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着手すべき課題の種類

「言語化されている課題なんて、大手が参入しているから着手しても無駄です!言語化されていない課題を見つけてアプローチしましょう!」という、なかなか尖ったボールが飛んできた。直感的に疑問を感じたので、言語化された課題について少し思考を整理してみたい。

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 一つ目の可能性として、課題が言語化されていても、その課題を適切に解決する製品やサービスがまだ考案されていないケースがあること。

 例えば、ミカンを食べ始めると、ついつい気づけば五個、十個と食べ過ぎてしまい、明日の分がなくなってしまう現象。冬のコタツとミカンの組み合わせはまさに魔物だ。それはよく知られているが、その誘惑に抗う方法はいまだ見つかっていない。

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 二つ目の可能性として、課題が言語化されていても、大手が要求するビジネスの規模に達していないケースがあること。

 会社によっては市場規模が条件として設定されており、言語化された課題であっても解決に着手しない場合がある。例えば、ミカンはすぐにカビてしまうので、できるだけ長く万全な状態で保ちたいというのはミカン愛好家なら誰しも考えること。しかし、ミカン愛好家は世の中にそれほど多くなく、その課題を解決しても大手企業が求めるビジネス規模には届かないかもしれない。

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 三つ目の可能性として、課題が言語化されていないものの、言語化されないほどに課題が弱すぎるケースがあること。

 ミカンを食べすぎるとハンドイエローが起こるだけでなく、時には爪の中にミカンの皮の一部が入り込み、爪先が黄色くなり、洗ってもすぐには取れないという小さなトラブルがある(ミカン中毒者くらいにしか起こらない)。けれども、それは秋冬の季節にはご愛敬で怒り出す人は誰もいない。そんな課題は対価を支払ってまで解決するに値せず、ビジネスのチャンスは見いだせない。

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 改めて整理すると、「言語化されている課題はすでに大手が取り組んでいるからチャンスはない。だから、言語化されていない課題にアプローチしよう」という意見は、誤解を招きかねない。

 言語化されていても、適切な解決策がまだ考案されていないケース。言語化されていても、大手が満たすビジネス規模を満たしていないケース。そして、言語化されていない課題を見つけたとしても、それがそもそも解決するに値しないほど些細な問題であるケース。この三つのパターンが考えられる。

「課題が言語化されているかどうか」よりも重要な部分は、切実な課題がそこにあるかどうか。これからアイデアの課題探しに進まれる皆様の参考となりますように。

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