恋と建築、時々カレー。

恋と建築とカレーを語る猫です。大阪で生まれ育ち、広島で学び、今はまた大阪で暮らしています。京都にもよく出没する京都好きです。chatGPTや画像生成AIの力を借りながら、カレー小説を地味に書いています。カレーの写真は自前です。

恋と建築、時々カレー。

恋と建築とカレーを語る猫です。大阪で生まれ育ち、広島で学び、今はまた大阪で暮らしています。京都にもよく出没する京都好きです。chatGPTや画像生成AIの力を借りながら、カレー小説を地味に書いています。カレーの写真は自前です。

最近の記事

地元の商店街にて 厚切りポークの彼女

秋の風が街を抜ける音が、何となく耳に心地よかった。休日の昼下がり、僕は地元の商店街を歩いていた。少し冷え込む空気にジャケットの襟を立て、ランチを求めてさまよう。この街にはもう20年以上住んでいるが、こうして気まぐれに歩くのも悪くない。見慣れた店々の間に、何とも気取らない店構えのカレー屋がぽつんと現れたのは、まるで本のページをめくる瞬間のようだった。 「こんな店あったかな」と、思わず独り言が漏れた。シンプルな木製の看板に手書きで「ポークカレー専門店」と書かれている。扉を押すと

    • 雨と猫と彼女とカレー

      天満の街を歩いていると、涼しい秋風が僕の頬を撫でていった。秋の休日だ。ふとランチに何を食べようかと考え始めた頃、空模様が急に変わり、雨がぽつりぽつりと降り始めた。ああ、傘を持ってくるのを忘れてしまったな、と少しだけ後悔した。 そのとき、ふと足元に気配を感じて振り向くと、白と茶色が混じった猫がこちらをじっと見ていた。その目には何か不思議な輝きがあって、まるで「こっちだよ」と手招きするように僕を誘っている気がした。猫の後をついていくなんて、ちょっと不思議な気分だったが、ここまで

      • 東京より、友が来りて和風のカレー。

        秋の空は澄んで高く、街路樹が一枚一枚色を変え始めている。僕はその空を見上げながら、待ち合わせの駅へと向かっていた。東京から訪ねてくる彼女は、僕の「カレー友達」。といっても、恋愛感情など一切ない。僕らはただ、辛さやスパイスについて語り合い、熱意を分かち合う気の合う友人だ。 彼女が駅から出てきた瞬間、僕は少し驚いた。髪をショートボブにしていて、何だか知的な雰囲気が漂っている。以前よりも少し痩せたように見える。いつものようににこりと笑って、「久しぶり」と短く挨拶を交わす。僕は自分

        • 秋の東京、ボンベイの玉ねぎ。

          東京の秋には独特の匂いがある。湿り気を含んだ枯れ葉の香り、そしてどこか懐かしい風の音。そういう匂いや音が、僕を昔に戻す。あの日もその匂いを胸いっぱいに吸い込みながら新幹線の窓際に座っていた。でも、この日の天気は残念ながら最悪だった。大雨で新幹線は遅れに遅れ、昼に予定していた「お目当てのカレー店」行きはあえなく断念することになった。 とはいえ、空腹には逆らえない。目的地近くの高田馬場で急きょ探したのが「ボンベイ」というインドカレーの店だった。実に何の変哲もないビルの二階にある

          その日。玄米採食の夜。

          僕が初めてこの店に足を踏み入れたのは、まだ30代の終わり頃だった。あの頃はカレーといえばインドカレーに飢えていたし、ベンガル地方のスパイスの効いた料理に初めて出会ったあの感動が今も忘れられない。小さな店のカウンターには、いつも何人かの常連が並んでいて、僕もその一員になっていった。 だが、今夜は少し違う。カレーの匂いが漂わない。代わりに、柔らかな玄米の香りと優しい湯気が店の隅々まで染み渡っている。小柄で朗らかで瞳の美しい女性店主が、「今日はマクロビ玄米プレートだけよ」と小声で

          その日。玄米採食の夜。

          たにぐちさんと麻婆豆腐カレーについて

          秋の日曜日、僕は「たにぐち」という名のカレー屋にいた。この店名に一種の引力を感じて足を運んだわけだけど、実際にたにぐちさんがいるわけじゃないことは分かっていた。彼女の姿を求めて来たわけじゃなく、単に、なんとなく名前が胸をかすめたというだけだ。でも、店名を見ただけで胸のあたりにふっと風が吹いたような感覚を覚えた。店は静かで、僕の他に客はまばら。いい具合に落ち着いた空気が流れている。 注文したのは「麻婆豆腐カレー」。それもこの店の推しらしい。ちょっと奇妙な組み合わせではあるけれ

          たにぐちさんと麻婆豆腐カレーについて

          再びの怪しき青き光とサグチキンカレー

          秋の午後、僕はいつものように職場の地下にあるインドカレー屋に足を運んだ。すぐに青白い照明が目に飛び込んできた。 まるで水底にいるような、幻想的な少し不安になるような青だ。それ以来、店内は異国の街角のような、少し現実感の薄い雰囲気を漂わせている。 私はカウンターの隅に座り、サグチキンカレーを注文した。ほうれん草とチキンの組み合わせ。 濃い緑色のソースに鶏肉が沈んでいる姿がいつも僕の食欲をそそる。 カレーが出てくるまで、僕は青い照明を眺めながらぼんやりと思考を巡らせていた。 な

          再びの怪しき青き光とサグチキンカレー

          東京で、僕はカレーと彼女のトリコ。

          東京に来るたびに、何度も訪れたことのある女性店主のカレー屋がある。彼女は人懐っこいわけではないが、私にとっては居心地の良い場所だ。駅から数分歩いた路地裏の、控えめなな看板が目印の小さな店だ。香辛料の匂いが漂っている夜の風を感じながら歩いてみたが、その店は臨時休業の札をドアに置いていた。 他にも行きたい店が二つあった。 ひとつは女性店主が一人で切り盛りしている小さなカレー屋だ。 それぞれの店には個性があり、味も違うが、どちらもその店主と直接話したことがある。だけど、その日、二

          東京で、僕はカレーと彼女のトリコ。

          彼女とネパールとインドカレーと秋の夜

          秋の風が少し心地よく感じられる夕暮れ時、僕はいつものインド料理屋に足を運んだ。 大阪の路地裏にひっそりと佇むその店は、入り口のガラス扉が少し曇り、外からは店内の様子がわからない。でも、中に入れば、ほんのりとしたスパイスの香りが心を落ち着けてくれる。ネパール人店主のラジュとは長い付き合いだ。彼は僕を見ると、目を細めて笑い、「キーマカレーとチーズナン」でいいね?」と問う。 僕がうんと答えると、彼は厨房に消え、店内はしばし静けさに包まれた。ふと目の前のテーブルに目をやると、一人の

          彼女とネパールとインドカレーと秋の夜

          似て非なるのはタコライス(アニメ調)

          昼休み、僕はいつものカフェに足を運んだ。 壁の一部が古い煉瓦でできていて、木製のテーブルが並んでいる。 窓際の席に座ると、細長い光が差し込み、外の街路樹が風に揺れる様子が映り込む。 秋の風が心地よく、少しひんやりとした空気が店内に流れていた。 カウンターの向こうから感じるスパイスの香りが鼻をくすぐる。しかし、いつもならスパイスカレーを注文するのだけど、今日は何か違うものを試してみようという気分だった。 「今日はタコライスをお願いします」と、気まぐれな思いつきで言ってみた。

          似て非なるのはタコライス(アニメ調)

          鐡道と彼女とスパイスカレー。

          大阪駅からほど近い、こぢんまりとしたスパイスカレー店に僕は腰落ちを着けていた。 店内は木の温もりが感じられるシンプルな内装で、昼の光が柔らかく差し込んでいる。植物が置かれていて、落ち着いた雰囲気が漂っている。ふわりと鼻をくすぐるスパイスの香りが心地よく、カレーが出てくるのを待ちながら、僕はぼんやりと窓の外を眺めていた。 大阪駅の構内から聞こえてくる電車の微かに忘れずに届く。 どこか規則的で、何かを運んでいるリズムを持っている。駅と電車とスパイスカレーは相性がいいかもしれない

          鐡道と彼女とスパイスカレー。

          間借りカレーと世界の出会い。

          秋の気配が少し落ち着いた風がビルの隙間を縫って吹き抜ける。 12時を少し過ぎた頃、僕は職場の近くにある小さな間借りカレー店に向かっていた。ぽつんと佇むその店は、知る人ぞ知る場所だ。外から見る普通の古いビル角の一角に過ぎないが、昼時になるとカレーの香りがふんわりと漂い、人々が静かに列を作る。 店の中はこぢんまりとしていて、木製の長テーブルが一つ、そしてその周りに置かれた数脚の椅子。 カウンター越しに見えるキッチンでは、店主が大きな鍋をかき混ぜながら、リズミカルに香辛料を手にし

          間借りカレーと世界の出会い。

          焦らぬ時間とカレーとビール。

          天満の裏通りにあるエスニック料理店は、昼下がりの穏やかな光に包まれていた。 店内はまだ閑散としていて、スパイスの香りだけが静かに漂っている。ビールを一口飲みながら、彼女の顔をちらりと見た。 「昼間からビールなんて、贅沢だよね。」彼女が笑みを浮かべる。その声には少し疲れが感じられたが、笑顔には以前の柔らかさが残っている。彼女はしばらく会社をお休みしていて、何ヶ月も連絡を取っていなかった。 それが今日、突然「ランチでもどうですか?」と連絡があった。 僕は驚きつつも、何かに引き寄

          焦らぬ時間とカレーとビール。

          9月の終わり、近くのバーにて、あいがけカレーと彼女との出会い(未遂)

          9月の終わりに近づいたある日、職場近くのいつものバーが昼間にカレーを出していると聞いて、僕はその店に足を運んだ。 北区の静かな路地にひっそりと佇むそのバーは、夜にはコメディな音楽とともに客があふれているが、昼間の時間はどこか静寂が漂っていた。 柔らかな陽射しがカウンターに差し込み、木のテーブルや椅子が静かに時を刻んだ。 「チキンとキーマのあいがけカレーをお願いします」と僕は注文し、席に着く。 店内には、ほのかにスパイスの香りが漂っていて、食欲をそそる。チキンとキーマが美しく

          9月の終わり、近くのバーにて、あいがけカレーと彼女との出会い(未遂)

          9月のカレーはフランス風に。

          9月の昼下がり、僕は北浜のいつものスパイスカレー屋に足を運んでいた。 外の空気にはまだ夏の名残が漂っていて、湿気が肌にまとわりつく。 道を歩くと、緑が色あせ、木々の葉も少しずつその緑色を手放していくのがわかる。 秋の入り口だ。 店の前に立ち、無意識に少し大きく息を吸い込んでから、僕はドアを押した。小さな店内にドアが開く音が響く。 「いらっしゃいませ」 店主の彼女が僕に気づき、にっこりと笑った。彼女の笑顔にはやはり安心感がある。彼女は僕がここに来る理由のひとつだろう。いや、

          9月のカレーはフランス風に。

          京橋立飲みアテカレー。

          京橋の夕方、夏の空はまだ薄明るく、空気には湿り気が残っている。 わたしはいつもの立ち飲み屋に足を運んで、のれんをくぐった。鼻をかすめる。カウンターに肘について、ハイボールを頼む。少し前から店の定番になっている「あてカレー」が目の前に置いてある。スパイスカレーではないが、シンプルで旨い。カレーを一口味わうと、ふと思い出。この店には何人の彼女と通ったことがあった。それぞれのタイプが違って、いつもふらりと現れては、ふらりと消えていた。温もりを感じていた 「また昔の女の話か?」と、

          京橋立飲みアテカレー。