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『ふつうの軽音部』を勧める理由とこの漫画が伝えている本当のメッセージ

ども。 タキエルです。

私事で恐縮ですが、
私はこれまでかなりマンガを読んできました。

今もいくつか連載中のマンガを読んでます。

その中でも、かなりお勧めしたい作品があります。

それが、タイトルでもあるように

『ふつうの軽音部』。


次に来るマンガ大賞2024でも
1位に選ばれているように、
既に世間では大きな波が来ています。


なので今更、って感じでもあるんですが、
この作品が伝えたいメッセージってのが
結構深いんじゃね、と思ったので
今回敢えてこのタイミングで取り上げました。


ストーリーを簡単に説明すると。


音楽に興味のあった主人公、鳩野ちひろが
高校の軽音部に一念発起して入部し、そこで
色んな人と出会いながら成長していく物語です。


かなりざっくりまとめましたが、
おおむねそんな感じ。


まあ、ざっくりまとめると
結構ふつうに感じますね。
絵柄も特にクセもなく、いわゆるふつう。

ただ。

読み進めていくうちに、
なんとなく違和感を感じます。

「これは、ふつうじゃない」

これまで自分が読んできた
音楽系のマンガとは少しテイストが異なる、
という事に気づきます。


先に私なりの結論を言っときますが、
このマンガの主軸にある隠れたメッセージは


個性


です。


ふつうの軽音部と謳っておきながら、

「普通」

と一見対極にあるような

「個性」

がこのマンガの裏にあるメッセージではないか、

という事を感じました。


少しずつその理由を解き明かしていきます。



まず、本作の主人公である
高校1年生鳩野ちひろは
完全なる音楽初心者です。

高校入学前に初めてギターを手にしました。


そして、高校で入部した軽音部でも
パートはギターで活動を始めます。


ですが、彼女には実は
ボーカルになってみたいという
密かな目標がありました。


でも、中学生の時に
同級生と一緒に行ったカラオケで
自分の歌声を酷評、嘲笑されます。


それ以来ボーカルになる夢を
心の奥に仕舞うようになりました。



この一件以来、
学校生活でも目立たないように、
少しでも普通と思われるように
生活していきます。


しかし、当時自分をバカにした
中学の同級生とは高校で離れる事になります。


そこからボーカルの夢が
ふつふつと再燃し始めます。


そんなある日。

部活終わりに学校にスマホを忘れ、
誰もいない視聴覚室に入り


「今なら誰もいないからちょっとだけなら・・」


と、ひとりライブを始めます。






そこでは誰にもジャマされず、
自分の歌声で盛り上がるオーディエンスに囲まれ、

自分の好きな歌(andymori)を
ギターをかき鳴らしながら歌います。


が、しかし。


陶酔して歌いまくってたところを、
同じ部活の同級生に見つかります。


高校の同級生にも見せた事のないような
自分を100%解放したような姿を見られ、

自我が崩壊。


恥ずかしすぎて悶絶します。



しかし、その同級生は
かつて酷評された歌声に対して
まったく真逆の評価をします。


そこからその同級生は少しずつ、
主人公鳩野の歌声の魅力を
周囲の人間に伝える「語り部」的な
立ち位置として暗躍します。


そして実際にその鳩野の歌声を
初めて聴いた他の同級生も


衝撃を受けます。


こうやって少しずつ、
主人公の魅力が周りに理解され始めて、
色んな人間を巻き込んで物語が進んでいきます。


やば。

作品の単なるまとめだけで終わりそう。

失礼。


さて、ここまでのエピソードで
これまでの音楽マンガとは
一線を画す表現がされています。


それは、

主人公の歌声が決して
「上手」とは表現されていないこと


です。

そう。

主人公は実は才能にあふれた存在で、
それがあることがきっかけで周囲に
気づかれるようになる・・・

そんな主人公を描いた、
音楽漫画の金字塔『BECK』
とはまた違った主人公像。



努力に努力を重ねて世界でも通用する
サックスプレイヤーになるストーリーを
描いた『BLUE GIANT』ともまた違う。


もちろん、今回の主人公、
鳩野ちひろも努力はするんですが、
決して上達するわけではなく、
独特な歌声に、より磨きがかかる、


というような成長を遂げていきます。


ここから何が言えるか。


それが、

個性


です。

周りの人に衝撃を与えて、
すごいと唸らせる方法は決して
歌が上手くなることだけじゃない。

かつて貶された自分の歌声も、
関わる「世界」が変われば
「個性」として認められるようにもなる。

というのを教えてくれます。


この独特な歌声を
主人公の特長にしてる時点で

全然「ふつう」の軽音部じゃないやん、

っていうね。


また、この作品に出てくるキャラは
一見ふつうに見えて、実はふつうじゃない。

そういった描かれ方をしています。

例えば、

人付き合いが上手くなんでも
要領よくこなすイケメンに見えて
実は家族と不仲だったり、

清楚で大人しい美人キャラと思ってたら
実はかなり思想がぶっ飛んでたり、

可愛くて頼りになる先輩(女)でも
笑いのツボがおかしかったり
いわゆるLGBTだったり。

でも、そんな人たちでも
それを受け入れてくれる世界がある。


人は遠目に見れば「ふつう」でも
近くで見れば「個性」が誰にでもある、

というメッセージとも受け取れます。


実際にそう思います。


一見自分は無個性だと思っている人でも
色々話を聞いてみると
「え、そんな特技あんの?」と
驚かされることあったりしません?


「自分なんて普通ですから。」

っていう、自身に対して
悲観というか過小評価する人は結構います。

自分もそう思っている時期が
少なからずありました。

でも、どこか一部を切り取れば、
普通じゃない、いわゆる

『個性』

と呼べるような部分は
必ず誰にでもあると思ってます。


そんなことを気づかせてくれる作品だな、
と全体を通して感じましたね。


要は、

自分にとっての「ふつう」は
他人にとっては「ふつうじゃない」し、

自分にとっての「ふつうじゃない」は
他人にとったら「ふつう」という事もある。

って事です。



ふつうの軽音部というタイトルでありながら

『個性は誰にでもある』

『ふつうは世界が変わればふつうじゃない』

そういった裏のメッセージを
伝えてくれてるような気がしました。


そして、その個性を見つけるのは
自分ではなく周りの人間で、
新しい世界と関わることによって起こる、

という事も教えてくれます。


これは現実世界でも同じ。


自分の個性はなかなか
自分では気づけないもの。


自分の事は自分が
一番わかってなかったりしますしね。




流行るマンガはこれからの
現実社会で起こる流れを
予言するとも言われてます。


特に流行ってるマンガの主人公像は
これからの世界で求められる
人物像であるとよく言われます。


そういった視点で
マンガの主人公を見てみると面白いですよ。


ひと昔前は絶対的なリーダーが
主人公になりやすかったですが、
最近では主人公よりも周りのキャラのが
強かったり個性があったりします。

それは、主人公(自分)は目立ちすぎず、
周りを上手く活かすような人間が
憧れられるようになっているとも言えます。



そして、今回の
『ふつうの軽音部』の主人公は
圧倒的な能力を持ったわけではありません。

「個性」という武器で周りに
影響を与えていく存在です。

そういった存在が、これからの世界では
より強く求められるのではないか、
と密かに予見している今日この頃です。


とまあこんな感じのことを
今回紹介したマンガから感じました!


色々考察しましたが、このマンガは
エンタメとしても十分面白いです。

正直、今1番毎週の最新話の更新を
待ちわびてしまってる作品です。

まだ単行本3巻しか出てませんが、
これから更に面白くなる予感しかしません。


読んだことない人はぜひご一読を。

読んだことある人は今回の話を読んで、
もう一度読めばまた違った
感想が出るんじゃないかと。


そんなことを思いながら、
今回はこの辺で終わりたいと思います。


最後に。

自分が1番好きな話の
1番好きな瞬間(コマ)を共有します。


この話で主人公鳩野ちひろの
魅力が爆発し、完全に心掴まれました。

この話まで読んだら
確実にドハマり確定ですわ。


では!


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