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#4【オンライン展覧会】西隆行『雫シリーズ』

説明不要!映える器!

もはや、焼き物好きの間では有名なので、私が取り立てて説明する必要もないのですが、、、

やっぱり手元に置いていて良いものだと実感するので、今回は西さんの『雫シリーズ』をご紹介したいなと思います。

青白磁釉の“温度感”

西さんの作品の代名詞ともなっているのは何と言っても、雫を模したこの青白磁釉だと思います。

青白磁釉はとても遊びがいのある釉薬です。
無釉(釉薬が施されてない)箇所をあえて作ったり、チャレンジングな施釉にもとても相性がいい。
西さんの器も、青白磁と無釉とのコントラストがとても美しいですね。

青白磁釉の青は、釉中に含まれる気泡が光を乱反射して、“底光り”するような美しさがあります。
まるで時間停止し、融解しない氷のような釉薬は、雫の形状とも相まって冷たい温度感を携えています。
ここに、触れてみたくなる魅力があるわけですね。


ただ誤解を恐れずに言うと、青白磁釉はどのような形体の器に施しても垢抜けて見えるんです。

そのためか、一歩間違えると飽きやすい側面も持っている。

しかし西さんの作品の場合、やはり熟練されたろくろの腕が、そこを担保してるのだと思います。


ろくろが保証する“本物”を所有する満足

先程も触れましたが、
青白磁釉は、パッと見たときは印象的でかっこよく見えますが、いざ家に持ち帰って鑑賞したり、使ってみたりすると飽きてしまった、なんてことがよくあります。

特に、昨今流行りの使い勝手のいいシンプルな形状は尚更です。

反対に、形状に工夫を凝らすことで、バランスを取ることもできます。
西さんの場合は、ろくろが上手いと分かる器の形状から作品に、説得力を感じるのです。

最近展開されてるこの脚付きのカップのデザインは、個人的にヨダレもの。

もともと、“アール・デコ”のデザインが好きなので、こういう装飾的なんだけど華美すぎないデザインが、ものすごくツボです。

ただ、この脚のデザインをろくろで成形し、削り出すのはかなりコツがいるというか、難しいものがあります。

おそらく、ろくろをやってみたことがない人でもその苦労は容易に想像できるかと思います。

また器の胴部分。卵型の絶妙なハリ感も豊かで、高級感を演出しています。

抑えるところはきちんとデザインされ、そこに確かな技術が感じられるところに、説得力があり、所有する満足感もある。


もしお近くで西さんの器を見る機会があれば、是非お手にとって見ることをおすすめします。

辻 拓眞 略歴

1992年 佐賀県有田町に生まれる
2017年 佐賀大学 教育学研究科 教科教育専攻 美術教育 修了
2019年 日本現代工芸美術展 現代工芸新人賞
現代工芸美術九州会展 九州陶磁文化館長賞
日展 初入選 
2022年 現代工芸美術九州会展 佐賀県知事賞

現在、父 聡彦のもとで作陶しながら全国の百貨店で展覧会を開催している。

ー聡窯について

代々、日本磁器発祥の地である佐賀県有田町で作家として活躍している辻家。香蘭社の図案部で活躍していた先代・辻一堂が、1954年に前身である新興古伊万里研究所を設立し、12年後に「聡窯」と改名し、現在に至ります。

絵を得意とする聡窯では、日本や海外の風景・身近にある自然をモチーフを、先代から受け継ぐ線刻技法と呉須(青色の絵具)で描き、日々作陶に励んでおります。


【聡窯・辻 Sohyoh Tsuji】
〒844-0002
佐賀県西松浦郡有田町中樽1-5-14
営業時間:9:00~17:00(土日祝日/定休日)
Tel:0955-42-2653 Mail:artgallery@sohyoh.com



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