TakeLu
詩のようなかたちで書いたものをまとめたもの。
田舎の夏休みは意外と退屈だ。 川遊びも虫捕りも毎日やってれば飽きる。 小学校の夏休みはまだ半分残っているが、なすすべも無く、家の周りを自転車でグルグル回ってるだけだ。 「お~い!海行くぞぉ!車乗れ!」 大きな声に振り返ると、じいちゃんが立っていた。 昔から、じいちゃんは忙しい両親に代わって、孫たちを色んな所に連れてってくれてた。海にもよく行ってた。 だけど、じいちゃんの声に兄ちゃんも弟も、そして僕も反応出来なかった。 もう状況が変わってたんだ。 何ヶ月か前に、じいち
西の空に沈んでいく太陽を眺める あの夕陽は、誰かにとっての昇りゆく朝陽だ 俺が西だと思ってる方角もたぶん東だ ここで長い夜が明ける頃 しんどい夜に包まれていくヤツもいる だからって 誰かと繋がっている気もしないが 誰かにとってのイイ人も ほかの誰かにとっては殺したいほど憎い人だ 俺が信じてた事もたぶん嘘だ 絡みゆく関係性の中で 誰の事も信じられなくなるヤツもいる だからって 救ってあげることなどできる気もしないが 絶望の一日も 希望の一日も 結局はたぶん同じだ 真夏
今さら だいそれた事を のぞんではいないのだ 雨上がりに 虹をみつけたい 大きなのじゃなくていい くっきりしたのじゃなくていい うっすらとした 見逃しそうな か弱い虹 それを見つけて あの空の はしっこに手を伸ばしたい つかめるかも、と 最後の無謀な期待を抱いて ぐじょぐじょに濡れてしまう スニーカーも気にせず 夢中で走っていきたい それでいい それだけでいい
よく晴れた日曜日 すでに誰もいない家で目覚めた 母はボランティア 父は接待ゴルフ 毎週の事だ リビングに僕の好きな菓子パンがある 冷蔵庫にはいつも飲んでるジュースもある それでいい 食べ終わったら 部屋でゲーム 夕方に酔っぱらった父が 部下の人の車で帰って来た これも毎週の事だ ほっとけば父は自分の部屋で寝る 夜になると 母が頼んだ夕食の宅配が届く ひとりでは食べきれそうもない 丸い入れ物に入ったお寿司 好きなのだけ食べて 後はお皿に移し替えて冷蔵庫 目を覚ました父が食
白いパレット 小さなワクのなかに 丁寧にひとつひとつ絵具を落としていく 少し広いところで ふたつの色を混ぜると 新しい色ができると知る 赤と青 緑と黄色 黒と白 好奇心に駆られて いろんな絵具を混ぜてみる 3色も4色も使ってみたりして 怖ろしいほど汚い色もできたりする ドキッとして 新たな色を足してみるが どんなにやっても なぜか綺麗な色にはならない やけになって ほとんどの色を使って ぐちゃぐちゃに混ぜる 後悔もするが 元の真っ白なパレットに戻すのは大変だ 見て見
汚れた服を放り込んだ洗濯機 グルグル回る渦を今日も眺めている すみっこに張られたシールに初めて気が付く 『耐用年数7年』 そう書いてあるのを見て ちょっとドキッとしました とうに過ぎているのが理由かな? この心臓の耐用年数は何年か? 鼓動の回数 何億回分に設定されていますか? 大切に使えば もう少し長持ちしますか? 保証は何年か... ありますか? でも 夢にドキドキしたり 不安にハラハラしたり 悲しみに胸が痛んだり かなり負担がかかってる気もします 傷ついたぶんだけ
高校の時、1学年したの女の子と付き合う事になった。 くわしくはわからなかったが、彼女の母親は反対しているらしい。 俺だからなのか、男女交際自体が禁止なのか。 とにかく、なかなか会えはしない。 友達と会うと嘘を言って、彼女は俺に会いに来る。 だが、生真面目な彼女は 俺の事を母親に話し、認めてもらえるよう説得し始めたようだった。 そんな時、 彼女から呼び出されて会った。 『うちのお母さんの事恨んでる?』 いきなり、そう言われた。 恨んでなどいないから、もちろん否定した。 彼
すでに世の中には応援歌や誰かを励ます歌が たくさんあるが こんなにも 痛くて、暖かく 切なくて、優しい 『がんばれ』があっただろうか? 手を引くでもなく 背中を押すでもなく 僕が手を叩く方へ おいで 君に聞こえる様に 僕は強く手を叩き続けている
人の悪口は 言うもんじゃない! って そりゃそうかもしれないけど 心が傷んじゃって 壊れそうになる自分に 苦しむぐらいなら たまったドロドロを 吐き出したってかまわない 明日の朝 自己嫌悪に苛まれはしないって事が 大前提ではあるけれど いいじゃん 別に 正しくなくても 君が 笑顔でいられる その事のほうが ずっと大切
どう見ても冗談だとわかる内容で、みんなが笑顔になるような素敵な写真を見せてくれて、ほっこりさせてくれる人がいたのに。でも、どんな理由か知らんけど、それをやたらと批判しようとする人こそエイプリルフールの起源と意味をよく考えてくれればよかったのに…
「愛してる?」と 何度も訊ねる君 僕は答えることがない 「愛してる」と 言って欲しい君は 何を抱き締めたいの? でもそれを 問いただす事は 僕にだって 出来はしない からっぽの時が 流れる部屋を 窓越しの満月が 薄く照らす 人を傷つける事は 罪だけど 人を傷つけないためだけの行為は もっと罪 うっすら 少しずつ 与えらえる罰を 僕なら 受け入れられるだろう それが 今日まで 続いてても
とんねるず、野猿、乃木坂46、欅坂46…それから昔から好きなあの曲、この曲の作詞も…気づけばモノゴコロついてから人生の心の蠢きのかなりの部分を秋元康氏に支配されてきたのかもとやっと気づいた...ありがたい…のか...
誰かの一生を振り返る年表 急にテレビの画面に映し出される なんとなく ぼんやりと 自分のここまでの年表を 頭の中で作成してみる えーと・・・ あの時はどんな事があったっけ? そしてどうしたんだったっけ? 思い出しながら トピックスを書き加えていく ゾッとして 笑えてきて 軽蔑して あきれもした 客観的に見た この人 ひどいな そう思ったら なぜか 初めて 自分を好きと思えた 少しだけ
尾崎豊が亡くなって30年だという。今の10代、20代の子でも尾崎の曲が響いてる子がいると知って、それはなんだか嬉しい気持ちになった。尾崎豊はもういない。忌野清志郎ももういなくなってしまった。なんだか心がざわついてしまうこの頃...この時代に…佐野元春が一緒にいてくれてよかった。
「下書き」に溜まってた いくつもの「タイトル未設定」のことば 『へぇ~・・・』なんて 他人事みたいに眺めてる 叩きつけられたり 急に吐き出されたりして ここに溜まってたんだ 『へぇ~・・・』 坂の上から 雪解け水が 勢いよく流れてきた なぜだかわからないが それを眺めるのが好きだ 寒さに凝り固まっていた 冬の終わりを信じられるからかも知れない 「下書き」に溜まっていた 思いも 少しずつ溶かして 流れに乗せてみたい と思ったら また雪が舞い降りてきた
ずっと続いている。どんどん悲しくなる。毎日テレビが伝える。毎日何か言わなければならないコメンテーターも苦しんでるのかも知れない。AFTER1945の僕たちは戦争も紛争も知らない。このところRC successionの『COVERS』と『コブラの悩み』をずっと聴いている。