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「いたるところ修行道場」の心意気

誰しも何らかのデビューを飾るときには緊張するものです。そのため、あらかじめ準備を重ねて自分の思いをまとめておくものです。禅師の場合、始めて弟子たちを前に上堂法話をするときがデビューであり、自分の思いを最初に述べるのです。
ビジネスの世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。あなたなら、どのようなことを述べますか。そのような状況を念頭に、次の道元の漢詩を見てください。

日本曹洞宗開祖の道元は、次のような漢詩に自分の思いを託しました。
 依草(えそう)の家風 附木(ふぼく)の心、
 道場の最も好たるは叢林(そうりん)なるべし。
 禅床(ぜんしょう)一撃 鼓三下(くさんげ)、
 伝説す 如来微妙(みみょう)の音。

 
最初の2句は、死んでは草木に依り付くように、世間に寄るべのない修行僧に最適なのは叢林(禅寺のこと)なのだということを宣言しています。続く2句は、太鼓などの鳴り物で次の行動に移るという禅寺で、坐禅の席にただ坐ると、そこには釈迦如来の教えが今も伝え説かれているというのです。鼓の音も、風の音も、いたるところのすべてが釈尊の声なのだと言っています。「さあ、釈尊の声を聞け」、と言っているのです。
道元が最初に創建したのが京都の興聖寺(現在は宇治に移転)です。始めて修行僧を迎え、日本曹洞宗をスタートする意気込みが感じられる漢詩です。

この道元の心境は、私達が何らかの役職について、始めて部下の前で所信を説明する場合と似ているのではないでしょうか。道場を「現場」と置き換えてみるとわかるかと思います。
 
[補足] 「依草付木」の原意は、死者の霊魂が中有(ちゅうう、死んでから次の生を受けるまでの49日)の間、草木に依(よ)り付くこと。転じて、文字や言葉にとらわれ、こだわってしまうこと。

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