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『きみの色』を観た話。

※10/26開催・映画『きみの色』山田尚子監督ティーチイン付き舞台挨拶に基づいた映画感想文です。


『人が持つ”色”に憧れた』
不思議な感覚を持つ主人公・日暮トツ子

『周りの”期待”から卒業したかった』
主人公と同じ学校に通っていた・作永きみ

『進むべき”道”は決めていても手放せなかった』
離島に住む高校三年生の青年・影平ルイ

世界のすみっこのような場所で出会った3人。
小さな世界を繋ぐのは『音楽』だった。

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『他人はよく見えても、自分のことは見えない』
まず、それを提示されている作品だと感じた。

学生時代、というものは鬱蒼とした『制限』のある世界だったのではないかと思う。それは逆に『絶対的な安全が保障される場所』とも言える。
トツ子やキミがいる世界はミッション・スクールという、正に”閉ざされた安寧の地”。

時代により、そこに『反骨精神』や『挫折』を見る人は多いと思う。

キミが”模範的な場所”から抜け出すことは『罪』なのか。
トツ子が庇うために言わなければならない”嘘”は『罪』なのか。

穏やかな反抗(犯行)、というものを見れたことが面白かったなと。

逆にルイに関しては、その”色”が薄くて、あえて挙げるなら『共犯者』ではあったなと。

トツ子の持つ”感覚”や”かつての夢”や”友人(とりわけキミ)”に抱く感情に関して、尚子監督はカテゴリに当てはめる事や名称を決めつけることを避ける表現をしている。監督の変わらない姿勢・配慮に安堵する反面、そこに関して観客側に疑問を持っていた人が今の時代、一定数いた事に私は少々落ち込んでしまった。

純粋に、人をみる。モノをつくる『まなざし』。
これからの時代に必要な感覚、原初の『感情』を丁寧に取り扱った作品ではないだろうか。

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10/26。
やっと、観に行けたという申し訳なさ100%。
やっと、観に行けたという安堵100%で溢れている。

余談で。
今年参加した公開記念の関係者登壇イベントが全てスクリーン越しだったこともあり、まさか山田尚子監督ご本人に会えると思ってなかった。

みやこめっせでのイベントの監督座談会以来、9年振りの再会。
※当時、椅子が合わずに始終調節してたり、幼少期の思い出話だったり、ストップモーション・アニメの題名を度忘れして、お客さんに解答求めたり…忙しない人だなという第一印象(怒られる)。

今回もスクリーン越しだろうなと。完全に油断していた。服装間違えた。

話を戻して。
言いたい事はほぼ冒頭で語ってしまったので。
本当は『情熱大陸』の話を…と言いたい。
面目ない…未視聴。_( ┐ノε:)ノ

代わりになるのだろうか。
新海誠監督との座談会の話は奇跡のタイミングでリアタイ出来て、観た感想としてはお互いの才能面で意識し合っている、という事は感じた。

ただ、新海監督はどちらかと言えば『君の名は。』から大衆向けに舵を切ってしまったなという印象が強くて、尚子監督は今回の作品でも、あくまでもキャラクターのいる日常を、丁寧に積み上げる作業をされていたのではないかと。下手する美大の問題を聞いている感覚。

今回のイベントの質疑応答でも、あれだけのタイアップの中であっても、商業方面の匂いを抑えた作品を意識していたとは語っていて、アニメーションという一見娯楽として消費される所を『芸術作品』として昇華しようとする『職人気質』さに僭越ながら惚れ直してしまったのは…内緒話。
(*ノωノ)

音楽に関して。
以前から尚子監督は『音楽』にこだわる人だなという印象が強くて、今回も特に『水金地火木土天アーメン』は最初聞いた時『渋谷系』の音がするなというのが第一印象。そこから考えた時に、先の座談会でも言っていたことではあるけれど、これからを生きる若い世代に寄り添おうと強く発信している作品だったのではないかなと。

時代の感覚、人の感覚に寄り添った上で『あなたはアナタでいい』と『音楽』を通して語ってくれているのではないのだろうかと感じた。



多くを語ってしまうと、大事なモノが損なわれてしまいそうな世界。
ただ、演奏シーンの迫力は足先から震えたし、波止場のシーンは切なさが込み上げて泣いてしまった。

また観に行く予定。
『いま』を感じる作品。機会があれば見て頂きたい。



おはようございました。
今日もいい1日をお過ごし下さい🎸🐾

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