【短編小説】夜半(よわ)の雨(1/2)
入院生活の朝は早い。
十月も終わりのこの時期、まだビル間から差し込む朝日が明けの紅に染まる頃合いの六時から、看護師さんがやって来て、広いばかりでなにもない一人部屋のカーテンを開ける。
病室の窓は東に面しているから、一気に部屋中が真っ赤に染まる。
看護師さんは忙しい。なんたってこの時間に、次から次へ、病室から病室へ、カーテンを開けて回らなければならない。
スライドドアを開けて、「おはようございます」と言いながら大股で入ってきたかと思うと、大胆にカーテンを開け、