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とうきび畑でつかまえて

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【長編小説】 30歳の誕生日、息吹(いぶき)は北海道・富良野のラベンダー畑でリゾートバイトを始める。きっかけは婚活の苦い思い出だった。 お仕事あり・恋あり・涙あり、ひと夏の物語が…
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記事一覧

とうきび畑でつかまえて

    プロローグ  目の前に流れてきた回転寿司を見て、安達息吹(あだちいぶき)は愛想よく…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~1、そうだ 富良野、行こう①

1 そうだ 富良野、行こう。  北海道の中心部にある富良野地方は、人口二万四千人の富良野…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~1、そうだ 富良野、行こう②

    ○  ミル・フルールで一番の集客数をほこる売店ラベンダーは、ほかの売店に比べス…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~2、わたしをキャンプにつれてって①

 2 わたしをキャンプにつれてって  キャンプ婚活が開催された日曜日は、幸いにも休みのシ…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~2、わたしをキャンプにつれてって②

 参加者全員と話し、休憩時間を兼ねたフリータイムに移行する。煙草を吸いに行く人もいれば、…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~3、雲の中へ行ってみたいと思いませんか?①

 3 雲の中へ行ってみたいと思いませんか?  六月の中旬になると早咲きのラベンダーが色づ…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~3,雲の中へ行ってみたいと思いませんか?②

 息吹が働いていた製菓会社は、女性の販売員が活躍する華やかな世界だった。  デパートやスーパーに入った売り場に立ち、お客様の要望に合わせてケーキや贈答用の菓子を詰める。冠婚葬祭によって包装紙や熨斗紙が異なるため、マナーに関する知識は人一倍勉強しなければならなかった。 「ウェディングドレスは若いうちに着ないと似合わなくなるから、二十五歳までに結婚したいんです。安達さんもそう思いますよね?」  息吹のいた札幌本店は短大を卒業したばかりの社員が多く、恋愛に関する雑談で盛り上がる若々

とうきび畑でつかまえて~3、雲の中へ行ってみたいと思いませんか?③

    ○  翌日の午前三時。息吹は約束通り目を覚ました。  寮の住人は誰もが眠る時間帯…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~4、北海道の中心で、愛を叫ぶ①

 4 北海道の中心で、愛を叫ぶ。  暦が七月に変わると、ツアーで訪れる観光客が爆発的に増…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~4,北海道の中心で、愛を叫ぶ②

 普段は観光客の車が停まる北星山駐車場だが、今日はテントが並び夏祭りの様相になっていた。…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~4、北海道の中心で、愛を叫ぶ③

   ○  怒涛の三連休を終え、ラベンダー畑の美しさがピークを迎えた。  混み具合は連休…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~5、bieiでkoiする5秒前①

 5 bieiでkoiする5秒前  最繁忙期が終わり八月を迎えると、ミル・フルール富良野…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~5,bieiでkoiする5秒前②

 八月十一日に山の日が制定されて、お盆休みにはなにか変化があるのだろうか。  混みはすれ…

田丸久深
4か月前
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とうきび畑でつかまえて~5,bieiでkoiする5秒前③

「……息吹さん、なんでここにいるの?」  三姉妹のひとりに、キャンプ婚活で出会った菜摘がいた。 「トワさんに誘われて……菜摘さんこそどうしてここに?」  彼女とは連絡先を交換した時にフルネームを聞いたが、稲瀬姓ではなかったはずだ。菜摘もそれを察したのか、庭で遊ぶ男の子をひとり指さした。 「私、バツイチなのよ。子供のことがあるから苗字はそのままなの」  男の子は孫たちの中で一番年上であり、彼女の年齢から逆算するに、若くに授かった子供のようだ。 「息吹ごめん、居間からサビオ持って