24歳、M&Aを考える
僕は以前、三戸政和さんの著書「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」を読んで、「会社を買う」という選択肢に興味を持つようになった。
その本はタイトルの通りサラリーマンに会社を買うことを薦める内容で、当時の僕は「会社を買う」なんて考えたこともなく、そんな選択肢が会社員に、それも300万円であるのか、というところに驚いたのを覚えている。
そこから数ヶ月経ち、まだ興味を頭の片隅に残していた僕は、今回、高橋聡さんの著書「起業するより会社は買いなさい」を手に取ることになった。
本著には、M&Aが実際にどのようにして行われているのか、実際の具体例、M&Aで重要なことなど、より現場に近い内容が詳細に書かれており、僕の興味を満たしてくれた。
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今回、特にこれまで読んだ本と違って、刺さった文章や印象に残った引用したい部分などはなかったが、「新しい世界を知れた」という点で印象に残った本の一つになるだろう。
僕は本を読んだり勉強を積極的にするようになってから「知らない」というのは非常に残酷だなと思うようになった。その思いはドイツで暮らすようになってからさらに増し、「知らない」だけで損をしているなと思うことがたくさんある。
知らない国に行こうとは思わないし、知らない食べ物を食べたいとはならない。知らない選択肢はそもそも取ることができないから。選択肢がない、選択肢が少ないということはそれだけ良い判断ができないということもできるだろう。
だから僕は「会社を買う」というあくまで一つの選択肢を手に入れるために、こうした本を読んだ。別にその選択肢をとるかどうかはまた別の話だ。
その時々の状況で良い選択というのがある。「会社を買う」というのも一つの選択肢に過ぎない。だが、知らないことにはこの選択をすることはできない。
だから僕はこれからも知ることにコストを割くし、いろんなことをできるだけ知ろうとするだろう。完璧にすべての情報を手に入れたり、すべてを知ることは不可能だが、知る努力というのは怠らないようにしようと思った。
そして、「知る」という中にも深さがあり、実はある程度深くまでそのことについて知らなければ、その選択肢は現実味を帯びてこない。
「プロゲーマー」という情報を知っただけでは現実的に選択肢と言えるほどにはならない。「プロゲーマーとはどのような人たちなのか」「毎日どのくらいゲームの練習をしているのか」「どのようなゲームにプロゲーマーと呼ばれる人たちが存在するのか」「彼らは普段どんな生活を送っているのか」などなど。こういった情報を本やらYouTubeやらで集めていくうちに、選択肢と言えるような状態になってくる。
これと同じで「会社が買える」ということを知っただけで、「会社は買えるんだ〜」とボヤっと思っているだけではそれは現実的な選択肢になったとは言い難い。なぜなら、そのためには何が必要なのか?というものが分からないからだ。どんなことが大事で、何が必要なのかが分からなければ、そこに対しての具体的な行動に移すことはできない。
今回この本を読んで、
・お金があるだけでは会社を買うことはできないこと
・最低限の簿記の知識が必要なこと
・M&Aの際には専門家に頼ると良いこと
・その会社のオーナーや社長と築くコミュニケーションや人間関係が非常に重要なこと
などなど、現場の人の話や、実際に現場で起きている事例を知ることができた。「会社を買う」という選択肢の解像度が増した。
「会社を買う」だけ聞いた自分は、「お金があれば簡単に買えるんだ」とか「誰でも買えるんだ」などと安易な妄想を膨らましていたが、現実はお金があったからといって誰にでも買えるわけじゃない。
そうした、現場に近い情報に触れることで、「じゃあ、今のうちにこうしておくといいかもな」など考えていくことができる。すべては“ちゃんと知る”ことで生まれるのだ。
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こうして今回、全く現実味のなかった「会社を買う」という選択肢は、僕の今後の人生においてやってみたいなと思うことの中に組み込まれた。
今はM&Aのマッチングサイトを眺めてたくさんの事例を見ながら、想像を膨らませたりしてさらに現実味を持たせる作業を行ってみている。
「現実的にできるかどうか」というのはまた別の話で、今回の論点でない。まずは知ること。できるかどうかはその先の話だ。
「独立」「起業」「副業」「スタートアップ」などゼロやイチからビジネスを始めるという選択肢が主流になっているが、そこに「M&A」という選択肢を入れて、すでに構築されているビジネスを引き継ぐ形で自分のビジネスにしていくという思考も頭に入れながら、将来の自分のビジネスを考えていくことができそうだ。
その時々のタイミングでベストな手段をとれればいいなと思う。
ではまた!