#211 日本人の最強の武器とは?
僕は世界6ヵ国でプロサッカー選手としてプレーをさせてもらっています。
トライアル含めると、10ヵ国以上はサッカーのために滞在をしています。
(アルゼンチン、イタリア、台湾、中国、カンボジア、マレーシア、ラオス、タイ、ネパール、モンゴルなど。)
海外の選手たちと対戦するのはとても面白く、刺激があります。サッカーは世界各国で楽しまれている巨大マーケットです。
国によって言語が違うように、サッカーも違います。スタイルというやつですね。
でもこれって、目的をどう捉えるかだと思うんです。
日本は目的よりも方法を重視してきた傾向があると思います。
ブラジルやアルゼンチン、アフリカなどの選手たちはまず目的(ゴール)から考えて逆算しています。
日本は目的地を定めるけれどそれははるか遠くにあって、そこに辿り着くためにはどうすればいいのかを考えるというイメージ。
同じなんだけど全然違うんです。
日本は結果よりも過程に対して美学を持っている。
これはどちらがいいかというのは難しい。
結果が得られてしまえば、全て良いように見えてしまう。だけれど、結果を得るには僕は根拠がある方が良いと思う。
こうしたから、この結果を得られた。
だからそれを継続しよう。
こういうことができると、勝つ習慣ができる。
そして、日本人と海外のいわゆる強豪国の選手たちとの大きな違いは、
個とチーム(組織)の考え方。
海外は個があってチームがある。個が働くことによって、チームとなる。それぞれが独自の考えや特徴を遺憾無く発揮して、それぞれがその持ち場のスペシャリストとして働く。
日本はどうだろうか。
チームがあって個がある。すると、個が発揮しづらくなってしまう。
僕は、組織があって個があるし、個があって、それが連なるから組織だと思う。
要は組織に甘えてはいけないし、個が暴走をしてもいけない。
しかし、個がそれぞれに自分のスタイルを持ち、責任を持って則を超えない範囲で全力を尽くすこと。それをそれぞれが行い、連なる組織はものすごく良い組織だと思う。
さて、ここまではただの雑談であって、日本人の最強の武器とはなんだろうかという話なんですが
これは
「日本国籍のパスポート」だと思います。
現在、世界的に国を跨ぐ国際移動が難しくなってきています。
しかし、一度外に出てみるとわかると思いますが、その難しさというのは一律じゃ無いんです。
我々、日本国のパスポートを持っている人は移動がしやすいはずです。
もちろん、それでもかつてのような自由度はない。
新規のVISAの発行を止めている国はとても多い。
その場合に例外、特例というのが定められている。
そういうのを掻い潜るときに「日本国のパスポート」というのは非常に有利に働く。
海外で街中を歩いている時に
「Japanese?」とか聞かれて、そうだよと答えるとすごく嬉しそうな顔をされることも多々ある。
日本国というのが世界から見ると、安心安全の国というような感じで評価されていて、入国の条件が他の国に比べると極めて低い。
イタリアへ行った時は入国時にパスポートを渡して、10秒以内に返ってきた。
「ああ、日本人ね。ポン!(入国スタンプを押す) はい、どうぞ。」
と言った感じ。本当に大丈夫かよ?と思うくらいでした。
なんで、日本国籍のパスポートが世界では強い(受け入れられやすい)のかというと、それはそのまま世界から見た信頼の現れです。
先人の日本の方々がこれまで積み重ねてきたものが今私たちが恩恵として受け取っているんです。
なんかVISAの取得とかって案外簡単だなあ。
日本人はそう思うはずです。というかそう思わないといけないはずです。
アフリカの選手たちはものすごい量の書類を揃えて渡航をしています。
アメリカとか国によっては少し難しい所もありますが、全世界的に日本人はかなり恵まれています。
東京オリンピックを終えた日本に対する世界のイメージはどうでしょうか。
そして、日本人として日本を見た時にどうでしょうか。
世界に誇れる日本でしょうか。
そこに対して、「もちろん!」と胸を張って言えますか?僕はここに危機感を感じています。
「日本らしさ」、また「日本の良さ」と言うのは少しずつ薄れてきてしまっているのではないでしょうか。
僕はこの部分を海外にいる身として崩したくはないし、少しでもそれを積み上げていきたいと思っています。
日本は素晴らしい国、であったのは間違いないです。
だからこそ、今一度それを取り戻すべきだと僕は思います。