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短編小説

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一話完結から、三話くらいまでの短めの小説を集めています。
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2024年8月の記事一覧

【ショート・ショート】混沌の海へ

 男と女の性差について語ることは、完全にタブー視される世の中になった。性的マイノリティー…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
18

【短編小説】エビのように、舞うように

 平日の一番陽の高い時間に、駐車場に車を止めると、渋谷真治はため息をついた。ホームセンタ…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
14

【短編小説】蜘蛛の糸

 日暮れの早い秋の終わり、ビルディングや店のショーウィンドウが一斉に夕映え色に染まる時間…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
31

【短編小説】悲しき恋のはなしなど(2/2)

 琢磨は受験大学を、東京六大学に絞ろうと決めた。勉強頑張って、ユキのことを見返してやるん…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
14

【短編小説】悲しき恋のはなしなど(1/2)

 白鷺琢磨は、昭和四十三年、芸術家の家に生まれた。  琢磨が生まれたときにはすでに、父親…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
16

【短編小説】夜半(よわ)の雨(2/2)

 蒼子の病室の近くに医者たちの休憩室があって、よく耳をすませていると会話が聞こえてくるこ…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
12

【短編小説】夜半(よわ)の雨(1/2)

 入院生活の朝は早い。  十月も終わりのこの時期、まだビル間から差し込む朝日が明けの紅に染まる頃合いの六時から、看護師さんがやって来て、広いばかりでなにもない一人部屋のカーテンを開ける。  病室の窓は東に面しているから、一気に部屋中が真っ赤に染まる。  看護師さんは忙しい。なんたってこの時間に、次から次へ、病室から病室へ、カーテンを開けて回らなければならない。  スライドドアを開けて、「おはようございます」と言いながら大股で入ってきたかと思うと、大胆にカーテンを開け、

【短編小説】仏の眷属(けんぞく)

 あれは父の四十九日の法要のときだったから、よく覚えている。  四ノ宮蒼子は四年ぶりに新…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
17

【短編小説】AI

 20XX年4月某吉日。桜吹雪の舞い散るなか、AIの未来についての講演を聴く為150人ぐらい…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
24

【短編小説】微熱の冷めぬ、夏の夜(3/3)

3  次にマリがやってきた夜は、うだるような暑さで頭がおかしくなっていた。水を入れた木の…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
15

【短編小説】微熱の冷めぬ、夏の夜(2/3)

2  それから五日ほど経った深夜、マリは再び現れた。 「こんばんは。私がいなくて寂しかっ…

秋ノ宮 陽菜
3か月前
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【短編小説】微熱の冷めぬ、夏の夜(1/3)

1 『南房総の高台の上から夕焼けに染まる海を見ているとき、彼女はふと 「死ぬならこんな感…

秋ノ宮 陽菜
4か月前
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