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子のおもみ

12月某日


子どもをおぶった女性の対応をする。
最近のおんぶ紐は子の顔が隠れるように工夫されているらしい。
女性の腰あたりから、ムチムチした水色のスパッツを履いた足が2本にょっきり出ていて、その足がパタパタパタパタパタパタと動く。動くたびに小さな靴下が少しずつずれてきて、話している間に何度か女性が靴下を上げてあげている。
女性が帰ったあと、皆、しあわせ成分が満杯になっていた。

遅番の日。
家から●●キロ離れた駅のそばにできた36階建てマンションが、冬の遅番の時間になると、急にとてもとても近くに見える。
ひとつひとつ違う色の窓の灯りを見ていると、私だけのクリスマスツリーみたいな気持ちになる。
今年も自分だけのクリスマスツリーを見て、左に曲がって遅番のご褒美アイスを買って帰った。

おんぶからにょっきりはみでた子の足がぶらぶらと揺れ春のひだまり

子の腹とくっついた背が蒸れてゆき蝉しぐれ道をとぼとぼかえる

手をのばし紅いかえでを取りたがる子を背におぶりおちばの嵐

おんぶして脇からとびでた子のあしは冬のひなたをけり進んでく


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