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今の会社にほぼ不満はないけど実は未来もないのか?~居心地と惰性の間で悩む31歳女性が考えるべきキャリア①~

こんにちは。堀内猛志です。
前回のnoteでは『新卒入社した大手企業に16年勤め上げて課長目前だけどいまだに確固たる自信がない』というペルソナのためのキャリアストーリーを書きました。

▼キャリアパターン②:積み上げてきたのに自信がない太郎のストーリー

今回は、また少し違ったキャリアの悩みを持つ人をペルソナにして、キャリアストーリーを展開します。そして次回以降で、このペルソナが陥りやすい思考の解説と解決編について展開していこうと思います。


キャリアパターン③:居心地と惰性の間で悩む31歳「愛」のストーリー

【ペルソナ】
愛。女性。31歳。

【タレント】※本人は自覚していない
エクスクレッシブ/親密性・包含・ポジティブ・達成欲・活発性

【好き(ルーツ)】
自分に関わる全てのステークホルダー、チーム

【好き(ブーム)】
上司、同僚、自分の目に映る人たち

【キャリア①学生時代】
小さい頃から元気で活発だった愛。勉強は好きではなかったがスポーツ万能で、運動会などのスポーツイベントでは常に目立つ存在だった。中高の部活動ではバレー部の副キャプテンを務め、大学ではチアリーディング部の活動に明け暮れた。「愛がいると周りが明るくなる」友人からそう言われることで自分の存在価値を感じていた。

【キャリア②就職活動】
3年次からインターンに積極的に参加していたものの、いわゆるFラン大学だった愛は就活初期は非常に苦労した。いわゆる大手企業はことごとく不合格となり、そのたびに志望業界を変え業界研究を必死で行った。お祈りメールが届くたびに自分には価値がないと言われているような気がして、メンタルが削られていった。思い切って企業規模を変えたのが良かったのか、ベンチャー企業を受け始めてからは嘘のように様々な企業から内定が出た。ベンチャー企業の面接は大手企業のそれと違い、面接は会話のような感じで、愛にとっては非常に話しやすかった。「あなたのような人材が当社では多数活躍している」そう言ってくれる企業が多く、自分の特性を認めてくれることがわかって嬉しかった。自分は規模が小さい企業が合うのではないかと思い、ベンチャー企業に就活の軸足を定め、内定をもらった中でも一番勢いを感じた求人広告の代理店事業を営むA社に入社することを決意した。

【キャリア③新人営業時代】
想像以上に仕事は大変で、朝から晩までひたすら営業活動に勤しんだ。夜遅くまで残ることが多く、実家に住んでいた愛は親から働き方について心配されていた。しかし、体育会系のマインドを持つ愛は、この働き方に心地よさを覚えていた。同期とは仲が良く、一緒に目標を追いかけて頑張ることは学生時代の部活のようだったし、覚えることが苦手な愛に上司はきちんと向き合ってくれた。部署が達成し、みんなで飲みに行く日々は、業務時間の長さを超えて余りある充実感があった。

【キャリア④営業リーダー時代】
5年後、同期とは少し遅れて営業リーダーになるチャンスがやってきた。正直、部下の面倒を見る余裕もなければやり方も全くわかっていなかった愛だが、A社では営業リーダーを担う女性が多かったこともあり、自分にもできるだろうと思っていた。しかし、仕組みを考えることよりも気合と根性で仕事をしていた愛は、部下を持ったことで自分の業務が倍にも3倍にもなっているような感覚を持った。日中は部下の目標達成のために時間を使い、部下が帰った後に自分の業務を行うという日々。帰りはいつも終電近くになっていた。自分はまだ若いし独身だからこのような働き方も可能だ。でも、この生活を今後も続けて行けるのだろうか、、20代後半に差し掛かってきた愛は少しずつ将来のことを考えるようになっていた。

【キャリア⑤営業企画時代】
週末に友人の結婚式に出席した愛は、久しぶりの友人たちと話す時間を楽しんだ。愛の友人たちは愛とは違い事務職を選んでいる人が多かった。女性同士の話は尽きない。色んな話をしている中で自然と仕事の話になった。愛の仕事の話を聞いた友人たちは「すごいねー愛っぽいね~」と言いながらも若干引き気味だった。
週明けに上司との1on1があったので週末の結婚式の話をした。信頼している上司なので気丈にふるまっていたつもりだったが、愛の勤怠を見ている上司には自身の疲れを隠すことはできなかった。すると、上司から営業企画への異動を勧められた。ちょうどポジションが空いたとのことだ。自分から弱音を吐けない愛にとって自分のことをちゃんと見てくれている上司から勧めてもらえたということは嬉しかった。営業は好きだがリーダーとしてのポジションに負荷を感じていた愛は快く承諾した。
営業企画では営業メンバーが売りやすくなるような仕組みを考えるのが主な業務であった。愛の会社は求人広告の代理店業を営んでいるので、他社の求人広告を多数扱っている。定期的に新しい商材との契約が行われるので、それらの契約業務や販売促進の企画業務が愛のミッションとなった。上司が等級をスライドしてくれたおかげで報酬は営業時代の額がそのままキープできた。その分ミッションは大きくなったが、業務が新しくなった新鮮さと、部下がいなくなった自由さで、愛は集中して業務に取り組むことができた。

【キャリア⑥これから】

気づけば愛は31歳を迎えようとしていた。営業企画の業務にも慣れ、後輩への指導や営業メンバーをサポートする業務は自分に合っていると感じていた。また、上司や同僚にも恵まれているし、報酬も友人の中では高めである。何の迷いもないはずの愛が感じている不安の正体は、「飽き」と「惰性」であった。
不満がないどころか仕事、環境、報酬には恵まれている。しかし、長年続けていることからピーク時の7割くらいの力でできてしまっている。結婚をして子どもでもいればこの生活でも良いのだろう。しかし、愛は先月数年付き合った彼氏と別れたこともあり、キャリアもそうだが人生そのものを考えるようになっていた。このまま独り身でいることだってあり得る。仮に結婚できたとしても仕事を辞める気はない。でも、その仕事は今のままでいいのだろうか。
31歳の誕生日を友人に祝ってもらった際に、人材紹介会社に勤める友人の大に相談したところ、別日に時間をとってキャリア相談に乗ってもらえることになった。
「正直に言っていいの?」一通り話を聞いた大が切り出した言葉に愛は息をのんだ。大が言ったことは以下の通りだ。

・1社経験で経歴はきれいだし、営業のガッツは評価される
・一方で、求人広告代理店営業に近い営業スタイルの業界の営業職なら転職は決まるが、シンプルな営業スタイルのため、複雑な営業スタイルを求められる企業に受かるかは微妙なところ
・愛の年収は高めなのでスライドは難しいかもしれない

営業企画としての経験についてあまり評価されないことについて不思議に思った愛はそこを尋ねた。大は言う。「一通りの業務を聞いて思ったけど、それは一般的には少し高度な事務職って感じで、企画職と呼べるレベルかは微妙なところなんだよね。」
大との会話が終わり、岐路につきながら愛はぼんやり考えていた。大は最後に「あくまでも自分個人の意見」と付け加えてくれたが、大の言うことは概ね正しいと感じる。営業時代はひたすら量を追ってきただけだし、上司からもそれしか教わっていないしフィードバックも受けていない。営業戦術は実践の場でも色々試したが戦略をしっかり考える組織風土ではない。営業企画が事務職だと言い切られたのは少し腹が立ったけど、実際に頭を使った業務じゃないから頭が良くない私でもできている。
最近感じる惰性の感覚と業務への飽き、そして、市場価値の低さから考えると思い切って転職し、改めてきちんとキャリアを積み上げた方が絶対にいいのだろう。しかし、報酬を落とすと今の生活水準はキープできないし、何よりもチームや上司には非常に満足しているので、こんなに居やすい環境に出会えるかはわからない。新たに人間関係を作るのも面倒に感じる。今の業務も嫌じゃない。むしろ好きだ。「残るべきか?」「挑戦すべきか?」自分の中で堂々巡りをしながら愛は決断ができずにいた。

愛のキャリアのポイント

いかがでしたでしょうか?労働集約型ビジネスを選んだ人が陥る、キャリア迷子のストーリーでした。

労働集約型ビジネスは、愛のように気合と根性に強みを持つ人材を採用し、徹底的にスキームとオペレーションにはめることで生産性の高い成果を出します。しかし、愛の会社のように、スキームとオペレーションを構築せずに、従業員のやる気に依存する企業も多いのです。そういう企業では入社早々に営業が辛くて退職する従業員も多いのですが、愛のように最初の壁を乗り切った人材にとっては、成果をあげやすく楽しくなってきます。商材も営業スタイルもシンプルな分、慣れると早いのです。

一方で、そのシンプルさゆえに飽きるのが早いのが難点です。特に頭の良い人材であれば早めに気づいて退職していくのですが、そういう人材を離さないために、企業はポジションメイクや異動で飽きさせないように努力します。ここまで読んでおわかりいただけるように、愛は思いっきり労働集約型ビジネスの典型例になってしまいました。

次回以降で解説しますが、愛と同じ状況にいて、同じ悩みを持つ人のキャリアのポイントは下記になります。

1. 自分の強みと企業選び。自己成長と市場価値を考慮して自身の能力を開発し続ける。
2. 「やりやすくてやりたいこと」よりも「やりづらいけどやるべきこと」に目を向ける。リーダーシップとマネジメントの違いと併用。
3. 会社と業務に対して「やる意味」「える意味」「いる意味」のバランスを考える

それでは次回以降、数回にわたって解説していきますのでお楽しみに!



愛のストーリーを読んで他人ごとではないと思った人は下記よりご連絡ください。

それでは今日も素敵な一日を!


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