見出し画像

【読書感想】朝井まかて『阿蘭陀西鶴』

2017.11.29読了。
朝井まかて『阿蘭陀西鶴』

井原西鶴と盲目の娘おあいの物語。
おあいは料理も裁縫も健常者以上にこなす女の子。

井原西鶴の人生だけでも、充分面白いと思う。
だが、おあいの視点で西鶴を見つめる事で西鶴がぐっと身近に思えた。

恥ずかしながら『好色一代男』を読んだ事がなく、井原西鶴も名前だけ知っている程度。阿蘭陀西鶴を読み進めながら、好色一代男も購入し読み始めた。

好色一代男は今で言うライトノベルかな。当時はこの文体が読みやすかったのだろうと想像した。変態の極みである世之介。ただ、世之介を生み出した西鶴は頑固で地味な作家という印象を受けた。おあいは盲者であるから、父の語りや掌で西鶴を感じ取る。だから読み手は西鶴を肌で感じるようになっていく。そこが朝井まかてさんの巧いとこなんだよなぁ。

父娘あるあるも面白かった。年頃の娘は、父親の一挙手一投足が気に障る時期がある。おあいが西鶴の父性に気付き、想いを寄せていく様に胸が熱くなった。 .

「お父はんのお蔭で私はすこぶる面白かった」

おあいの作る冷やし飴に、おあいの人柄が滲み出ていて、西鶴は可愛くて可愛くて仕方なかっただろうな、こんな可愛い娘を1人残して死ぬのは恐かっただろうな、と思った。

#阿蘭陀西鶴  #朝井まかて #織田作之助賞
#文庫本  #講談社文庫
#読書  #読了 #読書記録 #読書感想文 
#竹竿の本棚

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?