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国立大学の学部増設の形態 その6

 国立大学の学部増設の形態について、述べています。少し間隔が空きましたが続いています。

前回は

 学部の学科などを分離して、学部に昇格させるケースについて、今回は近畿地方について見ていきたいと思います。

 三重大学

 昭和41年に、学芸学部を教育学部と改めた際にも教育学部が教養教育を引き継ぎましたが、その後、昭和58年に教育学部の教養教育を担当していた人文・社会系部門が母体となって、人文学部が設置され、それ以降は、一般教育委員会が教育学部と人文学部の教員から構成され、教養教育を行いました。
 昭和62年には農学部と水産学部を統合し、生物資源学部を設置しています。
 大学設置基準の大綱化以降は、教養教育については全学で当たる事になり、共通教育センターを経て、平成26年に学部と同等の教養教育機構を設置して専属の教員を配置する事になり、平成30年に学部と並立する教養教育院になり、専属の教員と各学部の教員によって教養教育が行われています。

 滋賀大学

 平成29年に、経済学部情報管理学科を母体にデータサイエンス学部を設立します。データサイエンスに関する研究者を全国から集めた日本初の学部で、永らく経済学部教育学部の2学部構成だった滋賀大学にとっては、悲願の学部増設だったと思います。滋賀県には、国立滋賀医科大学や県立大学もある事から、今後滋賀大学を中心に統合の動きも出てくるかもしれません。

 京都大学

 昭和40年に、医学部薬学科を分離して、薬学部を設置しました。その後、昭和29年に設置された教養部を母体にして、平成4年に総合人間学部を設置しています。

 大阪大学

 昭和28年に、法経学部の法学部門と経済学部門を分離して、それぞれ法学部経済学部を設置しました。その後、昭和30年には、医学部薬学科を分離して薬学部を、昭和36年には、工学部の一部の学科を母体に基礎工学部を、昭和47年には、文学部の教育・心理・社会系学科を分離して人間科学部を設置しています。

 神戸大学

 昭和29年に、文理学部の文系学科と理系学科、教養課程を分離して、それぞれ文学部理学部、教養部を設置しました。その後、平成4年に、教養部と教育学部を母体に、それぞれ組み換え、国際文化学部と発達科学部を設置しましたが、平成29年には2学部を統合して、国際人間科学部を設置しています。

 奈良女子大学

 昭和28年に、理家政学部の理学系学科と家政学系学科が分離して、理学部家政学部が設置されました。

 和歌山大学

 経済学部を母体に2つの学部が設置されています。一つは昭和40年に設置された産業工学科を分離して、平成7年に設置されたシステム工学部と、平成19年に設置された観光学科を分離して、平成20年に設置された観光学部です。
 経済学部が、社会科学系や数理系の学科の受け皿となっていた事によるもので、現在も、他の大学の経済学部では学科のままの所もありますが、積極的に学科を複数学部の増設に結び付けた例として、特筆されます。

次回は、




 

 

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たこま
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