石徹白Life1777日目【2022年の6基目。愛農かまど作りワークショップ3日目in岐阜県郡上市高鷲町】2022年10月30日(日)、3日目の最終日
を迎えました。秋晴れの素晴らしいお天気が続いて気持ちがいいです。
朝ごはんを2杯もいただき満たされたお腹と共に、本日も元気にまいりましょう。
9段目と10段目の煉瓦はパズルのように、カットの嵐です。
昨日までに切ってあったものを水から取り出して、並べて確認したら、積んでいきます。
煙突を差し込む穴は、二人の美女が粉まみれになりながらも、
それはもう美しく仕上げてくれました。
グラインダーでここまでできるんだ!というのを知って、実践できた喜びに満たされた嬉しそうな二人の笑顔がまぶしかったです。
さて、10段目の煉瓦を積み終えて、
3時間ほどモルタルが乾くのを待ってから木型を抜きます。
その時間を利用して、愛農かまど誕生秘話です。
今回で7.5基目の愛農かまど作りになる、うちのかみさんが担当しています。
愛農かまどはその素晴らしい機能性だけに注目されがちですが、
単なる便利なモノではなく、人がつなぎ、紡いできた物語があるのです。
私の師匠の師匠にあたる北村さんは、
戦時中の困難な時代を生き抜いて、
人が生きることの意味を私たちに遺してくださいました。
生きていることが当たり前のような錯覚に陥りそうな現代ですが、死ぬことはどこまでいっても、避けられません。
むしろ、どちらが当たり前なのかということであり、
より良く生きるとは、死が自分事で、前提になっているからこそ育まれるのかもしれません。
さて、みなさんが話している間に、私は1時間をかけて、
鋳物扉の設置をしていました。
「愛農かまど」と刻印されたものが失われてから、ドラム缶を切って焚口の扉にしてきましたが、このほど復刻版が入手できました。
感動の出来栄えは富山県高岡市の鋳物職人さんたちの手によるものです。
愛農会本部から届いた時に、拝見して感動のあまり言葉がでませんでした。
世の中には形だけ、うわべだけ真似をしている、〇〇風のものが多くあります。
愛農かまども、実は内部の構造がとても大切です。
なぜ、このかまどが必要なのか。
その歴史的な背景が関わってくるからです。
愛農かまどとして認定されたものには、
今後、この鋳物扉を装着可能になりました。
燦然と輝く扉の前で、どんな物語が紡がれていくのでしょう。
とても楽しみです。
室内設置のため、2重、3重に養生シートで包まれていた現場の壁でしたが、最終段階で台所とつながった時に、息吹を感じました。
全貌が見えた時、呼応するかのように歓声があがりました。
「これは使いたくなるね!」
「ステキ!」
きっと使っている姿が見えたのではないでしょうか。
3日間の途中でご近所さんや施主さんのご友人たちが見学に訪れました。そうしたつながりの中で、愛農かまどが立ち上がってくるのも感慨深いものがありました。
夜20時、予定より大幅に遅れましたが、木型をはずして、
谷口家の愛農かまどが、ひとまずの完成となりました。
おめでとうございます!!
今後、タイル貼りの仕上げはワークショップで別日に実施を予定しています。
ご興味のある方は、ぜひご一緒に。
3日間、通しの方も、日帰りの方も、おつかれさまでした!
初めましての方も、お久しぶりの方も、
ごちゃまぜで家族のような3日間、楽しかったなあ。
美味しいご飯を作り続けてくださった智一さんに胃袋をつかまれました。私も含め、みなさんのモチベーションが段違いでした。
温かな笑顔と心遣いの千春さんの夢や想いが、みなさんにも伝わっていました。
旦那さんも最初は特に興味がなかったけれど、
愛農かまどを使ってみたくなったという発言に変わってきたのが感動でした。智一さんの鏝捌きも素晴らしかったし!
参加されたNさんからのメッセージがとても響きます。
===ここから
「愛農かまどの素晴らしさは機能面はもちろんのこと、みんなで作り、命を吹き込んでゆくところにあるんですね。
これまでWSに参加する経験がなかったのですが、今回のかまど作りや皆さんへのインタビューを通してWSの素晴らしさを知ることができました。
将来竈門を作る時に、作り方が分かって一人で作れる様になっていたとしても、
絶対に仲間と一緒に作りたい!と思える空間にいられたこと、皆さんに感謝です💖
むしろ共同で作らないと愛農かまどの意味がないですね」
===ここまで
今回はみなさんのインタビューも交えて映像を撮っていただきました。そのうち、お披露目しますのでお楽しみに!!
さて、2022年の愛農かまど作りは、あと3基!?
山口県(サポート)、大阪府、山梨県と参上いたします。
2023年度も、すでに日程が決まったり相談が始まっている場所もあります。設置をご希望の施主さんはお早めにお知らせください。
===
◆「愛農かまど」とは?
第二次世界大戦の直後から昭和 30 年代は、森林が荒廃し、残り17年で薪が枯渇すると言われ、日々の調理さえ危ぶまれる状況でした。その際、「全国愛農会」が農村生活改善のために開発し広めました。
https://ainou.or.jp/
料理研究家が考案した、燃焼効率の良い構造が大きな特徴です。
ひとつひとつの熱源や排熱さえも無駄なく流れに載せ増幅させながら、最大限に活かすことができます。
そのため今まで使われず森に放置されていたような、少量の細枝で煮炊きができます。
薪ストーブで使うような太い薪は下段のオーブン利用時のみ、数本が必要な程度です。
上段に羽釜を2つ置くことが可能です。片方は焚口があり、3 升の米が約 30 分で炊きあがります。もう片方は煙突へ向かう手前の余熱を利用した弱火調理ができます。お湯を沸かせるので、餅つきや味噌作りに重宝します。下段のオーブンでは肉・魚・野菜だけでなくパンやピザやシュークリームなどを焼くことが
できます。国内外の様々な伝統料理、創作料理、アウトドア料理などをお試しください。
私たちは「愛農かまど」の優れた機能性だけではなく、精神性を伝承し、
私たちが共に生きていくことの意味や幸せを分かち合いたいと思っています。
◆自力制作するには?
設置場所の企画検討、かまど材料や制作道具の準備など、全てをご自身で行うことができます。
※愛農会から制作に必需品の木型と設計図の貸し出しを受けられます。
木型貸出料:1 基 1 回につき 30,000 円 (複製不可)
設計図貸出料:1 基 1 回につき 20,000 円 (コピー不可)
(1 週間以内に返却。別途往復送料が必要です。)
そのほか詳細は (公益社団法人)全国愛農会 事務局に、ご相談ください。
電話番号:0595-52-0108(8:30-17:00)
メールアドレス:ainouhonbu@gmail.com
◆伝承者とは?
愛農かまどの制作技術だけではなく、開発の経緯や最新の知見、精神性を共に育み伝えていく者です。
事前の相談から、現地へ赴いての制作支援やワークショップ講師などが可能です。
伝承者派遣のご依頼は愛農会に連絡して紹介を受けるか、
ご自身で伝承者に直接連絡をとることになっています。
【連絡先】
大西 琢也 yajin@ugaku.com
略歴>>> https://note.com/takuyaonishi/n/n2eac871116a0
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