しみつき。
とけろ
とけろ
とけろ
あの時
思った事の
記憶なんて
とけてくれ
脳の血管から
血流に混ざれ
体中を流れていく
その間は
酒を飲んで
気を紛らわそう
ただの
液体や
気体になって
いずれ体外に
排出されてくれるなら
とけきらない
ドロッとしたカタマリが
残ってるな
細胞に絡みついた
こんなカタマリも
脳神経外科で
削り取って
くれればいいのに
記憶のとけ残りなど
叫び出したいくらい
気持ち悪い
ドロッとしたカタマリのなかに
硬い種みたいのが
見つかる
がっかりだ
コイツだけは
どうしたって
とけてくれはしないだろう
経験が
諦めを呼ぶ
いくつもの
カタマリが
いつのまにか
脳をくるんで
呼吸が荒くなる
心が
痛みを負って
血管が
腫れていく
とけろ
とけろ
とけろ
せめて
出来るだけ
小さくなってくれ
とけろ
とけろ
とけろ
この体中を
駆け巡る
その間の
気怠さには
耐えてやる