【ストレス】という言葉について、どこまで知っている?
今回から、心理学の専門用語についての解説記事を始めます。
【心理学】専門用語の解説まとめ。というマガジンにまとめていきますね。
心理学についての知識がほぼ皆無で、本や他媒体を読む時に苦労している方や、
普段読書されている方でも、よくよく考えたらその単語について理解が薄いなという方に向けて、解説いたします。
まぁ、本音を言うと、私自身が普段本の要約記事等を書いていて、
難しい話をしたい時に、いちいち単語の説明までしてられないから、
いっそ引用元として解説記事を作ろうと思った次第です。
さて、本題に入りますが、
今回は、「ストレス」という単語について解説していきます。
これは心理学用語というより、普段から聞き慣れ、使い慣れている単語だと思われるかもしれません。
しかし、あなたは「ストレス」という言葉について、どこまで知っていますでしょうか?
現代人は、この単語についての理解や知識が足りない状態で使っているように思えます。
一度、専門的に、この言葉の意味を勉強していきましょう。
今回の参考文献は、次の本です。
【語源】科学的に「ストレス」が誕生したストーリー。
「ストレス」は、英語で「stress」と書きます。
直訳では、「圧力」や「重圧」または「緊張」と訳されます。
このことから、将来の不安や現在の不満から張り詰めた感覚を覚える現代人は、「ストレスフルな毎日」と口にすることがあります。
言葉の使い方としては間違っていませんが、
「ストレスを感じる」というのは、科学的にどんな状態かを説明できるでしょうか?
まずは、科学の世界で「ストレス」という言葉が誕生した経緯についてご紹介しましょう。
1936年に、内分泌学者のハンス・セリエ氏が、
雌牛の卵巣から摂取したホルモンを実験用ラットに注射しました。
実験用ラットがどんな反応をするのか見たかったそうです。
(なかなかのサディストか科学者の鏡)
ホルモンを注射された実験用ラットは、病気にかかってしまいました。
かわいそうな話ではありますが、セリエ氏は同情している暇はありません。
「この反応はホルモンが原因なのか?」という疑問を解消したくてたまらなかったみたいです。
(科学者の鏡だね)
そこで、対照実験として、
他の実験用ラットを用意して、食塩水など別のものを注射してみました。
(~してみた系で、一番のサディストだよ)
いろんなものを注射して試したところ、実験用ラットたちには同じような反応が確認されます。
そこで、セリエ氏にひらめきが産まれました。
「もしかして、注射の中身ではなく、注射そのものが原因か?」
それを確かめるために、実験用ラットたちに注射以外の苦痛を与える実験を行います。
(ここで、科学者の鏡かつサディストであることが判明)
極度の寒さや暑さ、休みなしの運動、騒音で驚かせ、毒性の薬品の投与、脊髄の部分的な切断、
様々な苦痛を与えたところ、実験用ラットたちは死んでしまったそうです。
(もはやセリエ氏を同じ人間とは思いたくない)
こうして、科学の世界で「ストレス」が誕生したといわれています。
セリエ氏は、「ストレス」という用語を、
ラットに苦痛を与えた「行為」とラットの体に表れた「反応」の両方を指す言葉として使いました。
次の話に移る前に、質問があります。
私たち現代人は、この実験用ラットほどのストレスを受けているのでしょうか?
【定義】身体的な反応でしかない。
前項で登場したハンス・セリエ氏によると、
「ストレスとは外部からの刺激に対する体の反応である」
(出典:スタンフォードのストレスを力に変える教科書)
と定義されています。
すでに科学の世界で「ストレス」が誕生したストーリーについて知っている読者の方は、この一文がどんな状態を表すのか描写できることでしょう。
しかし、セリエ氏が「ストレス」という言葉を提唱して広めてから、科学者だけでなく一般の人々まで気軽にこの言葉を使うようになってしまいました。
「会社(学校)に行きたくない、死にそう」
「◯◯さんと会いたくない、ストレスがやばい」
と、現代人は簡単にこの言葉を使いますが、
どんな罠が仕掛けられているのかわからないケージに入れられたり、
自分の首根っこを掴んで振り回す科学者に遭遇することが語源になっていることを考えたら、
「ストレス」という言葉の定義がとても広範になっていることがわかります。
話がそれましたが、何が言いたいかというと、
現代使われている「ストレス」という言葉は、人間の後付けの解釈によって使われていることが多いのです。
そして、心理学ではその解釈は2種類に分かれるといわれています。
『闘争・逃走反応』です。
自分にとっての脅威(ストレス)を感じた時、
立ち向かって戦おうとするか、避けて通るために逃げる道を選ぶか、
その人の解釈によって、どちらかの戦略に分かれるといわれています。
つまり、ストレスを受けたからといって、
暴力を振るってしまう、無力感に苛まれてしまう、とは限らないわけです。
ただ1つここで言えるのは、現代人は自分の解釈による二次的なストレスが多いのではないかということです。
再度、原点に立ち返ると、
「ストレス」は、単なる身体的な反応にすぎないということです。
実験用ラットが受けたような極端な苦痛も、現代人が抱えている漠然とした不安なども、
両方「ストレス」ではありますが、後者は自分が後付けで作りだしたものではないでしょうか?
【種類】他にも、いろんな定義がある。
最後は簡単に、「ストレス」が身体にどんな影響を及ぼすのか、ホルモン別に解説したいと思います。
ここで覚えて頂きたいストレスホルモンは3種類あります。
☆3種類のストレスホルモン☆
・コルチゾール
・DHEA
・オキシトシン
それぞれ簡単に解説します。
まず、『コルチゾール』は、一般的に使われているストレスホルモンのことで、ネガティブな感情や反応によって分泌されるものです。
老化などを進行させてしまい、できれば分泌されてほしくないホルモンですね。
それに対して、『DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)』というポジティブなストレスホルモンもあります。
これは男性ホルモン(テストステロン)の一種で、分泌されるほど成長を促進させてくれるものです。
『オキシトシン』は、別名で幸せホルモンや抱擁ホルモンともいわれています。
分泌されると、苦痛を和らげたり幸せを感じたりさせてくれるそうです。
このように、ストレスホルモンと一口に言っても、ネガティブなことだけでなくポジティブな影響をもたらしてくれることがわかっているのです。
『コルチゾール』を分泌させるには、嫌な出来事だけでなくネガティブな思考状態にいることでどんどん分泌されていきます。
『DHEA』を分泌させるには、「このストレスは自分を成長させるための試練だ!」と思い込むだけでもいいそうです。
『オキシトシン』は、他者とのつながりや物理的なスキンシップによって分泌されることがわかっています。
さて、「ストレス」という言葉について様々な角度から解説してきましたが、これまでの常識が覆りはしませんでしたか?
確かに、不快な感情や嫌な出来事は避けたいものです。
しかし、その後の解釈によって、ネガティブな感情が増加することもポジティブな経験に変えることも可能なのです。
もう一度言います、
ストレスは身体的な反応でしかありません。
その後の自分の解釈によって、ネガティブな方向へと突き進まないように気を付けましょう。
【まとめ】これであなたも心理学者?
「ストレス」という言葉について、心理学的な解説をしました。
今回学んだことは、
☆今回の3つの知☆
・ハンスセリエ氏がラットに苦痛を与える実験を行ったことによって、「ストレスとは外部からの刺激に対する体の反応である」と定義された。
・『闘争逃走反応』といって、ストレスに対する解釈は個人によって2種類の戦略に分かれる。
・体内にあるストレスホルモンには、ネガティブなものだけでなくポジティブな影響をもたらしてくれるものもある。
これで、あなたも「ストレス」について、周りの人間より知識を深めることができました。
「ストレスがやばい」などという語彙力を持った現代人から脱却して、文化人への一歩を踏み出しましょう!
(当マガジンの更新は完全不定期で、筆者に気分で書きます)
閲覧ありがとうございました!(^.^)/~~~
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