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私が大学教員を選んだ理由

1. 夢に潜む違和感


ある夜、不思議な夢を見た。毒を飲む夢だった。

部屋には大勢の人がいて、皆が一斉に同じ飲み物を手にしていた。それは「毒」であると直感したのだけれど、その毒は驚くほど美しかった。瓶の中で揺れる液体は、まるでクジャクの羽のような鮮やかな色を放ち、光の角度によって虹色にきらめいている。その幻想的な美しさに、人々はためらいもなく口をつけていく。

私もその場にいるのだけれど、なぜか「飲んではいけない」と本能的に感じた。キラキラと輝く液体に惹かれつつも、心の奥にうずく違和感があって、手を伸ばすことができない。けれど、周囲の空気に合わせて、ただ飲んだふりをすることにした。

最後に一人ひとりがチェックされるのだが、私はうまくごまかしてその部屋を抜け出すことに成功する。扉の外に出た瞬間、なぜか心の底からホッとしたのを覚えている

──まるで、周りに合わせることで背負っていた重荷から解放されたかのように。

この夢が何を意味していたのか、しばらく考え続けた。日常の中で抱えている違和感、周りと合わせている自分、そしてそれが放つ輝きに心惹かれながらも、どこかで距離を置きたくなる自分がいるのかもしれない。あの夢は、ただの幻想ではなく、自分自身の中に潜む感情を映し出したものだったのだろうか。


2. 小学校教員と自分の間にある距離


小学校教員の道を歩む中で、確かに多くのものを得た。

子どもたちの成長に立ち会う瞬間の喜びや、教育現場での様々な経験。けれど、どこかで「少し違うかもしれない」という感覚が自分の中にあるのを感じ始めた。自分が求めているものと、教育現場で求められるものとの間に、うっすらとした違和感が広がり始めていたのだ。

教師としての道に進みながらも、私はどこかで心の中に漂う「何か別のもの」を感じていた。けれど、それが何なのか、はっきりとは見えてこない。ただ、夢の中の毒を避けた自分と同じように、「自分が求める道」は少し違うところにあるような気がしていた。


3. 博士課程への興味が広がる瞬間


その違和感が徐々に明確になるにつれて、自然と博士課程への道に心が引かれていった。

ただの興味ではなく、次第に強い「求心力」のようなものを感じるようになった。研究という形で、もっと深く自分の興味に向き合いたい──その思いが日に日に大きくなり、小学校教員としての安定した道に戻ることが、少し遠ざかっていく感覚があった。

大学教員として知的探求を続けることが、自分にとって何よりも心地よい「居場所」であるかもしれない。けれど、その確信はまだ完全には固まっていない。どこかで自分の意志と向き合いながらも、まだ道の途中にいるような曖昧さがあった。


4. 使命感と自分を超えた何か

博士課程や大学教員への道が、自分にとってただのキャリアではなく、もっと深い意味を持つものに感じ始めたのもこの頃だ。

もしかすると、この道は、自分が思っている以上に「他者と共有するための知識」や「未来に繋がる発見」のためにあるのかもしれない。

自分ひとりのための研究ではなく、それが誰かに届き、未来に影響を与える可能性を持っていることに、かすかな使命感を感じるようになった。

けれど、ここで確かな答えを出そうとは思わない。まだ明確に言葉にすることができないからこそ、その曖昧さを抱えたまま進んでいくのも悪くないと思っている。


5. 道の途中で見つけるささやかな確信

今はまだ、確固たる結論は見えてこない。それでも、少しずつ道の先に光が見え始めているのを感じる。

博士課程へ進むことが、自分にとって何か大きな意味を持つのだろう、という直感がある。それがどんな形になるのか、はっきりとは分からないけれど、今はそれでも構わないと思う。

この道の先で、私は何を見つけるのだろうか──そんな小さな期待を胸に、ただゆっくりと、自分のペースで進んでいくつもりだ。

読者の皆さんも、もし心の中に小さな違和感や迷いを抱えているなら、その気持ちにそっと耳を傾けてみてほしい。きっと、その先にはまだ見ぬ未来が広がっているはずだから。


終わりに

こうして迷いながらも進んでいく自分の姿を通じて、読者も自分の中の答えを自由に見つけてもらえたらと思う。


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