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日本産養殖サーモンについて思うこと

今や子供から大人まで大好きで回転寿司の好きなネタランキング必ず上位に食い込んでくるサーモン、
今まではノルウェー産のアトランティックサーモンが主力の原料で、
東京から首都オスロまで直線距離で8,500km以上も離れているにも関わらず一度も冷凍せずに生鮮として輸入されているくらいこだわっており、脂がしっかり乗り鮮度も良くサーモンの王様のような味。あのフィヨルド環境で冷たい海水のなか育てあげられたサーモンはイメージだけでも最高だ。スーパーではマグロや養殖鰤、養殖鯛などと一緒に定番魚として刺身や柵として販売していた。

ただ近年その定番化したノルウェー産サーモンを国内消費者が買いづらくなっており、価格の高騰やそれに伴う品揃えの減少が目立ってきている。
きっかけは2020年コロナから始まったインフレの影響で餌となる穀物の価格高騰や追い討ちをかけるようなウクライナとロシアの争い。ウクライナは世界の小麦輸出量の10%を占めており、餌料への影響は非常に大きい。
また最近では日本もついにインフレ環境に突入で、国内物流費や加工賃などありとあらゆるものが値上がりしてしまい、刺身用の柵が1000円出してこれだけかとがっかりするくらいのg単価になってしまった。

そんな環境の中で以前から話題になっていた国内産の養殖サーモンが
ちらほらスーパーや外食チェーンなどで見かけることになり、タイミング的に今後も増えていきそうな状況だ。海外産との違いのひとつは鮮度の違いで、水揚げして締めた後、早ければ翌日にスーパーで並べることができ、海外から調達するものとは比べ物にならない鮮度感のサーモン刺身がいただける。
各社ブランド名にこだわり、みやぎサーモン・海峡サーモン・信州サーモン・佐渡サーモン・ふくいサーモン‥等、北は青森から南は宮崎まで各地で育てられている。もちろんどのサーモンも特色があり、間違いなく美味しいとは思うが(私が全ブランド食べたことがないので下手なことは言えないが、、)、注意してほしいのが一部の原料を除いて銀鮭や虹鱒で、ノルウェーで育てられているアトランティックサーモンではないこと、富士アトランティックサーモンのように一部の業者では同じ品種を養殖している業者もあるが、スーパーで今まで見かけていた生鮮サーモンとは違う種類が多い。


言いたいことは、国内生産者がしっかり育てた銀鮭も虹鱒も美味しいのは間違いないが、アトランと比べると大きな魚体になりにくいため、切り身にすると身の厚みがなくボリューム感に劣る。身質もしっかりした食感ではなく少し水っぽいような、食べ応えがないような物足りない感じがする。
消費者がどこまで原材料表示を見るか不明で、もちろんブランド名が真っ先に表にでるのはあたりまえだが、銀鮭なのかサクラマスなのかアトランティックサーモンなのか、それとも他サーモンを改良したものかもう少しはっきり説明するべきではないかなと。このままでは今まで食べていた生サーモンと比較して物足りなさを感じ国産養殖サーモンよりノルウェー産養殖サーモンのほうが美味しいというレッテルが貼られる。
全魚種に言えることだが日本の生産者は環境・餌・締め方に至るまで、細かいところまで突き詰めてこだわる方が多く、鮮度面でいえばはるかに国産のほうが上だ。水揚げしてから物流にのって消費者に届くまで、ここまで鮮度管理が徹底されているのは日本ならではである。実際は種類が違う要因があるのに日本の養殖魚よりノルウェー養殖のほうが美味しくないか?みないな風潮になるのが嫌なので、もっと種類による違いがあることを販売側で強く訴えてほしい。現に天然物でいえば大西洋鯖(ノルウェー産鯖)がそうなっており、鮮度抜群で刺身で使えるような鮮度のものより、何度か冷凍解凍を繰り返してても脂がしっかり乗っているものが好まれる。もちろん食べて美味しいものが評価されるべきだが、これらのような生物学的な要因もあることが知れ渡ったら良いなと思う。


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