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[書評]暮しの手帖31 summer 2024 8-9月号

暮しの手帖
それは、母が大好きな雑誌だ。

自分にとってはどこか遠くにあったこの雑誌に、最近になってもの凄く興味が湧いている。

暮らしについて記事を書こうと思ったとき、真っ先に学びを求めたのが、この暮しの手帖だった

図書館に向かい、選んだ第1冊目の内容のインパクトは凄まじかった。
タイトル「暮しの手帖300号記念特別号」

気がつけば、メモをとりながら夢中になって読み続けた。
そして最後のページをめくり終えたときには、ファンになっていた。

そもそも、この雑誌の始まりにそそられる。

戦後3年目に、「もう二度と戦争を起こさないために、一人ひとりが暮らしを大切にする世の中にしたい」という理念で創刊されたのだ。

想いが、重い。
けど、そういうところがなんだか好きになった。

今のようにネット世界がないからか、実に正直で、オブラートに包まれることのない言葉が、日本人の暮らしについてを語っていく。

戦後すぐのあたりは励ますような言葉が多かった印象だ。
それが、バブルのあたりから現代に向かっていくにつれて、日本人の暮らしぶりへの怒りが感じられるようになる。
それから創始者の花森さんは、今の日本の有り様に、戦後を生きた人間の責任を語るようになっていた。

日本人の暮らしを守ろうと闘ってきた雑誌からは、表紙を見ただけではわからない熱気が伝わってくる

それが、これからはどう受け継がれていくのか。
追いかけたくなった

そこでだが、まことに勝手ながらこの雑誌の書評をすることに決めたのだ。



今回の内容は?


ひと言にまとめると、夏と平和

まず、季節ならではの料理や、生活雑貨が多く紹介されている。
モクテルや、湯葉、ビーズイヤリング作りの話が特に印象的だった。

エプロンメモというコーナーでは、目から鱗な作りおきのアレンジが紹介されている。
この暑さでも食欲を湧かせてくれ、読んでいてお腹が空いた

そして、8月といえば終戦の日。
日本には、忘れてはいけない戦争の記憶がある

14歳の女の子が立ち上がり実現した、戦争経験者との対談も掲載されている。
平和のために1番大切にすることはなにか、共に考えを巡らせながら読みふけった。

雑誌の至る所に、平和について想いを馳せる言葉が散りばめられている
そんな一冊であった。


暮しの手帖名場面


私たちが望むのは、今日という1日を、心から満足できるように生きること。

暮しの手帖5ページより

家族だけで過ごす何気ない日、子どもに「撮影係」を頼んでみましょう。
子どもは意外なものを撮るので、「へぇ、こんなところを見ているんだ」など、発見があります。

暮らしのヒント集より

今のSNSはビジュアルが優先。
一つひとつの言葉、その重みを大切にしよう。

14歳の平和のバトンより

人類は、奪い合いで歴史を築いた。

今日拾った言葉たちより

守り合うという選択肢を、人類はいつになったら持てるのか。

今日拾った言葉たちより


まとめ


暮しの手帖は、表紙を見てから読み終えるまで、その世界観にひきこまれる。

そして今回は、やや重みのある内容ではないだろうか。

命や、戦争、平和を題材にするとどうしても暗い部分はある。
それでもこうして読むと、改めて自分が生まれ育つ国のことを冷静に考えられた。
どの国にも、その国の歴史がある。
日本だけが特別、ではないのだ

苦しくて悲しい過去の出来事は、これからの明るい未来のために忘れてはいけないと思っている。
しかし、人は忘れやすい生き物だという。
だからこうして、毎年思い出す必要があるのだろう。

それは、生まれた国を好きでいるために。
他の国の人たちの幸せを願える自分であるために。
かつての苦しみの中、命を繋いでくれた先人たちに感謝するために。

今回の内容を読んでいると、今にありがとうといいたくなった。
そして、これからどう生きようと考えた。

そんな時間を過ごしていると、せわしない現実から少し距離が置かれ、時の流れがゆっくりと静かに感じられた。


こんな人におすすめ!

・夏を乗り切るための、暮らしのアイデアを知りたい。
・暮らしのモチベーションを上げたい。
・忙しい毎日に、ひと呼吸置きたい。

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