嬉しいです!
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