『COCOON 星ひとつ』を観た話。
✷✢はじめに✢✷
おはようございます。
お待たせいたしました。
昨年、興味があって『LILIUM-リリウム 新約少女純潔歌劇-』を観劇。
今回『はじめての繭期』ということで、過去上演された『TRUMPシリーズ』を映画館で鑑賞できる機会に恵まれまして。
『COCOON 星ひとつ編』『マリーゴールド』2本拝見。
まとめての投稿予定でしたが、スマホ閲覧者の方々を考慮しまして、作品別で分けて投稿することとなりました。よろしくお願いいたします。
前回投稿ミュージカル『マリーゴールド』の記事はコチラ☟
なお、TRUMPシリーズ初見さま宛、至極個人的なお願い。
『デリコズ・ナーサリー』から見た方が賢明です。
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✷✢あらすじ✢✷
吸血種の名門貴族、デリコ家次男のウル・デリコには『秘密』があった。
吸血種と人間のあいだに生まれた、厭われし血の子どもであること。
『死への絶望』と『絶望に抗う』"呪い"を受けていること。
『繭期』となったウルは『純血種』である兄のラファエロがいる"クラン"へ『純血種』と偽って入所する。そこで吸血種にも劣らないダンピールの青年――ソフィ・アンダーソンと出会う。
『呪い』であることに怯え嘆くウル。
『厭われし血』であることを誇るソフィ。
2人は反発し合いながらもクラン内で同じ時間を過ごす。
時を同じくして。
デリコ家当主のダリ・デリコには一つの『懸念』があった。
自身の息子たちが入所するクランの監督者・クラウスの精神が不安定に”ゆらいで”いることに。更にその”ゆらぎ”の原因にソフィが関係していることにも。
『純血種』にこだわり、ラファエロに執着する者――アンジェリコ
突如クランに転入してきた謎の青年――萬里
祭典『クランフェスト』とともに、狂気と波乱に満ちた物語が幕を開ける。
舞台『マリオネットホテル』
アニメーション『デリコズ・ナーサリー』
これから語られる二つの物語の"行く末"の物語。
”悲劇”は永劫に繰り返される。
こころを守るためには『星』が必要だった――。
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✷✢感想✢✷
どうあがいても『メリーバットエンド』な物語ではあるけれど。
(大事な事なので)
昨年、興味があって観劇した『LILIUM-リリウム 新約少女純潔歌劇-』がまず根底としてありまして。今回は『TRUMPシリーズ』の"柱部分”に触れることが出来たのではないかと思っております。
※『デリコズ・ナーサリー』に関してはAnimeJapan2024の時点で期待大。
※『マリオネットホテル』は…激戦かな(苦笑)
あと本当に『お口直し』。
作品外でも”イニシアチブ”だなんて。ナンセンスすぎる。
(アンジェリコ(中の人)は…何年経とうと、どの作品でも"アンジェリコ”ということを理解してしまうことになるがよろしいか?…万年繭期野郎…??)
ダリちゃんによる他人の預金通帳の開示請求並みに陰湿で本当困っちゃう。
あと、物語の最後にキャンプファイヤーはシリーズ恒例行事なのです…?
(人体自然発火…)
物語が『クラン』という閉鎖的な空間故、『耽美的』な作品かと問われると、とても難しい。僅差で『LILIUM』の方が甘美で退廃的かなと個人的には感じていて、『COCOON』はビジュアルに囚われず、ダンス・殺陣が荒々しい物語でした。
『名家』『純血種』と『ダンピール』『死』の狭間で誰からも理解されないと嘆きもがき苦しむウルは、気持ちを理解できるけれども、(繭期特有の症状もあるけれども)『生』に縋り付く姿は痛々しいなと。
(個人的には担当俳優さんの演技をしっかり拝見できて嬉しかったなと。今年はじめに観たけれどほぼ秒)
ラファエロがダリ家で一番まともに見える。
(彼も『弟を守る』ことと『名家の誇りを守る』ことに始終徹していたし、ウルとは別の葛藤を背負わされていたけれど)
一番男前なのは年上ムーヴかます萬里君です。
(ソフィに「死ぬな!生きてくれ!」は響きました)
そんなウルとは対照的に、ソフィは『割り切って』生きていたんだろうなと。ウルはじめ、他の『ダンピール』と同類項と思われたくないとか、純血種に舐められたくないだとか、若さゆえの小さなプライドがあったのだと思います。ウルもソフィもお互い少しの『開示』があれば仲良くできたであろうにと。第三者から見たら君たちは立派な「ともだち」だよと、とてももどかしい気持ちになりました。
それもあって、ソフィがクラウスに『不本意な永遠』を与えられた瞬間は、目の前が暗転しました。(尊厳破壊のお時間でした)
『永遠の命などいらない』と豪語していたのに。
後に『LILIUM』『マリーゴールド』と、名を変え立場を変え登場するソフィですが、命を持てあましている姿は観るにも耐えかねるし、『誇り』が汚されるとここまで落魄れるのかと。哀れではあるけれど『所業』の所為で心が痛まない。『マリーゴールド』でガーベラにクラウスと同じことしようとして、同じ言葉を浴びせられると言う…なんと皮肉。
亡くなった友人を求めるクラウスも、生を求めるウルも、後のソフィも『心の拠り所』を求めていただけではあるのだけれど、『執着』とはただ己の魂を汚すだけなのだろうなと。
ただ申し訳ないけれど(クラウス・ウル・ソフィ)三人が藻掻くシーンで『問題を一気に持ってこないでほしい…!』と頭は抱えた。
(その場に居合わせた萬里君の立場だったら怒り散らかしていたと思う)
最後に。
『マリーゴールド』が高潔な母の愛なら『COCOON』は不器用な父の愛。
言葉にしなくとも『愛』は存在することを改めて教わりました。
ウルは本当に愛されていた子なのだと。
ウル本人に『気付き』があれば、短い『生』に少しでも明るい光が差したと思います。ただこれは、そうはならなかった物語。
『ドブネズミくせぇなぁ…。』
侮蔑の言葉に、これほど尊敬と愛情を込めた台詞を私は知らない。
『COCOON 星ひとつ』
"星"に手を伸ばした。
届かぬモノを欲した吸血種たちの物語。
ここまで見て頂きありがとうございます。
良き1日をお過ごしください🐈⬛🌟
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✷✢用語解説✢✷
◎TRUMPシリーズ:末満健一氏が手掛けるオリジナル作品シリーズ。
『不死』を失った吸血鬼と人間、混血のダンピールにまつわる物語。
◎ダンピール:吸血種と人間の混血。人間と吸血種の間での『条約』故『矛盾した存在』として双方から忌み嫌われている。短命。
◎繭期:人間でいう『思春期』。人間のそれより行動・精神状態が苛烈になる。ダンピールは繭期を越えられない者が多い。
◎クラン:繭期の吸血種を一時的に保護・管理するサナトリウム。
吸血種を束ねる『血盟議会』直属の施設の為、"お目付け役"が存在している。が、中には"管理者のいないクラン"もある。
◎イニシアチブ:吸血種同士、『嚙んだ者』と『噛まれた者』の間に起こる、強制的かつ絶対的な”主従関係”の事を指す。(噛まれても服従関係にならない吸血種も存在する)ダンピールもイニシアチブを掌握できる。
なお人間種が吸血種に噛まれた場合は、もれなく死を辿る。(血清による治療が可能)稀に体内で抗体が作られ、『吸血種化』する人間もいる。
◎TRUMP:『TRUE OF VAMP』。原初の不老不死の吸血種であり全ての吸血種の頂点的存在。
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