❖足元美術館XXXⅢ(キャラメル・ネギアート)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2024年7月13日)
【記事累積:2096本目、連続投稿:1028日目】
<探究対象…美、ネギ、スープ、だまし絵、アルチンボルド>
本日ご紹介する足元に展示されていた美術作品のタイトルは、「キャラメル・ネギアート」である。一体どんな作品なのだろうか。
先日、中華料理のお店に入った。私が注文したのはマーボー丼のセットである。メインはもちろんマーボー丼。セットにはギョウザ3つとスープがついていた。
本日の作品はそのセットの内部に展示されていた。適度な辛さのマーボー丼を早々に制覇したあと、ギョウザ3つも片付け、総仕上げでスープと対峙した。レンゲを器の中に入れようとしたとき、その器の中に素敵なデザインが広がっていた。
細く切られたネギたちが、スープの深層でじっとしていたのだが、彼らの姿を見ていると何だか嬉しい気持ちになったのである。最も印象的なのは左上の方のネギだった。ちょうどハートマークのような形で、少し歪なところに愛嬌が感じられたのである。
その隣には綺麗な円があり、さきほどのハートマークと寄り添っている様子がほほえましかった。さらに右側には大きめのレモンのような形があり、それを中心に眺めてみると、レモンが魚の輪郭に思えてきた。そして円が魚の目で、そこからハートマークが飛び出しているような楽しい世界に印象が変わっていった。
そこから視点を下の方に映してみると、円形がいくつか重なっていて、これらから徐々に上の方を見ていくと、円形の重なりが口で、寄り添っているハートマークと円が両目となり、大きなレモンは緑がかっていることも影響して、右の目の方にフェイスペインティングをしている人だと思えてきたのである。
見方によって、それが何に見えるかが変わる絵は「だまし絵」と呼ばれる。その歴史は古く、16世紀に活躍した画家であるジュゼッペ・アルチンボルドなどが先駆けのようである。花や野菜が並べられているものをよく見てみると人に見える絵画は、彼の作品として有名である。
アルチンボルドの作品と比較するようなものではないが、スープの中に広がる世界も見方によって印象が変わるものであった。
そのような目まぐるしく印象が変わる不思議で素敵で楽しげな世界は、ネギが織りなす或る種の芸術であり、その世界がスープの赤茶色によって彩られていた。ここから今日の作品のタイトルは、「キャラメル・ネギアート」だったのである。
ちなみに「錯覚」はラオ語で「ພາບລວງຕາ(パープルアンター)」という。タイ語では「ภาพลวงตา(パープルアンター)」になる。