環境で恵まれている陶芸家が陶芸を頑張り続けられるために、何をすべきか。
なんとしても、陶芸で皆んなを幸せにしたい。人一倍努力しなくてはならない。
窯元の家に生まれ、陶芸家の父と祖父を持ち、有田町という磁器発祥の地にて最前線で活躍している陶芸家たちの背中を見てきた。
有田では同じように焼き物づくりを志す同世代の仲間がいる。それが何よりも励みになる。
ただ、そんな皆んなにとって焼き物を作り続けるには、あまりにも大きな額の設備投資が必要だった。
そんな中、自分には曽祖父の代から築かれた十分すぎる設備がある。誰にとっても願ってもないことだった。
どうしてか、このアドバンテージが重りのように両肩にのしかかってくる。仲間に対する後ろめたさもあるが。
『これで活躍できなかったら、お前には才能がなかったということだ。』
そう言って死神がいつも近くで鎌を構え、死刑宣告の準備をしている。いつでもそんな、泣き叫びそうなプレッシャーを抱えている。
自尊心が陶芸にしがみつかせているのだろうか?
優しい人は「偉大な父を持ってプレッシャーだろう」と言ってくれることがある。
でも、そんなことを考えたことはない。陶芸家は個人プレーではなかった。
僕は自分に関わるすべての人が大好きだった。人生の節目の選択肢を間違ったことはない。全てが自分の糧となっている。自分がいるこの環境を守るために、皆んなと力を合わせて頑張らないと時代の転換点の波は越えられない。
そのためにも、僕は陶芸に誰よりも時間を注がないといけなかった。センスは努力が磨くことを知っている。
自分に関わるすべての人を勝たせたい。
noteでは、日々自分が学んだことを記す。
自分の考えたことが正しいと思っているわけではない。ただ、休みなく働けば挫けそうになる。もし自分が前線からいなくなったら、この想いはどうなるのだろうか。そう思えば、必死で取り組んでいる今を書き留めたくなった。どうか、僕が陶芸を頑張り続けられるように。
辻 拓眞 略歴
1992年 佐賀県有田町に生まれる
2015年 佐賀大学 文化教育学部 美術・工芸課程 卒業、 有田国際陶磁展 初入選(以降4回入選)
2017年 佐賀大学 教育学研究科 教科教育専攻 美術教育 修了、佐賀県立有田窯業大学校/佐賀県窯業技術センター非常勤 就任
2019年 日本現代工芸美術展 初入選、現代工芸新人賞「築~KIZUKU~」
現在、父 聡彦のもとで作陶に励む
ー聡窯について
代々、日本磁器発祥の地である佐賀県有田町で作家として活躍している辻家。香蘭社の図案部で活躍していた先代・辻一堂が、1954年に前身である新興古伊万里研究所を設立し、12年後に「聡窯」と改名し、現在に至ります。
絵を得意とする聡窯では、日本や海外の風景・身近にある自然をモチーフを、先代から受け継ぐ線刻技法と呉須(青色の絵具)で描き、日々作陶に励んでおります。
【聡窯・辻 Sohyoh Tsuji】
〒844-0002
佐賀県西松浦郡有田町中樽1-5-14
営業時間:9:00~17:00(土日祝日/定休日)
Tel:0955-42-2653 Mail:artgallery@sohyoh.com
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