地元の商店街にて 厚切りポークの彼女
秋の風が街を抜ける音が、何となく耳に心地よかった。休日の昼下がり、僕は地元の商店街を歩いていた。少し冷え込む空気にジャケットの襟を立て、ランチを求めてさまよう。この街にはもう20年以上住んでいるが、こうして気まぐれに歩くのも悪くない。見慣れた店々の間に、何とも気取らない店構えのカレー屋がぽつんと現れたのは、まるで本のページをめくる瞬間のようだった。
「こんな店あったかな」と、思わず独り言が漏れた。シンプルな木製の看板に手書きで「ポークカレー専門店」と書かれている。扉を押すと