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東京より、友が来りて和風のカレー

秋の空は澄んで高く、街路樹が一枚一枚色を変え始めている。僕はその空を見上げながら、待ち合わせの駅へと向かっていた。東京から訪ねてくる彼女は、僕の「カレー友達」。といっても、恋愛感情など一切ない。僕らはただ、辛さやスパイスについて語り合い、熱意を分かち合う気の合う友人だ。

彼女が駅から出てきた瞬間、僕は少し驚いた。髪をショートボブにしていて、何だか知的な雰囲気が漂っている。以前よりも少し痩せたように見える。いつものようににこりと笑って、「久しぶり」と短く挨拶を交わす。僕は自分でも驚くほど自然に微笑み返していた。

僕らはそのまま、人気の和風カレー店に向かった。午後の遅い時間でも人が並んでいる。「やっぱり人気なんだね」と彼女が肩をすくめる。僕は「まあ、並ぶ価値はあるよ」と自信たっぷりに答えた。並んでいる間も会話は途切れない。仕事の話、最近のニュース、そしてもちろんカレー談義も欠かさない。「この店、なんで和風なんだろうね」と彼女がふとつぶやく。「多分、京都の出汁文化と混ざったんじゃないかな」と僕が適当な推測を言うと、「なんかそれっぽいね」と笑ってくれた。

店内に入ると、和風の落ち着いた内装と香ばしいカレーの匂いが迎えてくれる。カレーが運ばれてきたとき、彼女は目を輝かせながら「これは期待できそう」と一言。口に運ぶと、やはり期待以上の美味しさだ。スパイスが絶妙で、出汁の旨みがカレーの深みを引き立てている。僕らは無言で味わい、時折「うん、いいね」と短く言葉を交わすだけで、味わいを共有した。

カレーを食べる東京のカレー友達

食べ終わって外に出ると、日が少し傾いて、街は夕暮れの優しい光に包まれていた。彼女は「やっぱりあなたに案内してもらって正解だった」と言ってくれる。僕は「そりゃあ、僕はカレーを愛してるからね」と答え、ふたりでまた笑い合った。恋愛の感情は一切ない。だけどこの瞬間の友情の温かさが、秋の日の光とともに心に染み渡っていた。

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