作品は他者からの反撃を受ける
ヘーゲルの「精神現象学」
竹田青嗣/西研
ヘーゲルについては以前に、
原書の和訳されたものを手にしたのですが、全く読めず、
本当にお手上げで、しばらくの間、断念していました。
しかし、この解読書は、解説付きということもあり、
少しずつ読み進めることができました。
その中で「理性」という章の中にあった
■作品は他者からの反撃を受ける■(P138)
という言葉があり、非常に衝撃的でした。
■作品には個性が実現されていて、「こういうのがよい、あるべきだ」と
主張するので、他の個性に刃向っている。同様に、他の個性たちもまた、
それぞれの作品を通じて、自分の作品に対抗してくる■(P139)
そしてヘーゲルは
内在する個性に価値があるのではない、作品を相互に批評しあう営みのなかで、「普遍性のあるもの」をめざすことが大切だ、というふうに論じています。
これについては、「意識」⇒「自己意識」⇒「理性」という
段階についてのことをこの書でなんども読む必要があると感じました。
端的に言えば
「意識」は、自己と現実とを区別するもの。
「自己意識」は、自己を求め実現しようとしたが、
与えられた現実を否定することによってそれを果たそうとすること。
それに対して、「理性」は「意識」と「自己意識」の統一であって、
現実と自己とは疎遠なものとみなさない態度なのである。
ヘーゲルの「精神現象学」というのは、箇所によっては、
今の時代に即さないものもあるようですが、
非常に本質的なことを言っている書であると思います。
今日も来てくれてありがとう!!