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何を選んだのか、何を選ばなかったのか。
岩波文庫から8月に出た『大江健三郎自選短篇』の収録内容を遅ればせに確認しました。
各短篇が元々収録されていた単行本名と共に並べるとこのようになります。
I 初期短篇
奇妙な仕事『死者の奢り』
死者の奢り 同
他人の足 同
飼育 同
人間の羊 同
不意の唖『見るまえに跳べ』
セヴンティーン『性的人間』
空の怪物アグイー『空の怪物アグイー』
II 中期短篇
頭のいい「雨の木」『「
大江健三郎の小説をささえているもの
1995年に出版した座談会本『大江健三郎とは誰か』(三一書房)に収録した大江健三郎の入門的な文章。本自体が新刊では手に入りにくくなっているので(Amazonのマーケットプレイスでは1円とか10円で売ってますが)、自分の担当した文章だけ、文章のわかりにくいところを修正してここに載せます。
本来はルビと傍点があるのがぬけてしまっていますが、その点はnoteの今後に期待、と。
もう一つ同じ本に「大江
大江健三郎、こんなのもあります
これも座談会本『大江健三郎とは誰か』(三一書房)に載せたものです。代表作にはなっていないけれども、もしかすると代表作より面白いかもしれないものを選んでいます。文体等いくらか修正しています。
文中で手に入りやすいものを紹介していたはずが、20年近く経って入手困難な文庫本もいくつか出ています。品切れのものは、せめて電子版にしてもらいたい。
大江健三郎の小説のベストテンを作るようにという企画な
大江健三郎と「M」(1980年代小説について1)
調べたことの一部を少しずつ書いていきます。
大江健三郎が1980年代から90年代前半にかけて発表した小説の多くには、小説家を職業としている「K」または「O」と呼ばれる男が登場します。その小説家が語り手になっているものが多いのですが、彼の家族(娘や息子)、それに親族が語り手になっているものもいくつかあります。もちろん、これはOe Kenzaburoという名前を持つ作者自身を連想させるのですが、さ