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本にまつわるエトセトラ

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本は著者や編集者など携わる人たちの想いが凝縮されたもの
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#コラム

読書力があれば、知の獲得から自由になれる

読書力があれば、知の獲得から自由になれる

「本を読めば、なんでも理解できる人間になりたい」編集者というと、子供の頃から本の虫だったように思われるが、僕は違う。読み書きは遅咲きだった。「ひらがな」でさえ小学3年生までまともに書けず、高校になるまで主体的に読んだ本は皆無だった。

転機は大学3年のとき、初めての海外旅行でインドに行ったことだ。30年以上前のインドは経済とは無縁の、ありのままの地球が剥き出しのままのような国だった。南部の小さな村

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安宅和人さんは、いかに『シン・ニホン』を書いたか。

安宅和人さんは、いかに『シン・ニホン』を書いたか。

2月20日に発売になった安宅和人さんの『シン・ニホン』。このプロジェクトにプロデューサーとして参加し、執筆の経緯を見ることができた。それら書き残したいことをまとめた。

2019年6月安宅さんが本を書くと聞いたときは、驚いた。
安宅さんと出会って6年、年々忙しくなっている。ヤフーCSOという肩書きに、いつの間にか「慶応義塾大学環境情報学部教授」も加わっていた。ヤフーがある東京の紀尾井町と湘南キャン

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役に立たない先端でもない「知」の効用ーー『哲学と宗教全史』を読んで

役に立たない先端でもない「知」の効用ーー『哲学と宗教全史』を読んで

哲学や神学は、誤解を恐れずに言えば、今の社会でもっとも役に立たない学問だと思われている。明らかに実学ではないし、経済活動の知恵とは程遠い。そんな領域の「全史」を紹介する本書『哲学と宗教全史』は、「巨人の肩に乗る」という言葉が使われる、人間の知が積み上がってきた系譜を紹介する本とも言える。

ユニークなのが、著者が学者でも宗教家でもなく、出口治明さんであることだ。
立命館アジア太平洋大学学長の出口さ

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