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大学生は、学びにお金を払うという感覚が薄い理由
大学生と社会人の間で、学びに対する意識がどれほど違うかを実感したのは、私が心理統計の個別指導を始めたときでした。最初は、統計という専門的な学びは学生にとっても社会人にとっても等しく必要だと考えていました。
しかし、実際に指導を始めてみると、社会人は学びに対して積極的にお金を払う姿勢を見せる一方、学生はその点で大きな抵抗感を持つことが多いと気づいたのです。この意識の差が生まれる背景には、学生と社会人それぞれの生活環境や学びに対する価値観が深く関わっているのだと理解するようになりました。
統計教室で見えた「価値観」の違い
私が教えている統計教室に来る社会人の大学院生は、授業に対して非常に積極的で、むしろ感謝している様子です。彼らは、私が提供する授業を「価値があるもの」として見てくれていて、「本当に助かります」「ありがとうございます」といった言葉と共に、渋らずお金を支払ってくれます。彼らにとって、この学びは未来のキャリアや現在のスキル向上に直結する「投資」として捉えられているのがわかります。
一方で、学生の場合はどうでしょうか。彼らは学びに対しての関心はあるものの、「お金を払う」という行為にはやはりためらいが見られます。「必要だけど、そこまでして…」といった表情からも、学びに対して金銭的な価値を感じるのが難しいのが伝わってきます。学生にとって、学びにお金を払うことはまだ「支出」であり、生活費や学費の中でのやりくりが難しいという現実も影響しているのでしょう。
大学生が「無料の学び」に依存する背景
学生の多くは、学びを「無料で得られるもの」と感じていることが多いのかもしれません。
林俊克(2023)の研究では、「定点アンケートから見た新入学生の学生像」として、新入学生が月にかける教育費(本やセミナー、イベント参加などの自己投資)について調査されており、平均投資額が「4,460円」であると報告されています。
このデータは、大学生の学びに対する自己投資の実態を把握するための重要な指標であり、年度間での投資額の変化も追跡されています。これにより、学生が学びにお金を払うことに対してどれほど消極的であるかが浮き彫りになります。
それもそのはず、日本の教育システムでは、小中高と学びが無償で提供される環境にあり、大学に入ってからも学費を払っていることで、「それ以上の出費は不要」と考えるのも自然です。学びが自分への投資であるという意識を、まだ持ちづらいという側面もあるでしょう。
また、大学生の多くは学びを直接的にキャリアや収入に結びつける経験が少ないため、未来に向けた投資としての感覚が乏しいのかもしれません。「学ぶことにお金を払う」という感覚は、社会に出てから徐々に育まれるものであり、まだその意識が根付いていない学生にとっては、「授業料の範囲内で十分」と考えてしまうのも無理はありません。
社会人の「自己投資」の意識
社会人になると、学びが直接的にキャリアアップや収入向上に関わるため、学びに対する「投資」という意識が強くなります。仕事や日々の生活の中で、スキルが自分の役に立つ実感が生まれると、「お金を払って学ぶこと」が「未来への投資」であると考えられるようになるのでしょう。
統計教室の社会人受講生も、自分のキャリアや研究に統計が欠かせないと認識しているからこそ、私の授業を受けることに対して価値を見出してくれます。彼らにとって、それは単なる支出ではなく、自己成長と未来の可能性を高める「投資」そのものなのです。
学生が「学びに投資する」意識を持つために
では、学生が学びに対してお金を払うことをどのように「投資」と感じられるようになるのでしょうか。
私が考えるのは、テキストを販売することで学びを「モノ」として提供し、学びにお金を払うことへの感覚を育むことです。
例えば、テキストを販売することで、学生に学びを「モノとして購入する」という感覚を持たせるのはどうでしょうか。具体的な成果物を手にすることで、「これは自分のためになる」と実感しやすくなります。
また、そのテキストを使って小さな成功体験を積み重ねることで、「学んでよかった」「このスキルを使いたい」という意識が芽生え、自然と学びに価値を感じるようになるかもしれません。
まとめ:未来への投資としての「学び」の価値
学生が「学びにお金を払う」という意識を持つには、今から少しずつでも学びに対する投資感覚を養うことが大切です。
学びへの投資は、未来のキャリアや自己成長を後押しするものであり、「自己投資」としての意識を持つことが、将来の可能性を広げる一歩となります。
学びにお金を払うことが単なる支出ではなく、未来の自分への「投資」であると気づくことで、学生時代から自己成長のための価値を見出し、意識を高めていくことができるのではないでしょうか。
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