ありのままと、あるがまま(947)
似たような言葉に、「ありのまま」と「あるがまま」があります。似ていますが、実は少し異なるのです。
「ありのまま」は「有りの儘」と書き、意味は次のようになります。
・実際にある通り、偽りのない姿。欠点があっても何も手を加えない姿。
・自分に対して言う場合、自分探し(アイデンティティを見つける)を意味する。
・相手に対して言う場合、そのままでよいとする。
たとえば、「ありのままのキミ(Just as you are)」というように用います。何も隠すことなく、安心して話していいよ、というニュアンスを持っているのです。いわば、本当の自分の声に従うのが「ありのまま」なのです。この時、「自らを由(よ)し」とするというように、欠点があるとしても、そのような自分自身に従うのが「ありのまま」なのです。
「あるがまま」は「有るが儘」と書き、意味は次のようになります。
・自我(もしかしたら偏った性格の自分) という枠組みを取り外した姿。
・作為のない自然にまかせた姿。
[注] 「自然」とはもともとは「じねん」と読み、
自我や執着を捨てて「自ら然(しか)るに」という意味。
・本来の自分のままの姿。
たとえば、「あるがまま(Let it be)」というように用います。禅の世界では、「自分の思いや枠をなくした上で見えてくる自然な状態」を意味しています。「べき思考」や「決めつけ」といった自分枠に押し込むのではなく、目に見えて耳に聞こたものが、自分の奥底にある心に感じた状態が「あるがまま」なのです。
「自然法爾(じねんほうに)」という仏教語があります。「人為を捨て、あるがままにまかせること。おのずからの姿であること」という意味です。「自然」はおのずからそうであること、そうなっていることであり、「法爾」はそれ自身の法則で、そのようになっていることを意味しています。
まとめると、「ありのまま」は「自由(自らを由(よ)し)」であり、「あるがまま」は「自然(おのずからそうである)」ということになります。
欠点があろうがなかろうが、本当の自分の声に従うのが「ありのまま」であり、自我を捨てて自然にまかせた自ずからの姿であるのが「あるがまま」ということなのです。しかし、「ありのまま」も「あるがまま」の自分なのですから、適宜適切に使い分けていけばいいのではないでしょうか。
*****************************************************************************
#心 #ストレス #あるがまま #関係する人 #正しい見方 #禅 #禅の言葉 #迷い #自分学 #リーダー #役に立つ情報 #平尾隆行
電子本の案内:
一切唯心造: すべての悩みは自らがつくっている Kindle版
ストレスをなくしてあるがままの「こころ」で生きる Kindle版
など [Kindle 無料アプリをインストールして お読みください。]
「あなた」が変わる古典の言葉―「日・中・英」でみるビジネスに役立つヒント55 単行本 https://amzn.to/4b9jbjV [短縮URL]
*****************************************************************************