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「5年後も、僕は生きています㉔ガンの人たち」
がんステージ4宣告から生還までの体験記(2016年9月~2017年7月まで)発売以来のロングセラーとなっています。何かのご参考になれば光栄です。(Amazonカテゴリ別/闘病記/発売後ランキング8ヶ月間1位・終末期医療現在1位)
多くの方々から生き方が変わった、人生を変える後押しとなった、というご感想を頂いております。人生や生き方に迷いがある方は、ぜひお読み下さい。
では、「5年後も、僕は生きています」第24話です。
「5年後も、僕は生きています」第1話から読みたい方はこちらからお読みくださいね。
㉔ガンの人たち
2018年4月、僕は初めて肺ガンの『患者会』に参加しました。
友人がこの患者会のスタッフをされていて、そのご縁でお誘いを受け、僕もなにかお手伝いすることがあるかもと思い、スタッフミーティングから参加をすることにしたのです。
ミーティングは主催者のご挨拶で始まりました。
「最初に自己紹介をしましょう。今日初めてこのミーティングに出られる方も、いらっしゃいますので」
「お名前と、患者本人か、それとも患者さんのご家族なのか、それもお願いします」
ひとりひとり、自己紹介が始まりました。
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「田中です、患者です。ステージは3です」
「佐藤です、家族です。夫が肺ガンです」
「鈴木です、ステージ1の患者です」
「山田です、ステージ3の患者です」
確かに…
自己紹介をするのだから、当たり前のことを言っているんだけど…
違和感を感じたのです。
名前と、「本人」あるいは「家族」だけでいいんじゃない? みたいに感じました。
ステージとか、いちいち言わなくてもいいんじゃない?
前も書きましたが、『患者』という漢字は「心」を「串刺し」にされた「者」と書きます。
自分を「患者」と表現してしまうと、「ガン患者」という「集合意識」にアクセスし、取り込まれしまう可能性が高いのでは?
いや、すでに接続してしまっているからこのような自己紹介のやり方になってしまっているのかも…。
頭の中で、いろいろ思考が走りました。
でも、よく考えたら自己紹介ですから、当たり前のことなんですが(笑)、僕が敏感すぎるのかもしれません。
僕の番になりました。
「刀根です。ステージ4の患者です。よろしくお願いします」
僕は立ち上がって頭を下げました。
口にしてやはり
「やっぱり自分のことを患者って言いたくないな~」と感じました。
「人は、言った通りの人になる」ということわざがあるように、
言葉には力があるのです。言霊(ことだま)ですね。
心が串刺しにされていることを、改めて自覚するようなことを口にすると、身体が緊張して固くなるのを感じました。
という感じでミーティングが終わり、皆で企業が善意で無償貸与してくれた、綺麗な会議室に移動しました。
企業もなかなかやりますね。
そして、この会の主催者をはじめ、スタッフミーティングに参加されている方々はとても素晴らしかったです。
進行もテキパキとスムースで、無駄がなく、それでいて、なんだか暖かいのです。
当たり前かもしれませんが、完全ボランティアです。
僕だったら…真似できないと思います。
ガンの方々ために、利他の気持ちで動く姿はほんとうに頭が下がります。
で、その日は、肺ガンを経験した落語家さんの講演でした。
落語家さんだけあって、さすがに話がとても面白く、ぐいぐいと話に引き込まれました。
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「笑うことで、免疫力が上がることは証明されているのです。
癌にかかると深刻になってしまい、笑顔を忘れがちです。
さあ、みなさん口角を上げて笑いましょう。
無理やりでもいいんです。わっはっは」
無理にでも笑顔を作ると、それだけで免疫が上がるという実験結果もあるのです。
このブログでも何度も書いているように、笑うこと、機嫌よくすることはガン対策として とても大事なポイントなのです。
講演が終わり、後半のグループシェアになりました。
治療別のグループごとに別れ、僕はALK陽性のグループに移動しました。
そこには、8人のALK陽性の肺ガンの人たちがいました。
「こんなにALKがたくさん集まったの、初めてです。いつもはふたりくらいなんですよ」
進行役の女性が笑いながら言いました。
「そうですよね、ALK珍しいですからね。私も自分以外のALKの人に会ったの、初めてです」
別の女性が返しました。
「男性も珍しいですね。ALKは、ほとんどが女性だと言われているんですよ。東アジアの女性に多い遺伝子だという調査結果が、出ているそうです」
その中のひとりが、僕に向かって言いました。
「そうなんですか、じゃあ僕は珍しいALKのなかで、さらに珍しいんですね」
そう、8人の中で男性は僕ひとりしかいませんでした。
「今日は今の話を聞いて感じたこと、あるいは今思ってること、悩んでいること何でも構いません、みんなに相談してみてください」
進行役の人がうながします。
ひとりひとり、順番に自分のガンのストーリーを語り出しました。
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当然ですが、みんな・全員が、不安の渦中にいるようでした。
みんながガン治療についての最新情報や、病気の情報を欲しがっていました。
病気の悪化や再発を、とっても恐れていました。
そして、ほとんど全員が肺ガンが見つかった後の生体検査ですぐにALK陽性と診断され、すぐにアレセンサの処方を受け、進行が止まったり、ガンが小さくなったりと、改善していました。
僕みたいに標準治療を断って死にそうになったあげく、2つ目の大学病院でALKが見つかったような経緯の人は、ひとりもいませんでした。
ほとんどみな、アレセンサが効かなくなったら、どうなってしまうのか。
進行が進んだら、どうなって(どんな症状)しまうのか、次の薬はあるのか?
という、不安と恐れを抱いているようでした。
僕は…というと…
「来週にでも、呼吸が止まるかもしれません」
というところまで行きましたから(アホですので/笑)、そこまでの経緯、症状は僕自身の体験として経験していました。
一回死にそうになった経験があれば、死にそうになってそこから戻ってくるということが、どんなものか分かります。
知っていれば、経験済みであれば、それほど恐れる必要はないということが分かるのです。
まあ、「またあれを経験しろ」と言われたら謹んでお断りさせて頂きます(笑)。
不安に支配された雰囲気の中、僕の番になりました。
「いやあ、僕はもう治ってしまうつもりです」(当時、まだちょっとCTで影が残ってました)
みんなが不思議そうに、僕を見ました。
「もうすぐ、僕のガンはCT上から完全に消えてしまうと思います」
そうして何年かそのままの状態を維持して、いずれはアレセンサもやめてしまおうと思っているんです。
ドクターに話したら、それはダメですって言われてしまいましたけど。ははは」(2022年3月現在も、アレセンサは服用中です)
「それは絶対に許してもらえないでしょうね」
進行役の女性が、冗談っぽく笑いながら言いました。
僕はその言葉に「そんなこと、あるはずないでしょ」というニュアンスを感じました。
その場所で楽天的なことを言っていたのは、僕一人だけでした。
良く考えたら、不安があるから患者会に足を運ぶんです。
僕みたいに「もう大丈夫」と思っている人は、こういう場所(患者会など)にはほとんど来ないのかもしれません。
だって、治るって分かっていたら、不安は感じないんですからね。
きっと、ガンのことは忘れて、自分がやりたいことをやっているでしょう。
(そうやっているうちに、おそらくガンは消えてしまうでしょう)
当時の僕は、そこのところがちゃんと理解できていなかったということです。
また、別の日には、こういうこともありました
癌患者会に参加した数日後、ある勉強会に出かけると、休憩時間にスタッフの人からガンの人を紹介されました。
僕が肺癌ステージ4から生還したことを知って、なにかアドバイスをして欲しいと言われました。
「こんにちは。僕は肺ガンのステージ4Bと言われましたけど、いまはほとんど消えました」
「すごいですね。僕は昨年末にすい臓癌のステージ4と言われました。どうやったのですか?」
年齢は俺と同じ位でしょうか、白髪が目立つおとなしそうな男性でした。
「一番大きな要因は分子標的薬ですね。ご存知ですか?」
「いえ…。抗ガン剤ですか?」
「まあ、その一種ですね。遺伝子に直接作用する新しい薬です。運よく適合しまして」
「凄いですね」
「そういう検査をしましたか?」
「いえ…よくわかりません」
僕も膵臓癌に分子標的薬があるのかどうか、良く知りませんでした。僕は続けました。
「う~ん、でも一番大事なのは『気持ち』だと思います」
「『気持ち』ですか?」
「まず、不安に飲み込まれないこと、医者の言うネガティブなことは受け入れないことです」
「ええ、医者の言葉はきついですからね」
「だめですよ、それを受け入れたら、その通りになっちゃいますから」
「はい」
「それから大事なのは、明け渡しです。サレンダーとも言いますけど」
「明け渡し? サレンダー?」
男性は、その言葉を初めて聞いたのか、ぽかんとしていました。
「う~ん、頑張って頑張って、そしてそれが通用しなくて、その自分じゃもう前に進めなくて、どうにもならなくて、全て通用しなくて、それで明け渡す、降参する、みたいな心境です。僕はこれがあって、初めて次の段階に進んだんだと思いました」
そう、あの体験があって、いまの僕がいるのです。
僕はこの時はじめて、僕が体験した“明け渡し”“サレンダー”についてガンの人に話をしました。
「サレンダー、明け渡し、ですか…」
男性は、全くピンときていない様子でした。
休憩時間が終わりそうになったので「ネットで調べれば少しは出てると思いますよ」僕はそう声かけをして、その場を離れました。
たぶん、伝わってない。
これって、ほんとうに大切な事なのに。
もっとちゃんと、伝えられるようになりたい…
真剣に、そう思いました。
自分の体験を伝えることは大事です。
それが僕のようにガンからの生還体験であれば、もしかすると、どなたかの参考になるかもしれないのですから。
まあ、参考に「する・しない」は、情報に接した方が決めることなので、僕は自分の体験をそのまま、包み隠さず、ありのままに開示するだけなのですけど。
でも、このころの僕のように表現方法が稚拙だったら、伝わるものも伝わりません。
そういう意味で、このころ(2018年)より、今は少しは上達したかもしれません(笑)。
あれから(2018年4月)から、たくさんのガンの仲間たちに出会いました。
先日も時空の杜(そらのもり)で素晴らしい仲間たちと出会いました。
先週末は大阪で、たくさんのガンの方々に出会いました。
余命3日から、完全生還した方が二人もいらっしゃいました。
それぞれ、本が書けそうなすごいストーリーです。
他にも上顎癌ステージ4が消えている人もいました。
奇跡って、普通にあるのですよ!
共通しているのは、こころの在り方です。
やり方(Doing)も大事ですが、在り方(Being)はもっと大事です。
気持ちを前向きに持つこと
同じ病気でも治った人は必ず存在する、ということ。
どんな方法(標準治療・代替治療・なんでも)でもいいんです。
結果、治ってしまえば。
そこへ至る道(プロセス)は様々ですが、結果を引き寄せればいいんです。(ポイントは、自分の発する周波数です)
(参考書籍)
がんステージ4宣告から生還までの体験記(2016年9月~2017年7月まで)発売以来のロングセラーとなっています。何かのご参考になれば光栄です。(Amazonカテゴリ別/闘病記/発売後ランキング8ヶ月間1位・終末期医療現在1位)
多くの方々から生き方が変わった、人生を変える後押しとなった、というご感想を頂いております。人生や生き方に迷いがある方は、ぜひお読み下さい。
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