国立大学の学部増設の形態 その4
国立大学の学部増設の形態について、述べています。
前回は
学部の学科などを分離して、学部に昇格させるケースは多数あります。一般的な例を今回は東北・関東地方について見ていきたいと思います。
弘前大学
新制大学の設立の初期に、文理学部内に設置した農学科を、昭和30年に独立させて農学部(現在の農学生命科学部)を設置しました。その後、昭和40年に文理学部の文系学科と理系学科、教養課程を分離して、人文学部(現在の人文社会科学部)と理学部(現在の理工学部)、教養部(廃止)を設置しています。
岩手大学
以前別稿で述べていますので、参照してください。
秋田大学
平成26年に鉱山学部を改めた工学資源学部内の資源系学科と、教育学部を改めた教育文化学部内の国際系課程をそれぞれ分離して、国際資源学部を設置して、工学資源学部を理工学部に改称しています。
東北大学
昭和47年に医学部薬学科を分離して、薬学部を設置しています。
教育学部も教員養成部門が分離して宮城教育大学を設立していますが、経緯については下の記事に詳しく述べています。
山形大学
昭和42年に文理学部の文系学科と理系学科、教養課程を分離して、それぞれ人文学部(現在の人文社会科学部)と理学部、教養部(廃止)を設置しています。
茨城大学
昭和42年に文理学部の文系学科と理系学科、教養課程を分離して、それぞれ人文学部(現在の人文社会科学部)と理学部、教養部(廃止)を設置しています。
宇都宮大学
昭和43年に教育学部の教養部門を分離して、教養部を設置していましたが、その教養部を母体として、平成6年に国際学部を設置しています。その後、教育学部の総合人間形成課程と工学部の建築学科などを母体として、平成28年に地域デザイン科学部を設置しています。
群馬大学
昭和41年に学芸学部を分離して教育学部と教養部を設置していましたが、その教養部を母体として平成5年に社会情報学部を設置しました。そして令和3年には社会情報学部と理工学部の電子情報理工学科情報科学コースを統合して、情報学部を設置しています。
宇都宮大学と群馬大学については、令和2年にそれぞれの教育学部を母体に、宇都宮大学・群馬大学共同教育学部を設置しています。
埼玉大学
昭和40年に 文理学部の経済・法律部門を母体に経済学部を、理系学科を母体に工学部と合併して理工学部を設置しました。その他の学科については教養学部と教養部(廃止)となります。昭和51年には理工学部の理系部門と工学系部門が再分離して、理学部と工学部(再設置)が設置されました。
東京大学
昭和33年に医学部薬学科を分離して、薬学部を設置しています。
一橋大学
新制大学設立時には商学部、経済学部、法学社会学部の陣容でしたが、昭和26年に法学社会学部の法学部門とその他の部門が分離して、それぞれ法学部と社会学部を設置しています。
横浜国立大学
昭和42年に経済学部の経営学部門が分離して、経営学部が設置されました。その後、平成28年に教育学部を改めた教育人間科学部の非教員養成部門と、工学部を改めた理工学部の都市工学系部門を母体に、都市科学部を設置し、教育人間科学部は教育学部に復しています。
東京工業大学
少し特殊な例になります。新制大学設立時には工学部のみの単科大学でしたが、昭和30年には基礎研究部門を充実させて理工学部に改称し、昭和42年には理工学部の理学部門と工学部門が分離して、それぞれ理学部と工学部を設置しています。
平成2年には理学部と工学部の生命科学系の部門をそれぞれ分離して、生命理工学部を設置して、3学部の構成となります。
更に、平成28年には学部と大学院を統合した学院制に移行して、大学院の分野を基礎にした理学院、工学院、物質理工学院、情報理工学院、生命理工学院、環境・社会理工学院に再構成され、学部制度を廃止しています。東京工業大学は、他にも教養教育が特殊だったりと、特色が色々とある大学なので、改めて別の機会に大学自体を取り上げたいと思います。
福島大学と千葉大学、東京外国語大学は、東京工業大学以上に更に特殊なケースですので、大学紹介の別稿で、詳しく学部の変遷を述べたいと思っています。
次回は