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作曲家・音楽関連の名前のバラ3-2

(冒頭画像 'Sir Edward Elgar' Wikimedia Commons)

近代音楽 2

ここで挙げている作曲家は、時代としては近代にあたるが、作曲様式や美学はロマン派の流れを受け継いでおり、後期ロマン派と呼ばれるべきものである。

エドワード・エルガー
Edward Elgar

1957 - 1934 イギリス

イギリスの後期ロマン派の作曲家。少年時代に才能を発揮し、ドイツへの留学を希望したが経済的理由で断念しイギリスにとどまったことで、独自の作風を発展させた。2曲の交響曲(第3番は未完成)、「エニグマ変奏曲」などで知られる他、「威風堂々 第1番」は現在もプロムス音楽祭最終夜で必ず演奏され、イギリスの第2国歌とされている。「愛の挨拶」はアンコールピースとして広く愛されている。

Elgar - Symphony No. 2
エルガー - 交響曲第2番

Elgar - Cello Concerto
エルガー - チェロ協奏曲

Elgar - Enigma Variations
エルガー - エニグマ変奏曲

14:46 - 第9変奏『ニムロド』は特に有名である。

Elgar - Pomp and Circumstance No. 1
エルガー - 威風堂々 第1番

Elgar - Salut d’amour
エルガー - 愛の挨拶


Rosa 'Sir Edward Elgar'
バラ 'サー エドワード エルガー'

(画像 HelpMeFind)

作出:David C. H. Austin (イギリス)
作出年:1991年以前
系統:シュラブ
色:レッド
香り:強香(ティー) (HelpMeFind), 中香(WEBバラ図鑑)
デヴィッド・オースチンのカタログでは廃盤
日本での入手難易度:3(希少)

グスタフ・マーラー
Gustav Mahler

1860 - 1911 オーストリア帝国 〜 オーストリア=ハンガリー帝国

全て長大な9曲の交響曲(第10番はアダージョ楽章のみの未完成)を築き、また歌曲も優れた作品を残した。交響曲にも歌唱ソロが入る作品が多い。
生まれはオーストリア帝国領ボヘミア(現チェコ)のユダヤ人家庭で、常にアウトサイダーとしての意識を持っていた。そのため指揮者としての活動も神経質な側面があり、楽団員とよく衝突した。こうした二重人格的な神経質さは作曲書法にも現れ、正統派交響曲の書法の中で、突如世紀末ウィーンの酒場で流れていたタンゴなどの世俗なメロディが顔を覗かせる。巨大な四管編成で、ハンマーや鎖などの奇抜な打楽器群を含み、1時間はおろか1時間半や2時間越えの曲もある。
晩年は死のイメージに付き纏われ、交響曲第9番には死の予感が反映されている。

Mahler - Symphony No. 1
マーラー - 交響曲第1番

俗に「巨人 Titan」の副題で呼ばれるが、マーラーは副題を削除した。
第3楽章は、フランスの童謡「フレール・ジャック」が短調で現れる。このフレールfrèreは兄弟という意味で、弟への子守唄を連想させるが、同時に修道士の意味もあり、第2節がdormez-vousお眠りなさい、と敬語になっていることもそれを裏付けられる。ドイツ語圏、特にオーストリアではBruder Martinと謳われ、また短調になる。

Mahler - Symphony No. 4
マーラー - 交響曲第4番

マーラーの交響曲の中では比較的おとなしめの曲調で、俗に「マーラーの田園」と呼ばれる。

Mahler - Symphony No. 5
マーラー - 交響曲第5番

第4楽章「アダージェット」は特によく親しまれている。全5楽章。

Mahler - Das Lied von der Erde
マーラー - 大地の歌

かつて「交響曲」と題される記述も見られたが、交響曲の番号は付けられておらず、現在は「交響曲」とみなす記述は見かけなくなってきている。
テクストは李白の詩のドイツ語訳に基づく。

Mahler - Symphony No. 9
マーラー - 交響曲第9番


Rosa 'Gustav Mahler'
バラ 'グスタフ マーラー'

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(画像 Tantau)

作出:タンタウ(ドイツ)
作出年:1997年
香り:微香
別名:Kavalier カヴァリエ (タンタウのサイトで表記あり)
日本での入手難易度:5(別名?)

京成バラ園芸、バラの家 のサイトでは見かけない。

リヒャルト・シュトラウス
Richard Strauss

1864 - 1949 ドイツ連邦バイエルン王国 〜 ドイツ連邦共和国(西ドイツ)

後期ロマン派ドイツ音楽の、ある意味で最高にして最終到達点の一つとされる。
オペラ(歌劇ではなくワーグナーの楽劇の名称を継承している)、表題付き交響曲や交響詩で特に傑作を多く残した。歌手に超絶技巧を求め、多様な編入楽器を縦横無尽に使いこなし、管弦楽法(オーケストレーション、オーケストラ編曲の技法)を極限まで発展させた。
またベルリオーズの著書「管弦楽法」をドイツ語に翻訳する際に大幅な加筆を行い、新たな著書として完成させた。加筆部分は脇に二重波線が書かれ、どちらが書いたのか明確にわかるようになっている。
父親のフランツ・シュトラウスも作曲家およびホルン奏者であり、ホルンの教育用レパートリーでその名が知られる。ヨハン・シュトラウス一家との血縁関係は無い。

Richard Strauss - Ein Heldenleben
リヒャルト・シュトラウス - 英雄の生涯

Richard Strauss - Also sprach Zarathustra
リヒャルト・シュトラウス - ツァラトゥストラかく語りき

Richard Strauss - Alpensinfonie
リヒャルト・シュトラウス - アルプス交響曲

Rosa pendulina L. (Alpenrose)
ロサ ペンドゥリナ (アルペンローゼ)

(画像 HelpMeFind)

原種バラ(スピーシーズ)

ラテン語の直訳は「振り子のバラ」。語義は「垂れ下がったもの」であり、その名の通り実(ヒップ)が垂れ下がるのが特徴である。
ドイツ語ではAlpenrose(アルプスのバラ)またはAlpen-Heckenrose(アルプスの垣根バラ)という。Heckenrose(垣根バラ)はHuntrose(イヌバラ)の別名で、学名ではRosa canina ロサ・カニナ、イタリア語読みではローザ・カニーナ。どちらも犬のバラを意味し、標準和名のイヌバラと合致する。しかしこのRosa pendulinaは花が小さく、またピンク色が濃い。
学名のL.は、ラテン語二名表記法を発明した植物学者リンネを表し、リンネ自身が命名した学名であることを示す。
日本語表記だと大抵はペンデュリナと書いてあるが、duをデュと読むのはフランス語であり、ラテン語には当てはまらないので、ペンドゥリナが正しい。

Richard Strauss - Horn Concerto No. 1
リヒャルト・シュトラウス - ホルン協奏曲 第1番

Richard Strauss - Don Juan
リヒャルト・シュトラウス - ドン・フアン

カナ表記は「フアン」が正しく、「ファン」は誤記である。

Rosa 'Don Juan'
バラ 'ドン フアン'

(画像 HelpMeFind)

作出:Michele Malandrone(イタリア/アメリカ)
作出年:1958年
系統:ラージフラワードクライマー(つるバラ)
色:ダークレッド
香り:強香
バラ大図鑑 p. 121

本種はつるバラにもかかわらず四季咲き性が強い。大抵のつるバラは木立バラに比べて四季咲き性が弱く、春のみの一季咲きか、もしくは四季咲きとの中間の「返り咲き」「繰り返し咲き」(まず春にたくさん咲き、その後秋にかけてチラホラ咲く)と表現されるのが普通である。「つるピース」「つるブルームーン」など木立バラがつる性に枝変わりしたものもあるが、それらの場合でも四季咲き性は弱まる。本種はつるバラでありながら四季咲きを楽しめる希少な例外である。

Richard Strauss - Elektra
リヒャルト・シュトラウス - エレクトラ

Richard Strauss - Salomé
リヒャルト・シュトラウス - サロメ

Rosa 'Salomé'
バラ 'サロメ'

(画像 HelpMeFind)

作出:Jean-Marie Gaujard (フランス)
作出年:1945年
系統:ハイブリッドティー
色:サーモンピンク
香り:中香

Richard Strauss - Der Rosenkavalier
リヒャルト・シュトラウス - ばらの騎士

1:39:46 - ワルツ は特に有名。

Rosa 'Rosenkavalier' (Verschuren)
バラ 'ローゼンカヴァリエ'
(フェアシューレン作出)

作出:Andries Verschuren (オランダ)
作出年:1963年
系統:フロリバンダ

Rosa 'Rosenkavalier' (Huber)
バラ 'ローゼンカヴァリエ'
(フーバー作出)

(画像 HelpMeFind)

作出:Richard Huber (スイス)
作出年:1994年
系統:フロリバンダ

Rosa 'Rosenkavalier Kleiber'
バラ 'ローゼンカヴァリエ クライバー'

(画像 HelpMeFind)

作出:Davide Dalla Libera / Novaspina(イタリア)
作出年:2016年
系統:シュラブ

「ばらの騎士」の名演奏で知られる指揮者カルロス・クライバーに献呈されている。命名式はミラノのカーサ・ヴェルディ(ジュゼッペ・ヴェルディが設立した音楽家専用の老人ホームおよび音楽学生寮)で行われた。

Rosa 'Richard Strauss'
バラ 'リヒャルト シュトラウス'

(画像 HelpMeFind)

作出:Noack (ドイツ)
作出年:1989年
系統:シュラブ

カール・ニールセン
Carl Nielsen

1865 - 1931 デンマーク

デンマークの国民楽派の作曲家で、時代や様式としては近代音楽に当たる。

Nielsen - Sinfonie N. 4 »Das Unauslöschliche«
ニールセン - 交響曲第4番『不滅』

第4楽章終盤での2人のティンパニ奏者のデュオが特に聴きどころである。

Rosa 'Carl Nielsen'
バラ 'カール ニールセン'

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(写真 HelpMeFind)

作出:ポールセン(デンマーク)
作出年:1999年
発表年:2013年
系統:ハイブリッドティー
受賞:ローマ・トライアル 銀賞 2011年
登録名: POUlht0081, POUlht008, POUlht010
別名:ボリウッド Bollywood (インド映画の生産都市に基づく)
日本での入手難易度:4(未輸入)

デンマークを代表するバラ作出会社ポールセンが、自国の作曲家に捧げたバラ。

ジャコモ・プッチーニ
Giacomo Puccini

1858 - 1924 トスカーナ大公国(現イタリア) 〜 ベルギー

ヴェルディ以後のイタリアオペラで最も成功した作曲家。後期ロマン派に位置づけられるが、和声やオーケストレーションなどの書法は近代的で、特に後期作品ではフランス印象主義音楽の影響も顔を覗かせる。
トスカーナ大公国のルッカに生まれ、ミラノ・スカラ座で成功を掴んだが、後半生はトスカーナのヴィアレッジオ近郊トーレデルラーゴの湖に面した自宅を作曲の本拠地とした。晩年は愛煙が祟って咽頭癌にかかり、ベルギーで治療を試みるもそのまま没するが、遺骸はトーレデルラーゴの自宅に戻り、台所を改造した室内廟に安置されている。

Puccini - La Boheme
プッチーニ - ラ・ボエーム
(自由人)

序盤の2つのアリア「冷たい手を Che gelida manina 」 「私の名はミミ Sì, mi si chiamano Mimì 」(直訳:そう、私はミミと皆から呼ばれる)が特に有名。近代的なオーケストレーションも見逃せない。

Rosa 'Boheme'
バラ 'ボエーム'

作出:Michel Kriloff (フランス)
作出年:2006年
系統:ハイブリッドティー(フローリスト)

切り花用。

Rosa 'Boheme'
バラ 'ボエーム'

作出:バルニ(イタリア)
作出年:1882年
系統:不明、オールドローズ、つるバラ(ラージフラワードクライマー?その場合はモダンローズ)
香り:中香

Puccini - Madama Butterfly
プッチーニ - 蝶々夫人

開国直後の幕末の日本が舞台であり、「さくらさくら」「君が代」などが引用される。ヒロインの名前はCiò-ciò San (蝶々さん)と日本語のまま発音される。(イタリア語でciòは「このこと」、Sanは「聖なる」で普通は語頭に来るが語末に来ることはないので、イタリア語風でありながら名前としては通常あり得ない奇妙で滑稽な名前として聞こえる)
59:27 - アリア「ある晴れた日に」が特に有名。

Rosa 'Madame Butterfly'
バラ 'マダム バタフライ'

(画像 バラの家)

作出:E. Percy Smith (イギリス)
作出年:1926年
系統:ハイブリッドティー
色:淡いピンク
香り:強香(ダマスク/ティー)
日本での入手難易度:1(容易)

クライミング(つるバラ)もある。
madame の表記は語尾がe.

Puccini - Turandot (completato da Franco Alfano)
プッチーニ - トゥーランドット (アルファーノ版)

最後のオペラで、未完成作品。中国を舞台とする。
プッチーニの友人で後輩の作曲家(弟子とも言われる)アルファーノが完成させたが、初演の指揮者トスカニーニによってアルファーノ補筆部分の大半はカットされ、それが現行版となった。
1:30:55 - アリア「誰も寝てはならぬ Nessun dorma」は特に有名である。
通常最もよく演奏されるアルファーノ版は、全曲の最後も「誰も寝てはならぬ」のメロディで盛り上がって終わる。

Puccini - Turandot (completato da Luciano Berio)
プッチーニ - トゥーランドット (ベリオ版)

戦後イタリア現代音楽の重鎮作曲家ルチアーノ・ベリオの補筆による版。フィナーレは全く違う音楽で終わる。ベリオにとっての最晩年の仕事でもある。

Rosa 'Turandot 1'
バラ 'トゥーランドット 1'

(画像 HelpMeFind)

作出:Andreas Kalik (ドイツ)
作出年:2017年
系統:ハイブリッドガリカ
色:レッド
香り:微香(シトラス)

Rosa 'Puccini' (Elick)
バラ 'プッチーニ' (エリック作出)

作出:Charles W. Ellick (アメリカ)
作出年:1968年
系統:ハイブリッドティー

Rosa 'Puccini' (Lens)
バラ 'プッチーニ' (レンス作出)

(画像 Lens Rose)

作出:Louis Lens (ベルギー)
作出年:1982年
系統:ハイブリッドムスク

Rosa multiflora variegata 'Puccini'
ノイバラ(斑入り) 'プッチーニ'

(画像 Greensnap)

'プッチーニ' の名を称する斑入りノイバラの情報が日本語のみ検索に出てくる。

Cucurbita maxima 'Puccini'
カボチャ 'プッチィーニ'

(画像 サカタのタネ)

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