プロ野球関西球団の二軍本拠地へのアクセス事情が改善
◆はじめに
プロ野球12球団は去る2月1日に揃ってキャンプイン。関係者一同にとって長いシーズンが幕を開けました。
プロ野球ファンの中には一軍だけでなく、二軍の公式戦や練習を観に行かれる方も多く、開幕を前に日程のチェックや遠征計画の立案に余念がないわけですが、そんななかでこの2025年シーズンより、阪神タイガースとオリックス・バファローズの二軍本拠地球場へのアクセス事情が改善されることがにわかに話題になっています。
本記事では、この2つの球場のアクセス事情について若干の考察を加えてみようと思います。
1.阪神大物駅前に誕生した阪神タイガース二軍の新本拠地
タイガースの二軍は1994年以来兵庫県西宮市の阪神鳴尾浜球場を本拠地としていましたが、近年は施設の狭さと老朽化が問題になっていました。
敷地の南側を阪神高速湾岸線の高架橋が通っており、また西側には兵庫県立総合体育館があるため、球場を含めた二軍施設の現在地での拡張は困難だということで、親会社の阪神電気鉄道(阪神電鉄)は2010年代半ばになり二軍本拠地の移転を模索するようになりました。
時を同じくして、西宮市の東隣に位置する尼崎市では、開園から40年近くになろうとしていた野球場のある防災公園「小田南公園」の再整備を検討しており、それに合わせて地域活性化の呼び水となる観光資源の創出を目論んでいました。
このような経緯で阪神電鉄と尼崎市の思惑が一致し、尼崎市は2016年にタイガースの二軍本拠地誘致に名乗りを挙げることになりました。
数年にわたる両者の協議、そして市当局からの住民に対する入念な説明の末、2021年暮れにタイガース二軍本拠地の尼崎市移転が正式決定しました。
再整備を終えた小田南公園は「ゼロカーボンベースボールパーク」と名前を変えました。「ゼロカーボンベースボールパーク」の名称は、小田南公園の整備を含む阪神大物駅周辺地域の整備事業が環境省の「第1回脱炭素先行地域」に指定され、同施設が太陽光発電や蓄電池発電、市のクリーンセンターからの電力調達、断熱材の設置や雨水、井戸水、バイオマス素材の活用などで二酸化炭素排出量ゼロを目指す取り組みを進める予定であることに由来しています。
敷地内に新築されたタイガース二軍の新本拠地となる「ベースボールパーク」(メイン球場)は、近隣に工場を構える日鉄鋼板㈱がネーミングライツを取得し「日鉄鋼板SGLスタジアム」と名乗ることになりました。
「日鉄鋼板SGLスタジアム」は常設3600席、臨時800席合わせて4400名の収容人員を誇る球場で、常設観客席が400席程度だった阪神鳴尾浜球場と比べ大幅なキャパシティの増加が図られています。球場内にはグッズショップも設けられるといい、こちらも大いに期待したいところです。
また、最寄り駅である阪神本線・なんば線の大物駅からは徒歩5分という至近距離に位置しており、アクセス手段をバスに頼っていた阪神鳴尾浜球場と比べて大幅な利便性の強化が実現しています。
大物駅は本線の普通と、なんば線の準急・区間準急・普通のみが停車する駅ですが、駅構内には同スタジアムの最寄り駅であることをアピールする壁画が描かれ、新しい二軍本拠地のオープンを盛り上げています。
【出典】「ゼロカーボンベースボールパーク」公式ホームページ
フリー百科事典ウィキペディアWikipedia
2.「新しい最寄駅」が開業したオリックス・バファローズ二軍本拠地
大阪市此花区の人工島「舞洲」にある総合運動公園「舞洲スポーツアイランド」。
バファローズの二軍本拠地である杉本商事舞洲バファローズスタジアム(舞洲サブ球場)と、隣接する大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲ベースボールスタジアム)は、この「舞洲スポーツアイランド」のなかに位置していますが、公共交通機関によるアクセスはJR桜島駅からの舞洲アクティブバス(北港観光バスが運行)、JR・阪神西九条駅からの大阪シティバスに限られていました。
ただ、大阪シティバスは1時間に1本のみ、舞洲アクティブバスについても1時間に3本のダイヤとはなっているものの、最大で30分運行間隔が空いてしまう時間帯があり、復路はタイミングが悪いと桜島駅や西九条駅へのバスに乗車するまで長時間待たされる場合がある点が長らく課題になっていました。
そんな折、隣の人工島「夢洲」で2025年大阪・関西万博の開催が決定。
アクセス手段として2025年1月19日に大阪メトロ中央線のコスモスクエア~夢洲間が延伸開業、あわせて夢洲と舞洲を結ぶ「夢舞大橋」の歩道部分の通行が解禁されたことで、大阪メトロ中央線を利用して夢洲駅で下車し、そこから徒歩で夢舞大橋を渡って舞洲に向かうルートが誕生しました。
もっとも。夢洲駅から舞洲スポーツアイランドまでの道のりは約3Km、徒歩40分程度を要します。
加えて、途中の夢舞大橋は船舶の通航を考慮した構造であるためアップダウンが激しいという点は留意しておく必要がありますが、バスの待ち時間が長い時などは、夢舞大橋を渡り、そこから万博会場や阪神間・神戸の街並みを眺めつつのんびり歩くのも良い選択肢かもしれません。
◆結び
以上、とりとめのない文章になってしまいましたが、鉄道駅至近の場所に移転するタイガースの二軍本拠地と、新たな最寄駅が誕生したバファローズの二軍本拠地のアクセス事情について綴ってみました。
小生自身二軍の公式戦を観戦したことはほとんどないわけですが、今回のアクセス事情の改善を良い機会に、2025年シーズンこそ二軍の公式戦観戦や練習見学に出かける回数を増やしてみるのも良いのではと考えているところです。
最後になりましたが、プロ野球ファンの皆様が2025年シーズンも数多くの熱戦を楽しむ機会に恵まれることを願いつつ、結びとさせていただきます。