なんとしても、陶芸で皆んなを幸せにしたい。人一倍努力しなくてはならない。 窯元の家に生まれ、陶芸家の父と祖父を持ち、有田町という磁器発祥の地にて最前線で活躍している陶芸家たちの背中を見てきた。 有田では同じように焼き物づくりを志す同世代の仲間がいる。それが何よりも励みになる。 ただ、そんな皆んなにとって焼き物を作り続けるには、あまりにも大きな額の設備投資が必要だった。 そんな中、自分には曽祖父の代から築かれた十分すぎる設備がある。誰にとっても願ってもないことだった。
佐賀県有田町は400年以上続く有田焼の産地として、焼き物産業を大切に受け継いでいる土地である。私自身も有田に生まれ育ち、今は有田で作家活動をしている。最近は有田焼産業に従事する若手として、町に関わる役回りを頂いたりもする。さらには昨今、焼き物産業に関わる企業の次世代がUターンしたり、あるいは焼き物作りに興味を持った若い世代もIターンしたりという中で、同世代で有田焼産業を盛り上げようという機運も高まっている。現在、目に見えて衰退していく有田焼産業は、岐路に立たされているのか、
(※本稿は本作のネタバレを含みます。)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『トイ・ストーリー4』は傑作だと思います。ボニーがウッディで遊ぶのに飽きてしまうところから始まり、そしてウッディが子供たちを喜ばせるためじゃない、“迷子のおもちゃ”になることを選ぶ本作はまさに、『4』に相応しいと思います。 リアルな話。私もボニーのように“何かを飽きるタイミング”がよく訪れるんです。「何であんな
(※本稿は過度なネタバレを含みません。) 先日読んだ著書に『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』というのがあって、 これが、ものすごく興味深かったのでご紹介します! いや、ヤバいタイトルですが待ってください。真面目な話ですから。 著者の品田遊さんについてこの本の著者は品田 遊さんという方です。 普段、私はこの方のことを、 『オモコロ』というウェブメディアで、ダ・ヴィンチ・恐山という名義でウェブライターをしてる人、という認識を持っています。 Y
説明不要!映える器!もはや、焼き物好きの間では有名なので、私が取り立てて説明する必要もないのですが、、、 やっぱり手元に置いていて良いものだと実感するので、今回は西さんの『雫シリーズ』をご紹介したいなと思います。 青白磁釉の“温度感” 西さんの作品の代名詞ともなっているのは何と言っても、雫を模したこの青白磁釉だと思います。 青白磁釉はとても遊びがいのある釉薬です。 無釉(釉薬が施されてない)箇所をあえて作ったり、チャレンジングな施釉にもとても相性がいい。 西さんの器も
(カバー写真:辻 拓眞『白磁耳付切継花入』) こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻 拓眞と申します。 だいぶ時期外れになっちゃいましたが、 今年の有田陶器市から、広告に関する学びがあったのでここで皆様と共有したいなと思います。 東西東西。 今年の有田陶器市は皆様ご存知の災禍による、やるorやらない論争の末、中止の運びとなりました。 結局の所、新たな打ち手である『Web有田陶器市』が例年と同様に開催されたのですが、 この有田陶器市開催に関して幾度となくニュー
二位関めぐみ『花枕』 はじめに断っておきますが…。 この【オンライン展覧会】という記事の中では、私が本当に「いい!」と思ったり、陶芸家として勉強になったなーと感じた作品を紹介しています。 二位関さんとは、もうすぐ10年にもなろうという長い付き合いで、作家友達としては唯一と言っていいほど普段から仲良くさせてもらっている姉のような存在なのですが…、 決してステマではありませんし、頼まれたわけでもありません。何なら無断で掲載しておりますし。(怒られたらどうしよう…) ですが
こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻 拓眞と申します。 先日、ありがたいことに『TRiCERA ART』という日本から世界展開している現代美術のECサイトに掲載していただくことになりました!すごく嬉しい! これを受けて、現代美術に関して縁遠く感じている皆様へ、私なりの現代美術への向き合い方を少しお伝えできたらと思っております。 今回のポイント ・ドイツで観た『オラファー・エリアソン』 ・良書『13歳からのアート思考』 ・『ミケルバルセロ展』から
『親しみ親しまれる作陶』 今回は私の昔話から。 私が大学に在学しているころ。 恩師の田中右紀教授に見せていただいた作品に目から鱗が落ちる面持ちがした。 その作品は、白に藍色、染め付けの磁器の鉢。たしか…見込みには『寿』という文字が配置され、側面の胴から高台にかけて呉須で引かれたラインがリズミカルに配置されていた。 のびのびとしたその意匠にも驚かされたが、興味深かったのは、器全体に細かい飛びカンナがなされていることだった。 本来、小石原など土物の産地でなされる飛びカン
こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 皆様は朝昼晩と、一日3食召し上がっていますか? 最近、巷で「16時間絶食ダイエット」なるものが流行っていることご存知でしょうか? 少し前に、中田敦彦さんの「YouTube大学」という動画でも話題になったかと思います。 実は私も今年度から3ヶ月程度実践しています。今回はこれに関して、私見を少し述べたいなと思います。 今回のポイント ・空腹時間の重要性 ・実際にやってみた感想 ・思いがけず「時間」に関する嬉し
こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 昨年の初夏くらいでしょうか。 妹のように可愛がっていた愛猫が他界して、いわゆるペットロスに家族みんなでなっちゃいまして。 それを受けて昨年の秋くらいから、父が作ったものすごく大きい鉢に、メダカのビオトープを作ってみたんですね。 これが、すごく癒やされたので是非皆様にもおすすめしたいです! ※とはいえ、命を扱うので取り扱いは慎重にお願い申し上げます。 【YouTube】“killifish” 聡窯の鉢に、こ
『有田に個人作家の礎を築いたオブジェ作陶』こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 今回は、#オンライン展覧会 というハッシュタグを見つけたので、大学にいた頃の研究の中から、『戦後・肥前地区の陶芸作品』をご紹介したいと思います。 縣有『白塔』(1991) 個人蔵 まず、作品をご覧になっていかがでしょうか? 私が最も影響を受けたと言っても過言ではないこの作品!「こんなの見たことない!」と皆さん思っていただけるかと思います。 それもそのはずで、そも
今回のポイント ・『ブートニエール』とは? ・高級感のある着こなしができる! ・女性にプレゼントしても喜ばれますよ笑 こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 最近、自作のピンズを作りました!手前味噌ですが、なかなかいい出来で気に入っています。 このピンズ、よく展覧会などの会場で、ビシッとスーツをキメる時などに、『ブートニエール』として身につけてるんですが、すごくいいんですよ! …と言いますと、セールストークになっちゃうんですが、そうではなくてで
今回の3つのポイント ・いつでも最高の結果を出せるようにする ・自分はどのような期待をかけられてるか ・新しい挑戦は無駄にはならない こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 先日、福岡三越さんでの『〜有田の風、磁(いし)を刻む〜 辻聡彦・辻拓眞 親子作陶展』の会期が終了しました。 これに際して今回は私が常々考えている、 突然舞い降りたチャンスに対してどのように臨めばいいのか、という悩みに対して とりあえずの結論が出たのでここにまと
こんにちは。 有田で陶芸家をやっております、辻拓眞と申します。 先日、福岡三越さんでの『〜有田の風、磁(いし)を刻む〜 辻聡彦・辻拓眞 親子作陶展』の会期が終了しました。 この展示会に際し、若輩者である私が学んだことはたくさんあるのですが、その内容は後日。。。今回は取り急ぎ、感謝の気持ちをここに記させていただきたいと思います。 まずこのコロナ禍において、万全の感染予防対策を持って、展示会場を準備していただいた福岡三越のスタッフの皆様へ。 私にとっては幼い
宝石のような価値を生む“線刻”の器こんにちは! 有田で陶芸家をやっています、辻拓眞と申します。 今回は私が所属している聡窯の定番食器『鉄仙』シリーズについていっしょに見ていきましょう。きっと新しい価値観が見えてくると思います。 先代・辻 毅彦が1978年に、有田国際陶磁展(旧 九州山口陶磁展)で最高賞を受賞した鉄仙の作品を元に生まれた鉄仙の器。毎年、有田陶器市が近づいてくると工房に咲く鉄仙が、モチーフとなっています。聡窯独自の技法である、線刻技法と下絵付で描