心理学も速く進めたい。研究の効率化への挑戦
心理学の研究をする中で、「もっと速く進められないものか?」と思ったことはありませんか?心理学は長期的なデータ収集や人間の行動に関する深い理解を必要とする分野です。
その特性から、ひとつの研究に時間がかかるのは当然とも言えるかもしれません。
しかし、同じ研究者として理系の分野(生物系とか)に目を向けると、次々と進行していく実験や発表の速さに驚かされます。
心理学はこのままで良いのでしょうか?いや、心理学にも新しい風を取り入れ、効率的に進めるための工夫があるのではないでしょうか。
この記事では、私自身の葛藤を吐き出しながら、心理学研究にスピード感を持たせるためのアイデアとジレンマについて考えてみます。
1. 心理学と「スピード感」のジレンマ
私は、心理学は、「ゆっくりとじっくり考える」ことがこの分野の醍醐味であり、ある意味、研究の本質であると考えています。
時間をかけて得られる深い洞察が、人間の行動や心を理解する鍵であると思うからです。
しかしその一方で、進展が遅くなることに対する焦りやもどかしさも、私たち研究者にとって避けがたい現実です。
なぜ心理学の研究はゆっくり進むのか
心理学研究のスピードが遅い理由は、対象が「人間」であることにあります。
データ収集は調査やインタビューを通じて行われ、参加者の協力を得るプロセスや倫理的な配慮が欠かせません。また、得られたデータの解析や解釈には、慎重さと時間を要するため、即時性が求められる実験とは異なります。さらに、ひとつの研究を完成させるためには複数の段階を踏む必要があるため、どうしても研究の進行が遅くなりがちです。
このように心理学研究は、速さよりも深さが重視される分野です。しかし、理系の分野で見られるスピード感を心理学にも活かせないものかと考えました。
2. 理系のスピード感から学ぶ:心理学に活かせるアイデア
心理学にもスピード感を持たせるために、以下のような工夫が考えられます。理系のスピード感を参考にしながら、私たちの分野に応用することができそうなアプローチを紹介します。
研究の小分け化と段階的な発表
一つの研究を完成させる前に、複数の段階に分けて発表する手法です。
たとえば、パイロットスタディを実施し、その結果を学会で発表してフィードバックを得た上で次のステップに進むことで、短期間に成果を出しつつ全体の完成度も高めることができます。
この方法は、部分的な結果を公開することへの心理的抵抗を乗り越える必要がありますが、「速さ」を求めるうえでは大いに役立つでしょう。
チームでの研究と分業制の導入
理系の研究では、複数の研究者が役割分担をしながら進行することが多く、これが効率を大幅に上げる要因となっています。
心理学でもデータ収集、データ解析、論文執筆などをそれぞれの専門分野を持つメンバーが担当することで、より速いペースで研究が進む可能性があります。
→実際このような研究者チームは、多いです。
チームとしての協調が求められるため、コミュニケーションやゴール設定も重要です。このアプローチを心理学に取り入れることができれば、よりスムーズな研究進行が期待できるでしょう。
デジタルツールと自動化の活用
心理学のデータ収集や分析には時間がかかるイメージが強いですが、デジタルツールの進化により、多くのプロセスが自動化されています。
オンライン調査プラットフォームの活用により、短期間で大規模なサンプルを集めることができると思います。
また、データ解析にPythonやRといったプログラミングを活用することで、定型的な解析を自動化し、効率化することができます。
3. 「心理学はじっくりと」…それでも速さを求める自分がいる
こうした方法を考える中で、私は時折、自分の中にある矛盾と向き合うことになります。「速さ」と「深さ」のどちらを選ぶべきか。心理学は、人間の深層を探る学問です。
そのため、研究には「じっくりと向き合うこと」に意味があると感じることも多いです。しかし、時間をかけすぎることがかえって研究の鮮度を失わせる場合もあります。
効率化を追求することで、じっくり考えるべき課題が見えなくなってしまうのではないかという不安もあります。
それでも、速さが必要だと感じるのは、私自身が求める答えを「いま」欲しいと感じているからなのでしょう。この葛藤は、おそらく多くの心理学研究者が抱えるものかもしれません。
4. 結論は…曖昧なままがいいかもしれない
「速さ」を追求することは心理学にとって新しい試みかもしれません。しかし、それが研究の質や本質を損なうものであってはなりません。
このスピード感をどこまで心理学に取り入れるかは、私たち一人ひとりの価値観や研究スタイルによって異なるでしょう。
「速さ」と「深さ」――どちらが正解というわけではなく、両者のバランスを見つけることが、これからの心理学研究にとって重要なテーマになるのかもしれません。
どこまで速さを取り入れるべきか、逆にどこで立ち止まって考えるべきか、その答えを見つけるのは、まだ先のことかもしれません。
あなたならどうしますか?心理学研究にスピード感は必要だと思いますか?
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