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思考を捨てて走り出す

 私たちは普段、無数の選択肢に直面するもの。その度に「失敗したくない」という気持ちが働き、ついつい一つ一つの選択に悩むことが多い。そして結局、何も選ばずに時間が過ぎてしまい、気付けば望まぬ選択をせざるを得ない状況に追い込まれることも多々。

 いきなり何を言っとるんじゃ?と頭の中にハテナが浮かんだ皆様のために具体例を準備しようと思う。例えば、街中で売り子さんがミカンを頑張って売ろうとしているシーンを想像してみよう。道行く人の大半は、目の前のミカンに気にも留めず通り過ぎていく状況。

 そこで、売り子さんは、少しでも人の注意を引くために声掛けをすることに決めたとする。その際、どの声掛けがベストなのか?と売り子さんの頭には無数の選択肢が浮かんでくる。「オレンジに負けないよ!」「一個目は無料!」「イチゴより甘いよ!」「そこのカッコイイお兄さん!」「今が旬だよ!」「江戸時代から人気の有田ミカンだよ!」といった風に。

 しかし、これらの声掛けを一つ一つ真剣に考えて、「これこそがミカンを売るに当たり最高のフレーズだ!」という結論に至る頃には、日が暮れてしまい、道行く人もほとんどいなくなっているかもしれない。そうすれば売れたかもしれないミカンの販売チャンスを見事に失ってしまう。

 では、どうすればいいのか。その答えは「考えすぎず、とにかく試してみる」という心構えを持つこと。人生のほとんどは、簡単に軌道修正ができるものと念頭に置き、「最適解なんて、どれだけ考えても分かるわけがない」と割り切って行動に移すことが大切。

 例えば、最初に通り過ぎる10人に「オレンジより甘いよ!」と言って反応がなければ、「今が旬だよ!」に変え、次は「産地直送!」と言い換え、そんな風にして実践を通して答えを見つけ出すというスタイルがGOOD。

 もちろん、この方法は完全無欠じゃない。ミカンの売り子は喉が枯れるだろうし、最初は「変な人だ」と思われ恥ずかしい気持ちになるかもしれない。けれども、ミカンが売れ始めれば、そんなことはどうでもよくなってしまうもの。

 変な評判が立つんじゃないか、と心配する人は多いものの、人は自分と関わりがない他人のことを本気で覚えようとせず、何事もなかったかのように忘却の彼方に消えてゆくもの。そして売り子自身も、売上が上がれば疲れが吹き飛び、無数の恥をかいたことなど忘れてしまう。

 考えすぎないこと。無限の選択肢に臆さないこと。恥に屈しないこと。即行動し、そこから学んで改善していくこと。それは人生を心躍るものにしてくれると共に、アイデアをカタチにするプロセスでも応用できるもの。

 思いついたすべてのアイデアは口に出しフィードバックを求める。協力者が必要であれば、繋がっている一人一人に声をかけていく。資金を提供してくださる人を見つけたければ、全員に連絡を取ってみる。といった具合に。

 もちろん、深く考える必要がある場面もきっと人生にもアイデアをカタチにするプロセスにもきっとある。けれども、実は多くの場面はそんなに考える必要はなく、むしろ考えるというプロセスを挟むことで、気づきや学びを得て最適解を探る機会を失っている可能性もある。選択肢に向き合う度、思考にはトレードオフが存在すると心に留め、思い切って一歩を踏み出していこう。No Talk, All Action!!!

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