春のうた(草野心平)を理科っぽく授業する。
理科オリエンテーションで感動体験!
5年生の理科オリエンテーションでは,「理科っぽい見方をすると世界がちょっと違って見える」体験をしてもらいました.
4年生の国語の教科書(光村)に次の詩があります.
五連に分かれた詩です.
最初は,音読します.どんな教科でも音読は基本です.
さて,四連に「おおきなくもがうごいてくる.」とあります.
この「おおきなくも」は,空のくもでしょうか,それとも虫のくもでしょうか?そして,理由(根拠)は何でしょう.
保護者のみなさんも考えてみて下さい.
子どもたちは,空のくもが圧倒的に多かったです.
右に一文づつ五感を書き出しました.
「みずは つるつる」は,触覚です.
「かぜは そよそよ」は,聴覚です.
「ああいいにおいだ」は,嗅覚です.
「いぬのふぐりがさいている」は,視覚.
残った感覚は,何でしょう?味覚ですね.
おおきなくもを味わうと考えられます.
ここで,作者の草野心平さんは,何を思っていたのでしょうか?
草野さんが最初に書いた詩は,教科書の詩と少し違っていました.
昭和22年4月に出された『赤とんぼ』に草野心平さんの詩がのっています.
貴重な最初の詩を見せます.教科書とどこが違っているでしょうか.
そこでは,「ほっ おほ(お)きなくもがうごいてくる。」の後に「くっくっく。」が入っているのです.こみ上げてくる笑いです.
なぜ、わらったのでしょうか.
もっと理科っぽく考えてみます.そもそもカエルの目は,どんな風に進化しているのでしょうか?
カエルには静止しているどんな物体も見えず、壁にじっと止まっているハエが見えない。『日経サイエンス』
カエルの視力は、動くものをとらえる能力に特化しているため、動いているものしかとらえられません。『両生類•爬虫類のふしぎ』
つまり,春の暖かい日.冬眠から目覚めたカエルは,「くっくっく」と言いながら,近くにうごいてくる「くも」をとらえたのでしょう.
理科っぽい見方をすると詩の解釈も違ってきませんか?
この授業は,国語で行われた椿原正和氏の授業を追試しました.すぐれた授業は,理科的に見ても整合性がつくのです.
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